お子さんが進級して、そろそろPTAの役員決め、というタイミングの親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。率先して立候補するという方、できれば避けたいけど、いずれ回ってくるし・・・と複雑な心境の方もいらっしゃるかと思いますが、あの国での「PTA事情」はどうなのでしょうか。今朝も二つの国にコネクトします。

「PTA活動は盛んですか」という質問です

フィンランド・エスポー 遠藤悦郎さん

 「日本とはちょっと違う3つの組織があります」

アメリカ・フロリダ 大西良子さん

 「PTA発祥の地だけあって盛んです」

⚫️フィンランド・エスポー 遠藤悦郎さん

Q 教育福祉が充実しているフィンランドの組織はどのようなものですか

A クラス単位の保護者会。すべての保護者に最も身近なグループで、担任も交えて年数回開かれる会合のほか、学校のイベントの前は有志が集まって準備などをしたりする。

秋の学校祭でなにか出し物(お店/販売など)を一緒にわいわいと企画し、売上を積み立てて6年生で行く課外の遠足(1泊)の資金にする。

学校全体の保護者会(保護者協会)クラスからの保護者代表(2名)で構成されていて、年1回の学校祭、クリスマスツリー販売などでの資金集めを主導。

非営利法人として法人登録されていて、集めたお金は、学校に運動用具やタブレットなど、学校の備品購入を寄贈したり、優秀な生徒への奨学金の原資になる。

学校役員会家庭と学校の間の共同作業を円滑にすることを目的とした、ちょっと硬めの組織。保護者代表数名と学校側から校長のほか教職員代表という構成。

役員は3年の任期で、報酬のありなしなどは学校によって違う。学校自体は市町村などの地方自治体の公立だが、運営決定に際して学校役員会と相談し、助言/承認を求める。国の定めた指導要綱をベースに学校が独自に取り入れた指導計画の承認なども行う。

Q 日本と違う部分はどんなところでしょう

A すべての保護者会などの集まりは、必ず夕方以降で18時スタートなど。皆仕事があるので昼間に何か集まるということはあり得ない。会合の参加者は若干女性が多めの印象だが、男性もかなり多く、夫婦やパートナーとくる家庭も多い。積極参加は望まれているが、強制ではない。「全員参加」「誰もが何かの仕事を平等に負担しなくてはならない」というのでなく、できることをできる人が自主的にやるという雰囲気はある。

⚫️アメリカ・フロリダ 大西良子さん

Q やっぱり小学校が中心なのでしょうか。

A 高校生になると生徒会やクラブ活動が中心になりますから、小学校や幼稚園など子供が小さいときのほうが、活動が盛んと言われています。私自身、PTAの活動にいやいや参加したという経験はなく、「やりたいときにやって、楽しかった」という感想です。学校の規模が割と大きかったので、参加する親の数も多かったんだと思います。でも、今住んでいるフロリダでは子供をホームスクーリングで教育している家庭がけっこうあり、そういう人は「PTA活動も含めて、学校システムそのものが好きではない」と言っています。地域差もあるでしょうし、私立公立によっても違うかもしれません。

Q 実際の活動で日本と違うなぁ、と思うところはありますか

A PTAの目玉の活動のひとつは、学校の予算の手の回らないクラス内の備品や運動器具などの購入費用を捻出すべく資金集め(ファンドレイズ)イベントの企画、実行。日本のベルマーク運動と似た「ボックストップ」というコーンフレークなどの箱についているロゴ集めに始まって、イベントとしては手作りのクッキーやケーキを学校で売る「ベイクセール」、また週末に子供たちが通りがかりの車に「Car Wash」と呼びかけて、5ドルで洗車する、というのもよく見かけます。

このほか地元のお店とのコラボもあり、指定された日時にあるレストランで食事をした場合、支払額の5%がPTAに寄付される「レストランナイト」。50軒ほどの店で使える割引券冊子「クーポンブック」の販売(15ドル)など。

結構パパの参加が多いのもアメリカの小学校ならではかもしれません。アメリカでは、キリスト教の影響が強く、奉仕の心が優先されるせいか、「やりたくないものはやらなくていい」のと「プライバシー」を重んじるせいか「押し付ける」「義務付ける」という習慣がないように感じます。予算は一年間で消化しなくてはいけない、理事は投票で決める、など「バイロー」といわれる規定がありますが、実際は、その場に居合わせた人から異論がなければ役員に決定という、ゆるやかな「大人のクラブ活動」かも知れません。