今日の7時台は、ドナルド・トランプ次期大統領の就任式が行われるアメリカ・ワシントンDCに回線をつないで状況を伺いましたが、この時間は、ヨーロッパの状況をチェックしましょう。内向きで不寛容とされる政策で、世界を巻き込んだ形のトランプ旋風ですが、アメリカ国内のみならず、ヨーロッパ各国にもすでにその影響を及ぼしているんですよね。今朝は、今年、大統領選や総選挙を控える、二つの国にコネクトします。

フランス・パリ 鎌田聡江さん

Q  まずはその影響はどんなものがありそうでしょうか

A  トランプ政権により、フランスとドイツが推進しているEU(ヨーロッパ共同体)との関係性が悪くります。フランスが去年先導した環境サミットのCOP21で決めたことが、撤回されようとしています。温暖化をうけて、世界的に環境問題に対応していこうとしているフランス&ドイツにとっては、トランプ政権は良いものと言えない。Brexit(イギリスのEU離脱)のあと、トランプ当選となると、もしかして極右政党「国民戦線」の党首ルペンがフランスで大統領に選ばれるかも、という懸念は消せません。 2015年1月のパリの新聞社シャルリ・エブドのテロ事件で、「表現の自由」を守ろうとしたフランス人にとっては、先日行われたトランプ氏の当選後初の記者会見で、記者を無視し、メディアをバカにしたことが、大きな危機として捉えられています

Q  5月のフランスの大統領選挙はどう捉えられているのでしょうか

A  オランド政権の5年間は壊滅的で、社会党の大統領候補をこれから選別していきますが、アメリカと同じように分断化が激しいといえます。「取り残された層」が、極右の扇動にのせられているパリでは、会社の上層部、インテリ、メディアの人間が少なくないので、ポピュリズムのもたらす影響をまだ冷静に見ています。一方田舎や郊外では、耳に心地のよい演説部分しか聞こえておらず、ルペンやかなり保守的なフィヨンの政策に共感している。*雇用の促進オランド政権は、いくつかの試みをしたが、有効な政策はなく、公約を守りきれなかった。不平等感の是正先進国はさらに貧富の差が広がっていて、フランスも例外ではありません。一度に全てを治せるような政策はないが、現状に幻滅している人々はルペンが述べる、夢のような政策の「デマ」が叶うと信じています。以前は、極右政党「国民戦線」に共感する、投票すると公言すること自体がタブーであったが、最近は隠すことなく「国民戦線」を支持する、という人々が増えてきました。

オランダ・べメル 大橋杏子さん

Q  トランプ次期大統領はどのような評判ですか。

A  アメリカのトランプ大統領選出の結果はオランダには、大方はネガティブに映っているようです。右寄り、自国第一で、EU問題、世界の環境汚染問題、などにはこれまでより消極的になる。と大きな不安材料として受け止められています。

Q  オランダでは近々選挙があるようですが、どんな状況ですか

A  オランダはこの3月15日に国会の第二院(日本の衆議院に当たる)選挙が行われます。オランダもイギリスやアメリカに続いて、自国第一主義に傾くかが、焦点になっています。現首相のマーク・ルッテ(自民党)は、「オランダ極右政党、自由党(PVV)のヘルト・ウィルダース党首との連立は0%無い」と断言しています。難民問題など社会不安が高まりつつある中で、圧倒的にトランプ支持の自由党がどこまで勢力を伸ばしてくるかがポイントとされています。とはいえ若い世代は社会党(SP)、フルーンリンクス(緑の左派)などに傾いているようです。どれも起こりうる、どの党の党首も首相になる可能性がある。と言われています。