現在地区再開発で工事中の銀座松坂屋跡地周辺。ここに「GINZA SIX」という新しい商業施設ができると昨日発表されました。合併だったり閉鎖したりで、「百貨店、デパート」という概念が変わりつつある日本ですが、あの国での「百貨店事情」はいったいどうなのでしょうか。今朝も二つの国、二つの都市にコネクトします。
「百貨店はにぎわっていますか」
アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん
「日本同様、売り上げが落ちています。」
タイ バンコク 山崎幸恵さん
「賑わっていますが、プミポン国王が亡くなったので異変が起こっています」
アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん
Q ニューヨークはメイシーズ、ブルーミングデール、サックスフィフスアベニューなど有名店の本店がありますが、「デパート離れ」は進んでいますか？
A 実感としてみんな行かなくなっていますね。以前より店内が空いています。賑わっているのは感謝祭からクリスマスにかけての１ヶ月だけじゃないでしょうか？NYだけでなく全米で百貨店の売り上げが落ちています。市場調査の大手IBISのレポートによると、2015年の全米百貨店総売上は１６５兆円。日本の百貨店売り上げの総額が６兆１７４０億円と言われていますから実に２７倍の化け物みたいな規模なんですが、それでも過去5年の数字を見ると３.５％も減収しているんです。その理由はオンライン小売業の躍進です。オンラインでデリバリーの方がはるかに便利だし、早いし、返品も自由自在。カード決済で明朗会計など利点が多いんです。アメリカのデパートはどの店も店員が少ないし、レジ打ちは遅いし、商品知識も低い。間違えも多い。なので、みんなお店で買い物する時のストレスに辟易しているんです。
Q 百貨店にとっては厳しい状況のようですね。
A ライフスタイルが根本的に変わってしまいました。なのでデパートのブランド力が急激に低下。みんな、サックスやメイシーズの包み紙や紙袋に魅力を感じなくなっているんです。頼みの綱は「食料品」と言われています。 デパートなみの品揃えを誇る巨大ディスカウント店を見ると軒並み売り上げが落ちる中、食料品だけが伸びているという現実があります。アメリカのデパートには地下食品街（デパ地下）がありません。ロンドンやパリの老舗デパートにはありますがニューヨークでは、どんな高級デパートでも、デパ地下がないんです。そこで、デパートにも食料品売り場を取り込もうという動きが、ようやく、出てきました。「アラスカ」や「ハワイ」の物産展なんてのも登場するかも知れません。時代とともに生まれ変わるアメリカの百貨店に注目したいと思います。
タイ バンコク 山崎幸恵さん
Q 国王が亡くなられて今のバンコクの状況はどうなのでしょうか。
A 崩御の報道翌日からショーウィンドーが黒一色に変わりました。デパートだけではなく、モールも個人商店も、全てです。さすがにTVの白黒放送はなくなりましたが、各局追悼番組ばかりです。NHKワールドなどの海外の衛星放送も、今は視聴できません。コンサートやイベントも軒並み中止で、結婚式なども、少なくとも3か月間は延期ですね。式場は、キャンセル料はとらないようです。一般市民は30日、公務員は1年の間、喪に服しています。
Q 話は戻りますが、デパートは賑わっているのでしょうか
A タイの人々はデパートやショッピングモールが大好きです。特に買うものがなくても家族連れで毎週のように行っている人が多いです。主な目的は買い物というより、涼むことなんですね。年間を通して気温が30度を超えるので、冷房費もばかになりません。午後の一番暑い時間帯に、冷房の効いたデパートに出かけます。デパートの商品は一般的なタイ人の月収に対して高すぎる印象です。（ぜいたく税もあるからか、同じ商品が日本よりも高いです）OLさんは70％オフのバーゲンになってはじめて購買意欲がわくようです。
Q でもそれだとなかなか売上が上がらず大変なのでは
A 特に買うものがなくても、でかければお茶くらいは飲みますし、夕食をテナントに入っているレストランやフードコートで済ませて帰りますので、飲食店は非常ににぎわっていますね。デパ地下的なものも、最近は増えてきています。日本のデパートを参考にしていると言われていますが、地下ではなく、最上階にあることが多いですね。珍しいスイーツや特産品フェアで最上階に集客し、噴水効果で各階に導くねらいのようですそしてタイの百貨店とショッピングモールは、だいたいくっついています。百貨店が自社店舗と隣接して、巨大ショッピングモールを作り、テナントに貸しているんですね。その規模は日本よりも大きく、モール部分の床面積はデパートの数倍で、フロアも６〜7階は当たり前。タイは数年前から不景気で、経済的には閉塞感があるんですが、海外からの進出企業は多く、家賃は上がる一方です。