いよいよ開幕するリオデジャネイロ・オリンピック、パラリンピック。ライヴ観戦は、早起きするか、夜更かしするか、寝不足の日々が続きそうです。次回2020年は東京ですが、その次の2024年に立候補している国では、「オリンピック事情」はどうなのでしょう
「オリンピックは盛り上がっていますか」という質問です。
イタリア・ローマ 村本幸枝さん
「もともと盛り上がりはなく、冷ややかです」
ハンガリー、ブダペスト 梅村欣世子さん
「最近風向きが変わり、急に盛り上がりはじめました」
イタリア・ローマ 村本幸枝さん
Q まず新しく就任したばかりの女性市長はどうコメントしていますか
A ローマ初の女性であり最年少で市長のヴィルジニア・ラッジ氏の個人的な意見としては現時点でのオリンピック参加はNOとしています。その理由は、現在のローマの状況はオリンピックよりも優先しなければならない問題点が山積みだからというもの。公共交通機関、ゴミ問題、汚職、ジプシー問題など、ローマ市民の日常に関わる問題を、まずは解決する方が重要だという姿勢です。ラッジ市長曰く、オリンピックに関してはいずれにしても決定する来年までまだ時間があるので、諸問題に取り組みながら考えるとの見解ですが、市民が希望するのであればという前提ですが、最終的には国民投票で参加の有無を決定するという選択も示唆しています。
Q 前回の1960年から2度目の開催を狙うことになりますが
A ほぼ決定だろうと予測されていた2004年のオリンピックをアテネに奪われ、その後2020年に再び立候補をしながらも、大不況まっただ中に舵取りを任された当時のモンティ首相の鶴の一声で取り消しとなりました。今回は三度目の正直ですが、オリンピックにかける予算があるなら別のことに使ってほしいというのが多くの市民の意見のようです。もともとイタリアでは日本ほどオリンピックに対する盛り上がりはなく、テレビの放映も放映権の問題から有料の衛星放送が主流で、開会式と閉会式はライブで流れるものの、国営局のRAIでは限られた競技の放映しかされていません。
ハンガリー、ブダペスト梅村欣世子さん
Q 1960年に立候補したものの、その時も含めてまだ開催がありませんね。
A オリンピックに立候補した時点では、国民の多くがあまり関心を持っていませんでした。その理由として、まずハンガリーがまだまだ経済的に苦しいことが挙げられます。ハンガリーにオリンピックを開催する力はないから無理だと、最初から否定的な人が多かったようです。また、オリンピック開催を推進する与党に対し、野党が「国民を無視した政策」と強く攻撃し、それに同調する国民が多数派でした。
Q そして冒頭おっしゃっていた風向きが変わったのはどうしてですか
A 6月から7月にかけて開催されたサッカーのヨーロッパ選手権に44年ぶりに出場を果たしたからです。「出られただけで満足」と言っていたのが予選リーグ初戦でオーストリアに快勝しました。ご存知の通り、オーストリアとハンガリーは昔から何かと因縁のある国で、ハンガリーは長くオーストリアの支配下にありました。その憎きオーストリアに勝ったのみならず、なんと予選を突破して決勝トーナメントに進んだことで、国全体に「やれば出来る!」という気運が高まってきました。与党もその気運を上手く利用して、ハンガリーでオリンピックを開催して、ハンガリーチームを応援しよう、金メダルを取るのを見届けよう、などと派手にキャンペーンを行い、国民は今の時点ではそれに乗せられているように思います。まだまだ経済的には厳しい国なので、いつまでこのお祭りムードが続くのかはわかりません。