外食産業を中心に「お一人さま」という言葉をよく耳にします。一人でランチ、それともディナー。「孤独のグルメ」というくらいで、味気ないというより、むしろかっこいいのかもしれません。さてあの国での「お一人さまでの食事(ソロ飯)事情」はどうなっているのでしょうか。今朝も二つの国にコネクトします。

「一人で外食はポピュラーなのでしょうか」という質問です。

フランス、パリ、ドゥヴィアンヌ園子さん

「一人での外食も楽しいのがパリです」

中国、北京 All About「中国」ガイド 鈴木晶子さん

「最近は普及しつつあります」

フランス、パリ、ドゥヴィアンヌ園子さん

Q パリと言えば、二人以上でワイワイと、という印象があるのですが

A  パリでは、ブラッスリー‎と呼ばれている気楽に入れるレストランなど、一人でのご飯はよりどりみどりです。特にブラッスリーというのはビールを飲むところという意味から軽食を出すようになり一品料理の食堂、簡易食堂に進化したという歴史があります。それなので気楽にいつでも食事が出来て、一人で入ってラップトップ開いて食事するという場合にはぴったりだと思います。とはいえ料理が出てきたらコンピュータは閉じて料理を楽しむ事も大切。そうでないとギャルソンや料理人に失礼、という雰囲気はあります。ブラッスリーには必ず日替わりメニューもあるので働く人にはとても便利だし、時間があまりない顧客へのサービスも心得ています。

Q さすがに星付きのレストランなどは違うのではないですか

A  先日は星つきの有名レストランで、一人で食事しているテーブルを見かけました。外国人のようでしたが、ちゃんと一人でもおかしくない位置にセッティングされていて、レストラン側の配慮が感じられました。ゆっくり食事を楽しむのであればビストロ・タイプがもってこいです。一人の顧客にはガルソンがそれなりに相手をしてくれたり、雰囲気を楽しめます。 一人で、今評判の"フレンチ"‎を食べたいという時には、ビストロ・タイプのレストランがオススメ。今、パリでは"ビストロノミー"という言葉がはやるくらいビストロ料理がシンプルで美味しいと、注目されているようです。

中国、北京 鈴木晶子さん

Q 昔の中国では「一人で外食」はポピュラーじゃなかったのですか

A  私が初めて中国に来たのは20年以上前なのですが、その当時、中国には「ひとり飯」という概念がありませんでした。そもそも家に台所がない家庭が多かった時代、食事は職場や学校の食堂でするのが一般的。食事の時間に食堂へ行けば、家族はもちろん友人、同僚、クラスメイトなど誰かしらが必ずいて、それこそ大勢でワイワイ食べていました。そもそも中華は一皿の量が多く、ひとり飯には適していません。4人ぐらいになれば、料理4皿にスープ1つ、主食1つを注文してみんなでシェアして食べる......と、バランスが良いのですが、一人だと「麻婆豆腐を 一皿だけで主食も食べられない」ということに。中華料理店でよくみる回転テーブルをみてもわかる通り、中華は非常にひとり飯に適さない文化だったのです。

Q 最近はどうなのでしょうか

A 生活スタイルの変化や欧米化に伴って、ひとり飯が普及しつつあります。大きな貢献をしたのはファーストフード店でした。最初は一人で座って食べる人は皆無でしたが、外国人が一人で座って食べる姿を目にし、次第に「ひとり飯」が市民権を得るようになったわけです。「おごり、おごられ......」というややこしさもなく、時間もスピーディ、忙しい若い世代を中心に需要が高まっており、最近はひとり飯専用のレストランが登場し人気を呼んでいます。カウンター席中心で、内装は小奇麗で、地下鉄の駅からすぐという立地条件、20元(300円強)弱というお手軽価格、一皿に野菜や肉、卵など栄養バランスの良いお店が流行る条件のようです。多くのひとり飯レストランは麺食です。