明日8月15日は終戦の日。今年が70年目の節目、ということもあり、安倍首相の談話の内容について、注目されています。さてあの国での「終戦の日」あるのでしょうか。今朝も2つの国にコネクトしてお送りします。

「終戦の日にあたるのはいつですか」という質問です。

ドイツ デュッセルトセルフ All Aboutドイツガイド、坪井由美子さん

「5月8日です」

イタリア フィレンツェ 小泉真樹さん

「4月25日です」

ドイツ デュッセルトセルフ All Aboutドイツガイド、坪井由美子さん

Q 5月8日はどんなひなのでしょうか

A 1945年の5月8日の深夜、東ベルリンにおかれた赤軍司令部内でドイツが降伏文書に調印。欧州における第二次世界大戦の終了とされています。この施設は現在「ドイツ・ロシア博物館」となり、対ソ連に対するナチスドイツ軍の悪行や第二次世界大戦の歴史が展示され無料で公開されています。 戦後70年となる今年の5月8日は、記念セレモニーが開催されました。ドイツの閣僚も出席する公式式典でしたが、ドイツ・ロシアほか一般市民も大勢集まりお祭りムードに包まれていたようです。現在のドイツは戦争の歴史と向き合い、かつての敵国と友好関係を築いていますが、こうなるまでには長い年月がかかりました。戦後長い間敗北感と挫折感に包まれていたドイツ社会が変化してきたのは70年代。その後決定的転換となった出来事が1985年5月8日、終戦40年の日にドイツのヴァイツゼッカー大統領が行った演説でした。「5月8日は敗戦の日ではなく、(ナチズムからの)『解放の日』だった。」「過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる」この言葉は今もドイツ社会の指針となっています。

Q 過去への反省についてドイツは厳しい姿勢を取っているわけですね

A ドイツでは毎年の終戦の日だけでなく、ユダヤ人強制収容所開放日など、ことあるごとに首相や大統領が演説の中で戦争犯罪を反省し、過去との対決、歴史を伝えていくことの責任を述べます。外国人の私から見ると驚くほど頻繁に戦争に関するドキュメンタリーがテレビ放映され、ドイツのあちこちに戦争の傷跡が保存され、自国の犯罪を詳細に記録する施設の多くが無料で公開されています。悲劇を二度と繰り返さないために戦争の愚かさを伝えていく義務がある、という国をあげての強い意志が感じられます。どんなに無関心な人でも、日常生活の中で人類共通のテーマ「戦争と平和」について考える機会がたくさんあると思います。

イタリア フィレンツェ 小泉真樹さん

Q 4月25日はどんな日なのでしょう。

A イタリアは第二次大戦中、三国同盟からいち早く抜けると、今度はドイツ軍からの攻撃を受け、北イタリアのドイツに占領されていました。この地域が解放され、ファシスト政権から解放されたのが4月25日で「解放記念日」となっていますので、その日がイタリアの終戦記念日という感じです。4月25日あたりはファシストに抵抗した勢力のパルチザンの特集番組などはやっていました。二度とこのような戦争をしてはいけないという思いは一緒だとは思うのですが、同じ敗戦国でも、終戦記念日として反省する日本と解放された記念日としてお祝いするイタリアって、やはり国民性の違いでしょうか。

Q 日本の終戦については何か報じられたりしますか

A 8月6日には毎年ローマのパンテオンの前で広島、長崎の原爆の被害者のための式典が行われているそうです。今年は悲劇から70年、1分間の黙祷の後、外務大臣や日本大使などのスピーチもあり、あの悲劇を二度と繰り返さないよう、世界の平和を祈る人々がパンテオン広場に集まったと聞いています。