女子サッカーワールドカップ2015はアメリカの優勝で閉幕しました。決勝で日本に勝ったアメリカ代表が優勝。日本代表が準決勝で、あのオウンゴールで日本に敗れたイングランドが3位でした。対戦相手の2つの国では、どのように報じられていたのでしょうか。さて今朝も2つの国にコネクトしてお送りします。
「女子サッカーワールドカップはどのような見られ方でしたか」
アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん
「ナショナルチームを応援する、というより、オリンピックのアマチュアチーム日本でいうならば「甲子園球児」を応援するような感覚でした」
イギリス ロンドン 滝本哲也さん
「Footballと言えば男子のもので日常的に女子の報道はないですが、こういうworld eventだとまずまず盛り上がるという感じでした」
アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん
Q サッカー男子代表のそれとはちょっと違ったということですね。
A アメリカでは「プレイするスポーツ」としてのサッカーは、女子の方が男子より人気があります。サッカーはヨーロッパ風のスポーツという印象で、プレイ人口は女子の方が多いです。なので今回も世界一うんぬんより、プレイする自分たちから見たカッコいいお姉さんへの憧れで見ている女子、女性が多かったのだと思います。スポーツバーはふだんはあまりこない女性が沢山集まって、恋人同士、夫婦などで観る、という珍しいケースもありました。他の男子スポーツのアスリートのように、何億円も稼ぐ経済的成功者とは違って、女子サッカーは賞金や年棒の話が決して出ないアメリカでは珍しい清々しさのあるスポーツです。アメリカの女子サッカーは見るスポーツではなく、プレイするスポーツです。
Q なでしこジャパンへの評価はどうですか?
A 評価は全般的には高いです。パスやチームワークのよさはアメリカ人みんなが認めるところです。試合前までは、さあ、どうなることか?日本のデフェンスを切り崩せるか?みたいな話題もありましたが、決勝戦に限って言うと最初の5分で勝敗が決まってしまったようなところもあるので、ちょっと正直言って拍子抜けな部分もありました。ただ、ずばぬけた個人がいないので、選手名が認識されにくいですね。今回は「よき対戦相手であった」という感じでしょうか。 普段からしょっちゅうTVで放送しているならいざ知らず、ワールドカップは4年に一度は頻度が少なすぎ、日米の交流戦などもあって、選手の報酬を引き上げ、TV中継を増やすなどしないと、関心が低いままだと思います。
イギリス ロンドン 滝本哲也さん
Q 3位という結果、についてはどう捕らえられていますか
A 3位決定戦よりも準決勝の方が報道が盛り上がっていましたが、オウンゴールのシーンと、その選手に対するねぎらいの言葉が多かった気がします。W杯で初めてベスト4に進出したことはそれなりのインパクトがあったのではないでしょうか。解説者らは興奮気味に「間違いなくイングランドでもこれから女子サッカーにスポットライトがあたっていくでしょう!」みたいな感じのことを言っていたように思います。
Q なでしこジャパンへの評価はどう評価がされていましたか
A BBCでは、イングランド戦の前に、なでしこジャパンの「なでしこ」の意味(neatness, resilience and loyalty)について詳しく取り上げつつ、チームの特徴を解説するとともに、決勝で日本が敗戦した後には健闘をたたえる記事が掲載されていたりと、なでしこジャパンに対する注目、評価もそれなりにされていました。戦力の評価としては、パス回しはうまいけどスピード、強さに欠ける、とか、パス回しがあまり効果的ではないのが多いという印象です。男子は特にそうですが、イングランドは伝統的に、パワーとスピードみたいな大味な(良く言えばダイナミックな)サッカーが好きなようで、細かくパス回しをするような(スペイン的な)サッカーは評価されにくい気がしました。