今回は、NulbarichJQさんによるソロプロジェクトJeremy QuartusのHidden Story。まずは、昨年12月5日、日本武道館でおこなわれたNulbarich活動休止前のラストライヴのことから振り返っていただきます。

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ライヴの最後に演奏されたのは、『Sweet & Sour』。この曲を最後の曲に選んだのは、どんな理由からだったのでしょうか?

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「もちろん曲の流れとかいろいろ加味して、あれがあそこしかなかったってのはあるんですけど、Sweet & Sourっていうもの自体が、ライブでも言ってるんですけど、人生というものは酸いも甘くもあり、それが巡るようなものであって、甘い時も必ずそれは終わって、次へ変わってくっていう曲なんですけど。もうほんと、この先の自分だったりとか、今までのNulbarichだったりとかっていうものを一言...一言っていうか、1曲で表すなら、なんかほんと人生そのものだったんで。その自分の人生だったり、自分の座右の銘になってるような曲で、最後、自分の心にも届けられる曲にしたいなとは思ってたんで、あの曲にしましたね。」

実はライブのMCでも、この曲についてMy mom told me、とおっしゃっていた、ということなんですが、Sweet & Sour、お母様からの教えが元になっているそうです。

ちなみに、Nulbarichでの8年間、いま振り返って、どんな8年間だったのでしょうか?

「始まりは、もともと僕自身がプロデューサーとしてトラックメーカーだったりとかっていうので音楽に携わってた中で知り合ったミュージシャンたちとバンドを組むことになったんですけど、なんかおじいちゃんになっても みんなで集まって楽器を触りながら楽しくお酒飲むためにいったんバンド組んでみない?っていうところから始まったバンドで。それが、そうだ、あいつも誘ってねえな、あいつも誘おうよみたいな言ってる中で、ラジオとかいろんなところで、たくさんの人が聞いてくれるようになって、知らない間にやばいみたいな、いろいろ決まってないけどどうしようみたいなところから始まって、それを整えるのに2年間ぐらいかかるんですよ、ざっくり。最初のデビューした時のプロフィールとかもわけわからないし、季節ごとにバンドが変わるとか書かれてて、そんなわけないじゃん(笑)って思いながら、それこそ何も整ってないまま2年間ぐらいでなんとなくゼロイチを組み立てて。それこそそんなに精力的にがっつりやるつもりが最初はなかったので、2年間ぐらいで自分の夢を立て直すっていうか、ヴィジョンし直すみたいな感覚だったんで、残りの6年間とか7年間ぐらいはNulbarichっていうところにもう全てを注ぎ込んで、その中で僕は生きてきたんで、僕の全てではあるんですけど。」

そんなNulbarich、活動休止前ラストとなる武道館でのライヴ。『Sweet & Sour』が終わってメンバー全員がステージを降りたあとに流れたのが、その時点では未発表の新曲『Lights Out feat. Jeremy Quartus』の演奏動画でした。

「この曲自体は、活動休止っていうものをほんとにしますか、よろしいですかっていう、例えば契約書があって、最後に僕がサインしたみたいなイメージでの活動休止っていう。このLights Out、明かりを消すことをしたのはファンの皆様でもスタッフでもメンバーでもなく、僕です、っていう、今後の僕に対しての意思表明というか。何かのせいにして生きていくのではなく、この先どんな人生が僕に待ってようが、この決断をしたのは僕だからっていう意味で、このJeremy Quartusっていう名前を、今までは歌詞とか作曲っていうところで、いわゆるなんて言うんすかね、ジョンカビラさんみたいな、JK=ジョン・カビラみたいなもんで、JQ=Jeremy Quartusみたいな、Jeremy Quartusって名前をクレジットしたのは作詞作曲してる時だけだったんで。最後に本名でサインを書いたみたいな感覚で、僕がこれを決断して、みんないったんお疲れ様、というか、ありがとう、っていうのを曲にしたかったっていうのがこの曲ができた理由かなと。」

そして、JQさんはこう続けます。

「すごくポジティブな曲であり、何も怖くないからいったん今日は明かりを消そうっていう曲ではあるんで、こういう終わりの時のためだけに書いた曲ではないので、これがポジティブなアンセムになって、またみんなで歌える機会が来るなら歌いたいなと思ってサビをアンセムにしたんですけど。ていうのも、ライブの時に歌うことなく活動休止をした曲ではあるんで、会場では流れたんですけど、演奏はされてないので、そこもほんとはしてよかったんですけど、そこをすると去り際ダサいなって思って。今までの曲をしっかり作り込んで、13人で演奏して、終わった後に出た曲はまた機会があればっていう。なんて言うんすかね、なきゃできないのは自分たちのせいだし、できるために自分がどういうふうに生きていくかっていうの、僕次第なんで。なんかほんと、この活動休止っていうものにしたのも、シンプルに終わりにしたくないっていうのと、まだこのバンドでの向こう側というか、魅力的な部分がもっと表に出ていいバンドだなと思ってたんで。もっと多くの人に、このNulbarichっていうバンドの噛めば噛むほど味が濃くなってくようなスルメ感をもっとわかりやすく、全員がそのオーラをまとった状態でできたら、もっといいバンドになるんじゃないかなって思ってて、だから、いったん個々の修行に向かうみたいな感覚です。」

Nulbarichの今後について示唆するコメント、チラッとありましたね。個々の修行を経て、この曲を13人の演奏で見られる日を心待ちにしたいと思います。

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そして、JQさんのソロプロジェクト、Jeremy Quartusがスタートしました。ソロでの活動を始めるにあたり、JQさんはどんなことを考え、制作に臨まれたのでしょうか?

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「それこそいろいろ考えた方がいいのかなって思ったんですけど、Jeremy Quartusっていうのは限りなく僕が親からもらった命とここまで育ってきた感覚とに近い、よりピュアなアーティストな気がするんですよね。Nulbarichってなれば、ボーカルとメンバーがいて、で、それをコンポーズするヴィジョンが生まれてってなるんすけど、Jeremy QuartusっていうのはJeremy Quartusそのもので、かなり純度の高い、ただの人間に1番近いアーティストなんで、考えても、あんま意味ないのかなっていう。いろいろ装える限界があるなっていうか。で、より等身大になってくんだろうなぐらいでなんとなく想定してるだけで、多分かっこつけてもかっこつかないと思うんで、いろいろバレていくプロジェクトなんじゃないですか(笑)はい。」

Jeremy Quartus