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布袋寅泰さん登場!GUITARHYTHMの始まり、そして、最新作『GUITARHYTHM Ⅷ』を語る。

今回は、布袋寅泰さんのニューアルバム『GUITARHYTHM Ⅷ』に注目します。タイトル通り、GUITARHYTHMを冠したアルバムはこれで8枚目。さかのぼって、最初のGUITARHYTHMがリリースされたのは、1988年のことでした。

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1988.10.05リリース『GUITARHYTHM』

その年の4月に東京ドームでBOØWY LAST GIGSがあって、そのライヴアルバムが5月にリリース。

そして10月、布袋さんのファーストソロアルバムとして発表されたのが、『GUITARHYTHM』でした。

BOØWYというバンドが解散して、1988年にスタートした僕のソロプロジェクトの名前がこのGUITARHYTHMなんですけど、当時僕が26歳でのソロデビューとなります。まずソロになってデビュー、自分の音楽を世界に問うというところでですね、自分自身が一体何を目指すのか、そしてどんな音楽を布袋寅泰としてみんなに伝えていくのか。バンドではないソロとしての緊張感と、また1人になる、ある意味での自由を感じながら。そこでタイトルを考えた時に、自分のギタースタイルの象徴的である、当たり前なんですけど、ギターという言葉と、そして僕はリズムを奏でるギター、カッティング、ファンクやそういったギターに影響を受けていたので、この2つの言葉を無理やりくっつけてギタリズム。そこにはちょっとギターイズム、ギター主義という、僕のこれからの人生を引っ張っていってくれるような強い意志みたいなものも込められた。ということで僕が作った造語がこのGUITARHYTHMという言葉なんですね。」

その後、35年以上に渡り続く、まさに布袋さんを象徴するシリーズとなった『GUITARHYTHM』。その1作目は、どんなサウンドを目指したものだったのか?改めて教えていただきました。

「バンドは、ベース、ドラム、ギター、ボーカルというロックンロールのバンドの基本フォーマットで成功したバンドだったんで、あまりそのBOØWYの成功のフォーマットをなぞらず、新しい気持ちでのスタート。またBOØWYらしさではなく、布袋らしさというものを伝えていきたいというところで、当時はまだあまりお世辞にも便利と言えなかったコンピューターとギター、ロックンロールの象徴であるギターを融合したらどんなサウンドができるか。そんなコンセプトを考えた時に、なんかとても未来的なロックノールが聞こえてきたんですね。新しい音楽を作りたいという一心でGUITARHYTHMの第1作は始まったと思います。だからBOØWYのファンの皆さんは、さてソロで布袋がどんなことやるのか、BOØWYサウンドを期待してきた方もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、全然違うサウンドが1曲目からオーケストラが始まって、【C'mon Everybody】のデジタルロックが始まった時にびっくりなさったり、ひょっとしたらがっかりなさった方もいるかもしれないけれども、なんか今振り返ると僕らしいスタートだったなと思いますね。」

エディ・コクラン1959年のヒットを80年代のデジタルロックとしてよみがえらせたのが布袋さんでした。

そして時は流れ、最初の『GUITARHYTHM』から37年後、2025年。今回、GUITARHYTHMを冠したアルバムを発表しようと考えたのは、どんな理由からだったのでしょうか?

ギターとリズムという意味合いでは今まで長いキャリアの中、そのスタイルは変わりませんから、言ってみればどのアルバムもGUITARHYTHMではあるんだけれども。しかし、シックス、セブンと、とても深い、少しダークな色調のアルバムが、自分のイメージ通りのものができたんでね。自分の中でもエイトはどんなGUITARHYTHMになるのか楽しみだったし、また昨年1年ツアーがなく、じっくり音楽と向き合う時間を得た時に、さて今、布袋寅泰がGUITARHYTHMと向き合うとしたらどんな音楽が出来上がってくるのか。ある意味、自分にとっての再起動スイッチじゃないけれども、何かを超えたい、突破したい時に、自然とこのGUITARHYTHMという名前が浮かびますね。例えば、違うかもしれないけど、スターウォーズじゃないけど11枚が、11作は独立しているんだけれども、布袋寅泰という、GUITARHYTHMという、ひとつの世界観の中で描いていくという意味合いではとてもコンセプチャルな11作、それぞれのコンセプトで彩られた作品となりますね。また、GUITARHYTHMをやるときはワクワクもしますけど、ある種、緊張もしますね。前作のGUITARHYTHMを超えなければいけないというプレッシャーもあります。」

自分にとっての再起動スイッチ。

何かを超えていきたいときに浮かぶのが、GUITARHYTHM。

20250418h03.jpgGUITARHYTHM Ⅷ 2025.4.16

その8作目、『GUITARHYTHM Ⅷ』の1曲目は【Jump】。

「GUITARHYTHMというのは毎回オーケストラのovertureだったりとか、まるでサウンドトラックが始まるような、ストーリーを予感させるような曲から始まるんですけど。今回は聞いていただいての通り【Jump】、とにかくこのアルバムはなんかライブ仕様だと思うんですよね。ライブを見に来た時に、いよいよ会場の明かりが消えて、1曲目は何が始まるのかという時に、今回のテーマである、ある種80'sのロックへのオマージュというところも含めてですね。シーケンスロック、太いシンセスベースから始まって、そこにギターの王道のリフが絡んでいくのは、きっとね、ライブを見にいらっしゃる皆さんは、ものすごくテンションが上がるんじゃないかなと思います。」

今回のテーマ、80'sのロックへのオマージュ...。そういうテーマに決めたのは、なぜなんでしょうか?

「こじつけというわけじゃないんだけれど、『GUITARHYTHM Ⅷ』ということで、8にちなんだ何かモチーフはあるかなと思った時に、自分自身がバンドデビューする前から1番影響を受けたのが、80'sのニューウェイヴ、パンク以降の、カラフルなロック・ポップだったんですよね。また、このアルバム作る前に、昨年2024年は吉川晃司さんと一緒に能登の復興支援という形でCOMPLEXを再始動したんですけれども、COMPLEXの音楽を作ったのもいわば80年代、あの頃だったんですね。だから自分のルーツには80年代の音楽が流れてるっていうことで、COMPLEXの時に改めて思ったけど、あの頃の感覚っていうのは今こそ新しく伝わるんじゃないかなっていう。ノスタルジーだけじゃなくて、新しい解釈としての80'sサウンドを今回の『GUITARHYTHM Ⅷ』ではコンセプトに、サウンド的にも、またある意味では歌詞の部分でも取り入れたつもりです。」

新しい解釈としての80'sサウンドを目指した『GUITARHYTHM Ⅷ』。アルバムの2曲目は、森雪之丞さん作詞による、【No More Killing】こんなリリックもあります。

《No More 殺すな人間Don't Kill 奪うな尊厳》

「森雪之丞さんとは多くの作品を一緒に作ってきました。【スリル】【POISON】【バンビーナ】などヒット曲の多くも森さんの作詞による部分で、僕にとっては作詞家の先生というよりは、音楽を一緒に作るバンドの一員みたいな。森さんはそんな立ち位置ですね。で、今回のアルバムは考え込むアルバムではなくて、聞いてる皆さんの気持ちを解放していくというテーマで書いていただきたかったんだけど、森さんの方から、"まず、やっぱり世界情勢、今の世界の状況を含めて、まずは強い意思を。戦争反対である。これ以上、愚行を繰り返してはいけない。それはやっぱりロックアーティストとしての布袋君には必ず歌ってほしい曲だ、テーマだ。"ということで、1曲目に上がってきたのがこの【No More Killing】ですね。サウンドはとてもカラフルですけれども、はっきりと今の戦争、争いみたいなものに対してノーだっていう声を上げる力強い曲に仕上がったと思います。」

布袋寅泰