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今回は、ソーラー充電式のランタン『CARRY THE SUN』のHidden Story。『CARRY THE SUN』は、ヨットの帆に使われる素材でできていて、最初折りたたまれているところから、広げるとサイコロ状の形になります。一辺が11センチの立方体で、天井の部分にソーラーパネルがあり、スイッチを入れると LEDのあかりが灯されます。

このアイテムを手がけるのは、ランドポート株式会社。代表の傳馬 綾さんにまずは、商品開発のきっかけを教えていただきました。

「私自身が神戸の出身なんですけども、神戸の震災の時に電気がない生活を何日か経験したことがあって。その時に、電気がなくて真っ暗な生活っていうのは、こんなにも怖くてつらい、すごいストレスの大きいものだと初めてわかったんですね。明かりは周りのものを見るためだけではなく、あるだけでホッと安心する。小さい明かりでも、あるだけで心がもうホッとするんですよね。明かりってこんなに心に響くものなんだ、ということを実感したんです。それが30年前で、それからずっといろんな商品を企画して、製造して、販売して、ということをやっていたんですが、環境に良いものを作っていることが多かったんですね。その中でソーラーライトを作ろうということになって。それで、ライトの話をしている時に、今から言うと30年前ですけど、その時のこと思い出して。明かりでホッとする、いつでもどこでも誰にでも使える、そういうライトを作ろうと思ったのがきっかけです。」

ソーラー充電式で、持ち運びが簡単なランタンを作ろうと考えた傳馬さん。開発に際して、難しかったのはどんなことだったのでしょうか?

「ソーラーを電源にするようなグッズというのは、わりと海外ではちょこちょこ出てたので。例えばソーラースピーカーとか。なので技術的なプログラムの部分はそんなに難しくなかったんですけども、ペッタンコにする生地とパネルをひっつけるところとか。あと、今のモデルになりますけども、明かりをなるべく弱くするライトとか。普通、ライトって、どんどん明るく 強さを競うというか、なるべく明るくするというものなんですけど、私は避難所で、隣の人に邪魔にならないような弱い明かりを作りたかったので。避難所って基本すごく明るいんです、みんなが見えるように。でも、夜になるとバーンって消えちゃう。今は色んな避難所もできていますし、色んな行政のやり方もあるので一概には言えませんけども、わりと20年ぐらい前とかそれ以前はバーッと明るいか、暗いかみたいだったので自分の明かりというのが必要だったみたいなんですけど。その時に明るすぎると、みんなに迷惑がかかるからという声を聞いて、弱い明かりを作ろうと思ったんですね。」

周囲の方がまぶしいと感じないように...。だから、スイッチ1回では、ほのかな、優しい明かり。そして もう1つのポイントは、このランタン、折りたたんで小さくできるということです。

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折り畳むと容積が小さくなるので、たくさん運べるんですね。輸送コストが削減できる。避難所とか色んなところに送るのも省スペースで送れるので送料も安くなる。それと、家の中で例えば備蓄する時に防災品として作られた大きなものというのは場所も取りますし、見た目も防災品チックなごついものが多いじゃないですか。でも、それってなかなか普段から置いておかないですよね。テーブルの上とかリビングとかベッドサイドとかに。だから、結局使わなくなっちゃって、しまい込んじゃうんですね。どこかに隠しちゃう。そうすると、いつ災害って起きるか分からない。それで、いざ起きた時に、しまい込んでいたライトはどこ行ったっけとか、防災バッグどこへ行ったっけ、ということになるので。私たちが目指してるのは、常に使って、普段インテリアとして使う、ベッドライトとして使う、色んなところで使ってて、それで使い慣れたものをいざという時にさっと使う。それが本当は1番いいんじゃないかと思ってるんですね。LEDって普通、直線的で目にパッとくるまぶしい強い明かりってイメージあると思うんですけど、これは周りにある生地の織り込まれた糸がLEDの灯りを拡散してくれるので、ちょっと優しい明かりになるんですね。こういう優しい明かりでインテリアにもなじむような、すごくミニマムなデザインにしてあるので、これだったら普段から使えるようなデザインじゃないかなと思っていて。お風呂で使う方も結構いらっしゃるんです。完全防水なので、お風呂の電気を消して、これでゆっくりお風呂に入るとか。」

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そして、この『CARRY THE SUN』【Buy One Give One】というプログラムも実施されています。

「電気のない色んな国に寄付をする、という活動をやっているんですね。うちの公式のサイトで販売した数と同じ数を寄付するということをやっています。今は色んな地域に分けて、Buy One Give Oneという活動をやってるんですけども。例えば能登の地震があった時には、能登支援モデルというのを作って。これを買っていただくと、同じ数を能登に私たちが寄付をします。寄付する時は、ただ送ったりするんじゃなくて、基本私たち自分で持っていくんですね。というのは、災害が起きた時にまず物理的に物とか送れないじゃないですか。送れるまで待っていたらもう明かりが必要なくなっちゃうので、すぐ必要なんですよね。災害が起きて、瞬間的に停電なって、5日とか10日とか停電の時間が長い。長い時はもっとかかりますけども、停電している時に必要なので、すぐ持っていきます。能登の時も1月の5日から持って行って電気のないところに配ってということを、去年の1月はずっとやっていました。」

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能登半島地震の被災地には、4千数百の『CARRY THE SUN』を持っていき、被災されたみなさんに直接渡されたそうです。

「それは4千何百人の方たちが能登を応援しようと思ってくださっている、ということですよね。皆さん、この明かりを届けたいと思ってくださる方がいらっしゃるので私たちは届けるということなんですけども、これを購入いただくと1つはお客さんに届くじゃないですか。1つは自分の手元にあって、もう1つが能登の人たちに届いてるんだなという風に思いを馳せることができて実感できる。支援って、なんとなく実感しにくいじゃないですか。いくら、どこで、何に使われたかっていうのが分かりにくいんですけど、これだと自分の手元にあります。で、これが誰かのところに行っている。自分の手元にあるものと同じものを送ることで、忘れないでいるというか。またじゃあ何か機会があったら支援をしましょうという風に繋がっていければ、このライト『CARRY THE SUN』がソーラーライトとしてだけじゃない役割を持ってくれるんだなと思って、そういう使い方をしていただけると本当に嬉しいと思ってます。」

●Buy One Give Oneのプログラム、ランドポートの公式サイト、ぜひご覧ください。

●1月17日 午後4時から8時まで日比谷野外音楽堂にて、《阪神淡路大震災 1.17のつどい》が開催されます。ぜひこちらの会場にもお出かけください。