前回に引き続き、imaseさんのファーストアルバム『凡才』のHidden Story202112月にメジャーデビュー。それ以来【Night Dancer】をはじめ、ヒット曲を連発してきたimaseさん。このタイミングでアルバムをリリースすることになったのはどんな想いからなのでしょうか?

20240524h01.jpg

「自分がCD世代ではなくてですね。そこまではCDっていうものに対しても、あんまりイメージがなかったんですけども、やっぱりレーベルのユニバーサルさんともCDをいつか出そうと話をしていて。じゃあいざアルバムを出そうという話になりまして、そういった時に自分がアルバムに対してあんまりイメージもなかったし、あんまり通ってきてないのでアルバムって一体どういうもんなんだろうって。この時に改めてアルバムを自分なりに買って聞いてみたりしたんですけども、なんかやっぱり自分としても音楽が物として残るってすごく面白くてユニークなものだなってことを、サブスク世代だからこそ思う部分がありまして。曲ってサブスクでさらっと聞けたり、それはサブスクの良さなんですけども、CDって何かこう...音楽を聞こうとしないとなかなか聞けなかったり、より没入できる行為なのかなってことを思うので。しかもアルバムって上から順になってるので、そういったものも楽しみつつ、より音楽を楽しむ空間が作れるようなものなのかなってことを思っているので。そういったものをサブスク世代の自分が作れてすごく面白いなと思いましたし、あまり馴染みのない方達も是非CDを買って聞いてみたりってことをしていただけたら嬉しいなと思ってます。」

ファーストアルバム『凡才』の1曲目は、アルファベット表記の【BONSAI】というナンバー。《歩こうよ、らしさのアビーロード》という歌詞も登場します。

「普段は自分について交えた歌詞とか曲ってのはあんまり書いてないんですけども、今回アルバムをリリースするにあたって自分について説明だったり紹介だったり、分かりやすいものがあった方が初めて聞かれる方とかに対して丁寧なのかなってこと思いまして。それこそ自分がどういったところで生まれて育って、どうやった経緯で音楽を始めて、どういった気持ちで作っていたのかってことをわりと赤裸々に語ったような楽曲になっていますので、歌詞についてはすごく新しいのかなってこと思いつつも、楽曲の面に関しては初期の頃、【Have a nice day】や【逃避行】などを制作していた頃の自分だったらどういったものを作るかとか、1番最初のimaseっぽさみたいなものをあえて最新の曲でやってみようってことを思いまして。部屋で作った音感、ワンルーム。歌詞にも5畳半という部分があるんですけども、5畳半で制作したような雰囲気のあるミックスになっていまして。そして歌詞にもあるように、《歩こうよ、らしさのアビーロード》ということで、ビートルズさんのアビーロード。あちらのジャケットですね、実はエベレストで最初撮る予定だったんですけども、それだとちょっと自分らしらしくないよねみたいな。なんだったらその辺の道で取ろうよみたいな感じになってアビーロードの道で撮られたということなんですけども。自分もそこを思って、なんか自分らしさ、変にこう背伸びしない、等身大の自分で居続ける。そんなことを自分もこれからも大事にしていきたいなという思いを込めて今回ね、このような歌詞も書きました。」

20240524h02.jpg初回限定版

そして、【BONSAI】という曲と同じくアルバムでお披露目になったのが、【Rainy Driver】。

「最近自分が好きな楽曲でいうと、UKガラージとか2ステップとかがすごく好きで。それまで超聴いてたわけでもないんですけど、New Jeansさんの影響でめっちゃ聴くようになって。そういった楽曲を自分だったらどういったものにするのかなってことを考えながら作った楽曲になっております。歌詞の部分に関しては、最初にAメロの《首都高を越えたら》っていう部分が出てきまして、またマジカルバナナ式な感じで、首都を越えて走ってトライビングする、ドライビングすると言ったら、なんか誰かと一緒にドライブしてるのかな、みたいな感じで。じゃあ彼女と2人、そんな車の中で起きる2人での出来事を今回はテーマにして作ろうと思いながら制作していました。歌詞の部分でもお気に入り部分で言いますと、2番目の《泣きじゃくり出した空が針を並べて落とすような 少し冷たく響く音が僕らを囲む》という部分が個人的にはすごく気に入っていまして。雨が降ってる感じをまず泣きじゃくり出したという表現をしつつ、車のボンネットとかに雨が落ちると針を落としたような響く音がするなってことを思って、それがどんどん僕らを囲んでいく、どんどん雨が強くなっていくのかな、もしくはそこの2人の関係がどんどん複雑になっていくのかなって部分を表現した部分で。ここも、いいね!と思いながら自分も歌詞を書いていました。」

マクドナルドとのタイアップソング、Happy Order】のことも教えていただきました。このタイアップ、マクドナルドの要素を織り込むのは難しかったのでは?

「かなり面白かったですね。今回のこの楽曲が、バイトに行かれる方達・クルーの方たちの背中を少しでも押してあげるような楽曲になっていまして。そして今回のモチーフは、2000年代のアイドルソングをモチーフにしたいなってことを思って制作した楽曲です。そういった意味では歌詞の部分でもいつもよりもかなりふざけて、ちゃめっ気のある歌詞を書こうかなと思って書いた楽曲になっております。あとは、マクドナルドの商品も色々と盛り込んでみまして。ラップパートがあるんですけど、そこで季節の4つのハンバーガーもちょっと入れたいなってこと思いまして、ウィスパーでこうグラコロって言っていたり。他の部分で言いますと、〔日照り たまにあっても〕で〔てりたま〕だったり、〔君の目から鱗もこ〕で〔ロコモコ〕。あと1つがどこだったっけ...あ、〔Beats君の〕の〔月見〕だ。自分でステルスひそませて自分でわかんなくなったわ(笑)」

思いっきり楽しみながら音楽制作に臨まれているのがよく分かるお話たくさん伺いましたが、最後に、これまでの活動についてご自身としてはどう感じているのか、教えていただきました。

20240517h02.jpg

「自分としてもすごくポップスが好きで、ポップスを聞いて育ってきたので、キャッチーさを出したいなってことはずっと思っていて。ただ、キャッチーさ出すのは自分的にもなかなか難しいなと思ってるので、まず1回歌詞の部分で最初にフックになったり引っかかるような歌詞を作ったりですとか。もしくは【Night Dancer】とか他の楽曲でもわりとそうなんですけども、頭を濁音とか破裂音にして印象に残したりとか、結構そういったことだったり、あんまりメロディーを細かくしすぎず、鼻歌で歌いやすいメロディーをわりと意識して制作することが多いです。これからも国内外問わず聞いていただけるような楽曲を制作したいなと思いますし、やっぱりライブのステージ的にも、もっともっと大きなところでライブできるように自分なりの音楽の活動も頑張っていきたいなとすごく思っております。でも本当に、こんなことが起きると思っていなかったのでかなりびっくりしていますし、やっぱり自分が3年間という短い期間で、ありがたいことにアルバムをリリースさせていただけているので、そういった意味ではこれから音楽を始める人も、自分きっかけで始める人も増えてもすごく嬉しいなってことを今思ってますね。」

imase