今回は、SEKAI NO OWARIのニューアルバム『Nautilus』のHidden Storyまずは、このアルバムにも収録された大ヒット曲【Habit】について伺いました。映画〈ホリック xxxHOLiC の主題歌として書き下ろされたナンバーですが、映画サイドへの提出締め切りギリギリでの制作だったとか。Nakajinさん、そしてFukaseさんはこう語ります。

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Nakajin:結構時間なくて、色んな曲を提出してはいたんですけど、なかなかこれっていうのに決まらなくて。先に歌ののってないトラック、Saoriちゃんが作ったその元のトラックも、ビートとコード、伴奏が鳴ってるみたいな、あのタラララってリフがのってるただのループみたいなね。それだけ先に監督に聞いてもらってオッケーってならなかったら本当にやばいみたいな感じだったんですけど、それをすごい気に入ってくださって。そこからはもう1週間もないぐらいのスケジュールの中、そこに載せる歌詞とメロディーを作り、レコーディングもっていう、僕らのバンド史上かつてないぐらいのスピード感で作りましたね。

Fukase::もともと歌い出しにあるような、人間が何か分類するというのは習性であって、そういう習性があることに対して歌いたくて。人間にも動物としての習性っていうものがあると思っていて、その習性に対して自分たちの理性だったり考えだったり行動で、それをどれだけ自分たちの力でコントロールしていくかっていうところが人間ができることかなと思ったので、なんかそこを1回歌詞にしてみたいなと思って。だからこのHabitっていうのは割と癖とかで訳されるんですけど、ここでのHabitは習性という意味で僕は使ってますね。」

この【Habit】を含め、これまでにリリースされたヒット曲満載のアルバムNautilus』。1曲目は、このアルバムのタイミングでお披露目となった新曲【タイムマシン】。

Saori:この曲は、曲が先にできていて。その曲がメロディーがすごく美しく繋がったなと思ったので、ぜひFukaseくんに書いてほしいと思って、歌詞を書いてほしいって私がFukaseくんに頼んで書いてもらいましたね。Fukase: はい。なんか自分で書けばいいのに、って思いながら(笑)

Saori:元々これはNetflixの映画のタイアップだったんですけど、プロデューサーさんがSEKAI NO OWARIのファンタジックな側面の楽曲にしてほしいと。

Fukase: 【Habit】みたいな曲じゃなく、

Saori: そう。現実的だったり、【Habit】みたいな、皮肉の効いたものではなく、ファンタジーで作ってほしいっていうことだったんで。やっぱファンタジーだったらFukaseくんだろうと思ってお願いしたら、すごく、すごく悲しいラブソングに仕上げてくれて、非常に気に入ってる作品になりました。」

Saoriさん曰く、《すごく悲しいラブソング》である【タイムマシン】。アルバムのオープニングトラックにした理由とは?

Fukase: 満場一致だったんじゃなかったっけね。

Nakajin: うん、やっぱ手応えはなんか感じている曲ではあったからじゃないかな。【タイムマシン】、できた時に"これめっちゃいいな"って感じが、なんかあんまりあることじゃないけど。

Fukase: あんまりあることじゃない。そんなにできた時に。

Saori: うん。できた瞬間にこれは来た、みたいなことって、なかなかね。

DJ LOVE:俺、レコーディング中に泣いたの、初めてかもしんない。

Nakajin:ほんとに泣いてたの?

Fukase:いや、嘘ですよ。そうやって言うように本に書いてあったんだろ?人間とうまく交流するには、人間と仲良くなるために、なんかそういうこと言えって書いてあったんじゃない?

DJ LOVE:みんなが感動している今、泣くべきか(笑)」

そんなSEKAI NO OWARIのソングライティングについて。例えば、【ROBO】というナンバーは、Nakajinさん作曲、Saoriさんが作詞。このように、複数のメンバーが共作しているのも大きな特徴です。

Saori:私たちのバンドは3人が作詞作曲ができるので、タイアップのオファーを頂いた時に誰が何をするのかっていうのを一旦話し合うんですけど、決めたものができない時もあるんですね。この歌詞やってみたけどうまくできない、曲がうまく書けないみたいな。色んなことがある中で、3人がなんとかバトンを渡しながら最後まで完成まで持っていくっていうスタイルでずっと14年間来ていて。 この【ROBO】は私が作詞、Nakajin作曲っていう風になりましたけど、このアルバム全体として、元気がある人がなんとか最後まで完成させるっていうことが何度もあった3年間の楽曲たちだなと思います。

Nakajin:やっぱり3人とも結構作風が違うっていうところが、またすごいヴァリエーションを出させてるなっていうのは思いますね。作詞作曲、また組み合わせによってできるものも全然違いますし、それぞれの感性が絡み合って、また複雑なものが生まれて。で、それがアレンジにまた影響を与えていくっていう。なので、今回12曲ありますけど、本当に12曲それぞれが個性を持った強い曲たちになったなって。まあ毎アルバム思うんですけど、今回特にその力をすごく感じたかもしれないですね。」

それぞれの個性が絡み合い生み出されたヴァリエーション豊かな楽曲たち。メインのヴォーカル、Fukaseさんは、歌う時どう感じているのでしょうか?

Fukase:Saoriちゃんの曲は歌って作ってない感じがするので、めっちゃ歌うのが難しくて嫌だなって思ってます(笑)Nakajinの曲は息継ぎをするところ考えてないからとっても大変なので。すごくNakaninの方が...

Nakajin:息が長いんでしょ。歌唱法とかもね、あるよね。

Fukase:歌唱法が、そうそう。俺の方がブレスが多い分、息が足りなくなるから。そういうのがね、Nakajinの曲はブレスをするとこがなくて大変だなっていう感想ですかね。

Nakajin:ごめんなさい。

Fukase:はい。」

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7枚目のオリジナル・アルバムとなった『Nautilus』。最後に、このアルバムについてNakajinさんとFukaseさんのコメントです。

Nakajinなんか僕、このアルバムの最終段階のマスタリングが終えた状態のデータをもらった時に、普段だったら割とすっとそのまま音質の感じとか仕上がりの感じどうかなって確認をすぐするんですけど、今回すごくタイアップが多かったっていうこともあるかもしれないですが、アルバムとしてのどうなってるかなっていうのがちょっと不安だったところもあって、なかなか聴けずにいたところがあって。それで、いよいよじゃあ聴くタイミングギリギリですよってなった時に、怖いけど聴くかってなったら、なんか11個出てくる曲たちが、こんな面白いこともやってたかとか、こんな尖ったこともちゃんとやれてたかとか...ちゃんとアルバムとして11個の曲が強く輝いてたっていうのを確認できて、すごい安心しました。ちゃんと良いアルバムになってるなっていうのをその時に感じられて。

Fukase:この3年間、やっぱり必死に前向きに、真摯に真面目に向き合ってきたことっていうのが、ちゃんと作品に表れてるなとは思います。この先もやっぱりまっすぐ真面目にやってきたことが、僕らの14年を支えているなと思ってるので、今後もそういう姿勢は崩さずやっていきたいなという気持ちではあります。」

SEKAI NO OWARI