今回は、前回に引き続き 三浦大知さんのニューアルバムOVER』のHidden Storyアルバムの3曲目に収録されたのは、KREVAさんをフィーチャーしたナンバー、【全開】。

20240322h02.jpg

KREVAさんサイドに呼んでいただく機会は色々あったんですけど、三浦大知サイド呼ばせていただいたのは【Your Love】っていう楽曲があって、それ以来なのかな。かなり久しぶりの感じではあったんですけど、やっぱりKREVAさんじゃないですか。これだ、っていうのがないと、ちょっと簡単にはお呼びできないというか、こちらとしても"もうここは、ぜひKREVAさん、よろしくお願いします!"っていうトラックだったり、 タイミングだったり、そういうのはずっと模索していて。それで、ここに来て、今回トラックを作ってくれているXANSEIっていうトラックメーカーの方と一緒に曲を作ろうってなった時に"こんなトラックどう?"って送ってくれたトラックが、この【全開】のトラックで。これを聞いた時に、ここ最近KREVAさんが色んなアーティストの方とコラボレーションされてフィーチャリングされていますけど、ここ最近見たことないKREVAさんが、このトラックだったら見れるかも?みたいな感じにすごく思って。これは三浦大知側にお招きすることで、KREVAさんのとんでもないラップっていうのを作っていただけるんじゃないかっていう。」

そのKREVAさんとの曲作り、実際どのように進んだのでしょうか?

「KREVAさんと自分の今の共通点みたいなのが、もったいぶらないっていうか。今この瞬間に全部出す、全てを注ぐみたいなマインドがKREVAさんと自分の中でフィールするところがあったので。やっぱりそれを楽曲にできたらいいなっていうところから、【全開】っていうキーワードが出てきて、この全開をキーワードにラップを書いていただきました。全開っていうタイトルなので、全開にならざるを得ないという感じだったと思うんですけど。でも、色んな種類の全開があると思うんですけど、この種類の全開のKREVAさんのラップっていうのは意外と久しぶりだったのかなっていうか、このトラックだからこそ聞けたラップなのかなっていう風にも思ったりしてたので、とても嬉しかったですね。」

この曲に続くのは、アルバム4曲目【好きなだけ】。

「【全開】からの【好きなだけ】がすごく心地よかったので、ここはこの順番がいいなっていうのは思ってました。これはですね、言ってることそのままなんですけど、やっぱり自分が音楽を続けている理由だったり、ものづくりをしてる理由だったり、なんで歌って踊ってるのかみたいなことを考えた時に、いや、好きなだけなんだよなっていうのがあって。ただ歌とダンスが好きで、音楽が好きで、エンターテイメントが好きで、それで自分にはその好きなものが色々あって。その好きなものをいろんな形でいろんな表現に変換したり、色んな好きなことをたくさんやっていきたい。好きなだけなんだっていうことをシンプルに載せるのは、このトラックにすごく合うんじゃないかなっていう風に思ったので、こういう歌詞を書いてみたっていう感じでした。」

アルバム8曲目、Seihoさんが作曲に参加した【ERROR】というナンバーについても伺いました。ヴォーカルのアレンジが独特ですが、これはどんなことを考えてこういうアレンジになったのでしょうか?

「ここら辺のボーカルアレンジだったりとかはSeihoさんだったり、いつもトラックダウン・ミックスやってくださってるD.O.I.さんだったり、そういう方と話しながらっていう感じだったんですけど。デジタルとアナログの狭間にいるみたいな感じがやっぱすごくいいなっていう風に思っていて。Seihoさんのトラックもすごくデジタル感ありますけど、実は使ってる機材とか、実はそのループで貼ってなかったりするんですよ。実は全部ちゃんと弾いてたりとかする。あれだけデジタルに聞こえるのに、 実はそこに人間的な、有機的な揺らぎみたいなのが入ってるからああいう聴感になっていて。その中で、これは感動について歌っている曲なので、感動したものに出会ってしまった瞬間の歌っていうか、自分のその価値観とかそういうものがもうガラッと変わってしまう、全てのドアがバンッと開いてしまうような、そういう感動に出会った時の歌詞にしたいなっていうのがあって。AIが初めて感情を覚えた時みたいな声になったらいいですね、みたいな話をしてたんですよ。AIが感動を知ってしまってAIも困惑しているみたいな(笑)」

アルバムのラストに収録されたのは、シンガーソングライター Furui Rihoさんをフィーチャーした【Everything I Am】。

「Furuiさんがご自身で作られている楽曲・音楽っていうのも、すごく愛に溢れた楽曲が多くて。その愛っていうのは、自分をちゃんと認めてあげるっていうか、自分をちゃんと愛してあげるっていう、そういう愛に溢れた楽曲がすごく多いんですよ。その、自分のことを愛することができれば、他の人も愛することができるしっていう、とても愛に溢れた方だと思ったので、その強い芯というかそういう部分をより増幅して曲を作れたらいいなと思った時に、自分の価値は自分で決めるっていうことを2人で歌えたらいいのかなと思ったんですよ。誰から何か言われたとしても、大切なものっていうのはちゃんと自分で分かっていて、その自分の価値は自分自身で決めるんだっていうこと。それはある種、自分を愛することにも繋がるんですけど、そういうことをFuruiさんと強く歌えたらいいんじゃないかっていう話を2人でして。で、それに向かって2人で歌詞を書いたっていう感じでした。」

Everything I Am】、この曲をラストに置いた理由は、このアルバムのコンセプトに 深く関係しています。最後に、このポイントについて教えていただきました。

「やっぱりアルバムになるってなった時に、その34分とか35分での1曲を聴いたかのような、そんな感じになったらいいなと思ってたんですよ。 だから、【Everything I Am】を最後に持ってきて《大切なものは何?》って問いかけて終わって、1曲目の【Pixelated World】のイントロに戻るっていう、ここがやっぱすごく重要で。なので【Everything I Am】を最後に持ってきていて、《大切なものは何?》って言った後に、自分の覚悟の歌にまた戻っていく。これはアルバムだからこそできる、最後の曲から1曲目に戻って、また新しい世界が始まっていくっていう、この 34分35分のこのなんか1枚っていうか、楽曲っていうのを楽しんでもらえたらすごく良いなっていう風には思ってますね。」

三浦大知