今回は、大橋トリオ&THE CHARM PARKのファーストアルバム『Trio & Charm』のHidden Story。
アルバムは、大橋さん作曲のインストゥルメンタル・ナンバー【16mm】で始まります。【16mm】というのは、この曲を作っていた時のファイル名が、たまたま〈16〉だったこと。そして、16mmフィルムのアナログ感ということも踏まえたネーミングなんだそうですが。曲のほうは、どんなことに着想を得て制作されたのでしょうか?
「大橋:これね、言っちゃう?
チャーム:いや、もうお任せしますよ。
大橋:ま、Hidden Storyなんでね、言っちゃうとこに芸があるよね。これは、まあ、全く別のものを生み出したよっていう自負も込めて言っちゃいますと、やっぱアコギを弾くと、みんな弾きたいビートルズの【ブラックバード】。弾ける人だったら分かるんですけど、同じ形のちょっと変化のすごい秀逸な、シンプルなんだけど音楽的に秀逸っていう。うまくできてるんですよ、ギターの運びが。なんか、そういう流れというか、アプローチで、曲を作ったらいいインストになるかなって。
なおかつ、スティーブン·ビショップの【リトル·イタリー】っていう曲があって。ジャンボリーでやってますよね。2022年のジャンボリーでやった【リトル·イタリー】という曲のちょっとラテンな雰囲気とかアコギの動き方とか、そういうのもなんか盛り込みつつ。あと、大好きなエリック·クラプトンのアルバム『アンプラグド』 の1曲目のインスト【サイン】っていう曲への憧れもあって。その3曲を、なんかうまいこと、結果的になんですけど盛り込めた曲になったかなっていう 1曲です。チャーム:いい曲ですよ、あれ。」
続いては、チャームさん作詞作曲、2曲目に収録された【The Yonder】。
「チャーム:すごい考えて、The Charm Parkひとりでやってもいいような曲じゃない曲。そして、大橋トリオっていうアーティストさんとまたちょっと離れた、でも同じ空気感ではある、2人だからこそできるような音源っていうか。それも遊びっていうか、そんな曲を作りたくて。1番早くできたデモがこの曲なんですよね。なんですかね、フォークというかブルーグラスというか、ちょっとトロディショナルなリズム感で2人のギターのテックやそのハモの美しさを聞かせるように作った曲ですよね。あとはまあ、[Yonder]っていう単語があんまり馴染みないと思うんですけど、アメリカのサザンエリアというか、ちょっと南の方言として昔から使われた[Yonder]っていうのは[向こう]っていう意味なんですよね。Beyondのyondからちょっと延長だと思えば覚えやすいかもですが、その向こうが何なのかは、みんな人それぞれですけど。そういう意味で書いてみた曲になっています。」
そして、このアルバム、カバー曲も収録されています。そのうちの1曲が、サイモン&ガーファンクル【Bridge Over Troubled Water】
「チャーム:サイモン·アンド·ガーファンクルは本当に年明けのタイミングで。年末から結構この作業をして、年明けは一応ちょっとお互い家帰ってちょっと休もうかってなって休んでるうちに、このプロジェクト以外にもちょっと色々手掛けなきゃいけないことがあって結構バタバタした年末年始でしたが、この曲聞いた時になんかすごい感動しちゃって。この歳になったせいなのか、僕すごい歌詞が響くようになって。小さい頃から聴いてた曲なのに。それがあまりにも良くて、年明けのタイミングで自分がSNSで弾くのをアップして、インストだけギターで弾いて。それで、これをコピーしようとしたら、意外とギターってすごく違う魅力があって。元々の原曲ってピアノで弾かれてるので、2人だからこそできるようなカバーな気もしたし。あとは個人的な意見ですが、個人が好きなバージョンを作りたいって思ってて。 色んな人がカバーしてるんですが、実はこの曲って結構後半に盛り上げる、バーンって歌うような曲になりつつあるのが、ちょっと僕は違う方向からちょっとこの曲を解釈したいなっていう意思が強くて。まあ2人ならではの。
大橋:このこだわり、すごい強かったよね?
チャーム:もうここは、そうですね、譲れなくて。
大橋:歌を録ってる時に、"いや、強く歌うのは違います"ってすごい言われて、そうかそうかと。だから、終始ウィスパーで。」
そして、聴いていただきたいのは、アルバムの《音》です。
「大橋::今回は、マイキングとか、使うマイクもすごいこだわって。チューブマイクっていう、真空管マイクですね。真空管マイクと、リボンマイクを2本立ててやろうって。それで僕、それぞれ2本ずつ持ってたから、ワンセットをチャームくんにも渡して、家ではこういう感じで録ってねみたいな感じでやったりっていう。まあ、こだわりは、すごいお互いにある人だから。
チャーム:ギター2本と声、二声っていうのが基本なんですけど、ってなると、1個1個の音選びがすごい慎重になるっていうのは、今回ですよね。」
最後にうかがいました。大橋トリオ&THE CHARM PARK、このデュオの楽しさとは?
「大橋:僕はそのチャームくんとアコギで初めてセッションした時に、あ、これこれこれっていう。今までこれじゃない感があった部分がこれこれこれ、だったんですよ。これじゃないが1個もなかった。そこの感動じゃないですかね。僕はそれを得られてすごく感謝してますよ。
チャーム:そうですね、音楽っていう言語の中でも色んな方言ていうか言語があると思うんですけど、大橋さんとのギターのデュオの時は、こう会話が音楽的に通じてるような気がして。
大橋:同じとこ出身みたいな。
チャーム:そうですよね。なんか、方言でたまに同じことを言ったりする時もあって、
その時はすごい楽しいのももちろんあって。
大橋:2人で適当に弾いてる時にさ、フレーズが全く同じフレーズ被ったりする。
チャーム:そうです。そうなりますね。だいたい4小節か8小節の終わりぐらいのフィルが
大橋:同じフィルでまとめる。
チャーム:あ、分かります。
大橋:逆に外すのが難しいって、違うことするの難しい。
チャーム:そうですね(笑)」