今回は、1128日、35周年を迎えた『ブルーノート東京』。その《食》に注目。ブルーノート東京 およびブルーノート・ジャパン グループ エグゼクティブ・シェフ、長澤宜久さんにお話をうかがいました。

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19881128日、東京・南青山にオープンしたブルーノート東京。ジャズをはじめ、多様なジャンルのトップアーティストがライヴをおこなってきました。そして、ブルーノート東京の特徴のひとつが、ライヴとともに楽しめる《お料理》です。

「1番には、すごくお客様に楽しんでもらうライブに寄り添っていくっていうところはすごく大切にしていて。ブルノート東京というと音楽を聴きにいらっしゃる方が大前提なんですけども、色々ミュージシャンがいらっしゃるし公演も色々あるので、そこにどうやって、料理の内容もそうですし、近づけて共存していくことをすごく大切に考えています。」

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今回お話をうかがった 長澤宜久シェフは、20代でフランスへ渡り、フランスとスイスで6年間を過ごされました。三つ星レストランなどで経験を積み、帰国。その後、ブルーノート東京のすぐそばにあったフレンチ『アディング・ブルー』、さらに 丸の内『resonance』と、ブルーノートが運営するレストランでシェフを歴任。そして、2013年、ブルーノート東京 およびブルーノート・ジャパン グループ エグゼクティブ・シェフに就任されました。そこから 今に至るまで、ブルーノート東京で出しているお料理には、どんな変化があったのでしょうか?

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おつまみだけはなくてコースも楽しんでもらっています。ブルーノートには、トリオコース、カルテットコースというのがあるんですけど、トリオというと、アミューズ...。アミューズと言っても前菜っぽいアミューズなんですけども、あとはメインが出て、デセール、というのがトリオコース。カルテットコースは、アミューズが出て前菜が出て、メイン料理が出て。あとデセールが出て4品、カルテットコースっていうのもあり、だんだん時を経てコース料理も作るようになってきました。」

でも、ライヴ会場でコース料理を出すというのは なかなか大変そうですが、作る立場としては、どんな工夫をされているのでしょうか?

「ステージにミュージシャンが上がる前には、できる限り出しておきたいです。 コースだったら、早めに出そう。おつまみだったら、手でつまんで飲みながらもいい感じで食べられますから大丈夫なんですけど。でも、ショーをやっている時は、ほとんどショーに集中されていますから、そこまでには出していこうというのが、私どもがもう何年もやってるテクニックでもありますし。そこは時間内に出せるように、どこまで仕込みして、どこまでどういう風に仕上げをしてやるかということは、日々、いつも研究です。」

そして、そのお料理のメニューですが、時には、アーティストのみなさんとのコラボメニューも提供されます。

日本人アーティストですと、わりとコラボすることが多くて。その人が食べたいものだったり、こういうのを出してくださいというのがあるんですけど。上原ひろみさんだったり、矢野顕子さん、 JUJUさん、久保田利伸さんもそうですし、その方たちがこういうものが好きで、こういう風な感じで作ってくださいと。例えば、ジャマイカ風のところに日本のエッセンス入れて作ってくださいといったことだったり、鶏料理で何かとか。

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矢野顕子さんも上原ひろみさんもラーメンお好きなので、ラーメンを。ブルーノートでラーメンって言ったら、最初はできるかなと思ったんですけど、アレンジなどはせず基本に忠実に作ります。しじみラーメンだったら、ちゃんと出汁とって貝の出汁を入れたり、あとは醤油ラーメンっぽいのとかも作りました。矢野さんの時も、魚介から色々作りましたね。チャーシューも作りましたし、もう、ラーメンは基本的にしっかり作ります。その中にちょっと、フレンチのオイルの使い方だったり、薬味だったりはフレンチ風にはアレンジしますけども、基本的なことはやっぱりラーメンはラーメンなので。」

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そして、もうひとつアーティストのみなさんからもよく聞くのがブルーノート東京は、アーティストのみなさんのためのお料理、いわゆる《まかない》が絶品なんだとか。

お世辞でも "世界一美味しいまかない"って言ってもらえているので、色んなミュージシャンからのリクエストに応えてまかないを作ってますね。現実に食べていただいて、それを力にしてね、演奏していただいたり、歌っていただくっていうことは、やっぱりすごく嬉しいことかなと思います。 私が1番覚えているのは、チック・コリアさん。最初はお肉とか食べられてたんですけども、最後の公演の方になってくると自分が食べられる豆のハンバーグ作ってくれと。自分のルセットがあって、それを見て忠実に作ってお出しする。それ、すごく印象的で、"美味しかったよ。頑張るよ"って。ちょうどブルーノート東京って、控え室からステージに出ていくところの間に厨房がありまして、出ていく時に拳合わしていくというのは、すごく印象的で。ああ、作ってよかったな、というのはありますね。」

素晴らしいアーティストのみなさんのライヴに寄り添いながら、おいしい食事を提供しつづけ 35年。いま、ブルーノートが取り組んでいるのは、どんなことなのでしょうか?

「多様性だったりSDGsだったりっていうことが最近言われている中で、ブルーノートも埼玉県の鴻巣の方にブルーノート農園というのがありましてそちらの方から各店舗、野菜を取ったりハーブ取ったりはしてるんですけども。その中で食品ロスを無くすのってなかなか難しいことなんですが、そのことに少しずつ取り組んでいこうと思っていまして、野菜の端材だったり、そういうものを、いま新しい店舗が恵比寿の方にできたので、その店舗を先駆けとしてコンポストを置いて、そこで野菜の皮だったりいろんなもの入れて、コンポストに入れて。それを各店舗の料理人だけではなくて、うちの会社に携わってる人たちが、その土をブルーノート農園に近いうちに返しに行こうかなと思ってます。少しずつ試験的にやっていて、それはちょっと取り組んでいこうかなというのは思ってます。」

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