今回は、障害のある人とともに ものづくりを進める一般社団法人『レダクラフト』のHidden Story

「一般社団法人レダクラフトは、東京都の認可サービスということで、障害者の方の自立に向けた訓練をして一般就労に繋げていくという、そもそもは福祉サービスになっています。弊社は、その中で縫製業・縫い物をメインとしておりまして、基本的に1番多く作っているものは、ぬいぐるみになります。そのぬいぐるみは、結婚式で新郎新婦様からお父様・お母様への両親贈呈用として使われるものを作らさせていただいています。」

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お話をうかがったのは、東京、港区にある『レダクラフト』の代表理事、我妻真澄さん。レダクラフトを立ち上げるきっかけは、こんなことだったそうです。

「設立母体にプチレダという会社がありまして、そこが元々はウエディングドレスとか婚礼用のぬいぐるみを作っている一般の会社だったんですけれども。そこで、縫い子さんと言われる縫製の技術者さんがなかなか若い人も含めて育っていかなくて。まず、技術者さんを探すにあたって一般的な求人をして、実際にその縫製をできる方が来るんですが、いらっしゃる方にお話を聞くとだいたい障害者の手帳を持たれている方が非常に多かったんです。それで、普通のお仕事として一緒にしていたんですけど、長い方でも2年、短いと3ヶ月ぐらいで体調を崩されて辞めていくっていうケースが続いて、その方が抜けてみると実際にはお仕事の穴が開くので。少なからず、その方たちがお仕事やれていたんですね。それで、たまたま通っていた方の親戚の方で福祉のサービスの事業所でお仕事をされている方が、うちの会社のアトリエを見に来られたんです。そして、"このお仕事って、福祉のサービス、要は障害を持ってる方たちが働けるんじゃないか"というアドバイスをくださって。それがきっかけで2015年に設立するに至ったという感じですね。」

[プチレダという会社で、障害のある方に働いてもらっていた時には、体調を崩してやめていく方が多かった]というお話がありました。では、継続して働いてもらうには どうすればいいのか?我妻さんは、さまざま福祉の作業所を見学しました。

「何となく色んなところを見学することで自分の中で見えてきて。例えば、一般だと1日8時間働くとして、8時間働いてると体力的にきつければ、じゃあそれを1日5時間にすれば継続できるんじゃないかとか。例えば業務内容を、1から10の工程があったら、1から2の工程まで、今度は2から3と細分化していくことによって、1人1人の能力に当てはまった作業を割り振ることができれば長く働けるんじゃないかなっていうのがきっかけだったんですね。」

2015年に設立されたレダクラフト。現在おこなっている ものづくりのひとつに、商店街・百貨店・企業などによって使用されたPRのフラッグを、使用後にトートバッグなどへ再加工するプロジェクトがあります。

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「うちの会社が麻布十番商店街に属していて、麻布十番商店街も1か月に1回ぐらいPR用のフラックが変わっていくんですね。毎回あれを外して撤去して廃棄をしていたので、ちょっともったいないよねっていうところで。ちょうどその当時、エコバッグが結構話題になっていた時だったので、じゃあ、商店街で買い物するときに、今まではPR用に使っていたものが、役目が終わったらバックに変えてっていうのをスタートしてみたんですよね。そしたら案外買われる方が皆さん大事に使ってくださっていて、今かなりコレクターみたいな方も増えていて。」

このフラッグ・リユース・プロジェクトのひとつとして、J-WAVEが開催したイベントINSPIRE TOKYOのフラッグ、幕などをバッグにリメイクしていただきました。ちなみに、このお仕事は、港区の 障害者就労支援事業所の共同受注という仕組みを通して制作をお願いしたものです。ものづくりの幅を広げながら活動を続けるレダクラフト。設立してからこれまでについて、我妻さんはどんな感想をお持ちなのでしょうか?

「どこの業界も、いま人が足りないとか、特に技術を持っている人たちが育たないとかっていう悩みがあると思うんですけど、その部分に少し業務のやり方を変えたりとか細分化してあげることで、障害を持っていたりとかご病気の人も何らかで役に立てると思うので、ぜひ人手不足で困ってる会社さんは、ちょっと違うところに目を向けていただくと、そういう人たちの活躍にもなれますし、障害を持ってる人たちもやっぱり社会との接点を常に持っていたいと思うんですけど、そこがやっぱりすごい難しい世の中になってきてるので、ぜひ人手がいなくて困ってる会社さんとか、業務がアナログでっていうところは、そういう担い手に目を向けていただけたら良いなと思ってます。うちはそれを縫製業という立場でやるので、色んなモノづくり、ミシンを使ったり針と糸を使うお仕事で、そのご縁があるものは全部、糸を紡いでいけたらいいなと思ってます。」

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最後に、レダクラフトの今後のヴィジョン、教えていただきました。

「全国にいっぱい障害者の事業所ってあるんですね。 それで、その中で自分たちでお仕事を見つけてきてやれていくってところがまだまだ少なくて、自活できないんですよね。なので、例えばレダクラフトが取ってきたお仕事の中で、じゃあ作るところまではうちがやるので、梱包するところを他の事業所でやりましょうとか、記事を切る作業は他のとこでやりましょうとかっていって横の連携をとっていけると、距離的に近くても遠くても全体が盛り上がっていけばいいのかなと思って。そういう横の連携とかプラットフォームっていうのを今後作っていきたいなと思ってます。今現在も、ぬいぐるみを作る中で必要な作業で裁断するところは、宮城県の仙台にある福祉の事業所にお願いをしています。 もうこれは3.11の後から、そこの事業所さんがお仕事がないということで、単純な作業ならできると思うからと、うちからぬいぐるみを裁断してくださいって出したのがきっかけで、未だにご縁があって、ずっとしてもらってますね。」

【J-WAVEとのコラボバッグについて】

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今年の夏に開催したJ-WAVE INSPIRE TOKYOのフラッグを使ったバッグが完成!12/2(土) 3(日)、代々木公園イベント広場一帯で開催するJ-WAVE 「INSPIRE TOKYO WINTER」で販売します。みなさん、会場で、ぜひ手にとってみてください。

一般社団法人レダクラフト