今回は、韓国・ソウル出身のプロデューサー、DJNight TempoさんのHidden Storyいわゆるシティポップの音楽シーンを引っ張る存在でもあるNight Tempoさん。そもそも、日本の昭和のポップスに興味を持ったのは、どんなことがきっかけだったのでしょうか?

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小学生の頃からなんですけど、きっかけはお父さんが日本で買ってきてくれたCDの中に入っていた曲です。最初は何の曲か分からなくて後から分かったんですが、中山美穂さんの【CATCH ME】という曲で。その曲から色んな魅力を感じて、それで似たような曲を色々探しながらどんどん日本の曲を調べるようになりました。」

中山美穂さん、1987年のシングル【CATCH ME】。角松敏生さん、作詞・作曲・アレンジのナンバーですが、この曲がきっかけだったんですね。その後、現在に至るまで昭和の音楽をたくさん聴いてきたというNight Tempoさん。ご自身の活動に昭和ポップスの要素を取り入れたのは、こんな理由からだったそうです。

「例えばフランスのDaft Punkが、洋楽のディスコ音楽をサンプリングして音楽を再構成・再構築してやってるのが面白くて。じゃあ僕はアジア人だからアジアの音楽でやってみようと思った時に、やはり今まで色々聞いてきた音楽が日本の昭和ポップスだったので、その流れで色々作り始めて今の活動に繋がりました。」

Night Tempoさんは昭和のポップスをアップデートする《昭和グルーヴシリーズ》で人気を拡大。シティポップのムーヴメントの中で大きな注目を集める存在となりました。そんなNight Tempoさんのメジャーからは2枚目となるオリジナル・アルバム Neo Standard920日にリリースされました。

「僕って元々、シティポップとかはどっちかというと作るよりはサンプリングをしてたので全く関係がなく、ダンスミュージックを作っていたので、今回のアルバムもほぼ半分以上の曲がダンスポップで。他のちょっと遅めのミディアムテンポの曲もまあまあノれるダンスポップなんですけど。まあ、ダンスミュージックアルバムにしています。今回のアルバムは今までの日本の活動で見せたこととは少し違って、元々自分が作っていた日本の会社と契約して日本で色々出し始めて変わった自分の方向性とかを、今回良いチャンスだな、取り戻そうって思って。自分が元々やっていることを取り戻すことに夢中でした。」

アルバムに収録された曲の中から、この曲について教えていただきました。Shampoo feat. Yu Hayami】。

「シャワーを浴びている最中、よく鼻歌をするんですけど。その鼻歌の中で〈あ、これだ〉というメロディを思いついて、そのまま出てパーッと書いてキープしておいたんですけど、早見さんと繋がって、〈あ、これは早見さんに歌ってもらったら面白いかも〉て思って。早見さんってエナジーを感じられる方で、この曲もすごく活発な元気な明るい曲なので是非早見さんにって思ってお願いしたら、早見さんも"あ、いいね"ってことで歌詞を書いていただいてレコーディングをしました。元々僕は彼女をすごくセンスのかたまり的な方だと思っていたので。それでやっぱり思った以上、すごく新鮮なものが出来上がっていて。早見さん、まだ若いんですけど、今のもっと...例えば20代とか10代のそういったアーティストよりフレッシュな歌詞を書けるんだって思って。ちょっとびっくりしました。」

ちなみに、シャワー中に思いついた曲なのでデモの段階ですでに仮のタイトル【Shampoo】とついていたそうですが、早見さんがその【Shampoo】というワードも盛り込んで作詞してくれ、そこでも〈早見さんのセンスがすごい〉と感じたそうです。その早見優さんも出演されるイベントがあります。11月4日土曜日、日比谷野音で開催されるJ-WAVE & Night Tempo present ザ・ナイトテン・4

「野宮真貴さん、早見優さん、松本伊代さん、渡辺満里奈さん。元々、有名な曲を持ってらっしゃる方だと思っているので、その皆さんが好きな名曲と、あと僕が思う皆さんに絶対知ってほしい・今の世代の方たちにも知ってほしいと思う曲を1曲ずつ選んで。ヒット曲と、僕Night Tempoが選んだ曲1曲で、2曲ずつ皆さんに歌っていただくパフォーマンスを見ることができます。あと、いま僕がプロデュースしているFANCYLABOっていう子たちも、昭和のテイスト・平成初期のテイストも持っているグループになっているので。4人のすごい大先輩の方がパフォーマンスしてくださって、そのあとFANCYLABOっていう子たちも、今もこういう世界を守っていますよっていうのをそこでアピールできたらいいなって思いつつ、ちょっと出演していただきました。ここで亀田誠治さんと一緒にMCをやるんですけど、亀田さんとはJ-WAVEのラジオで一緒になって、そこからよく見てくださって恩人的な方なので、一緒にMCをするのがすごく楽しみです。」

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最後に伺いました。Night Tempoさんの活動の原点にある、昭和のポップス。その魅力とは?

いま聞いても、活気があるっていうところが1番の魅力だと思います。例えば、いま世の中が色々大変だったりもするんですけど、だからこそ最近はもっとクールとか、もうちょっとせっかちな音楽とかばかりなんですけど。当時の日本のキラキラ、みんなキラキラだったわけではないと思うんですけど、表面的にはキラキラだったので。それを歌っているので、非常に明るい、希望を持つことができる音楽がいっぱいあった。それが1番の魅力だと僕は思います。聞いて気持ちいい、気持ちよくなる っていうのが、たぶん昭和の日本の音楽の魅力だと思っています。外国のみんなもそう言っています。」

Night Tempo

祝・日比谷野音100周年 J-WAVE & Night Tempo present ザ・ナイトテン4