今回注目したのは、日本のインフラの課題を市民が参加して解決することを目指して開発されたゲーム『TEKKON』。

「TEKKONというものは、 専用アプリTEKKONをダウンロードいただく形になるんですが、街中にあるマンホールや電柱の写真を撮ることが社会貢献につながる、というゲームアプリになります。」

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お話をうかがったのは、ゲームアプリ『TEKKON』を手掛ける会社、Whole Earth Foundation】のマーケティングご担当である福田恭子さん。そもそも、このゲームアプリの開発に至るきっかけは2020年。代表の加藤崇さんが水道管にまつわる事業を展開していたときのことです。

加藤が水道管の劣化状態を予測するAIシステムを開発していました。その中で、水道業界の皆さんのお声を聞いていきました。そこで分かったのは、なかなか街中にある多数のインフラの状態を把握しきれていないこと。そうして、彼らが状態を把握するために1番有効な手段というものが市民の声を聞くことで、市民から一種クレームという形で上がった場所に点検に行くという形が今のインフラサービスの管理状態になっている、ということでした。そこの部分に私たちは注目をしまして、それであれば市民の皆さんに普段の状態を把握いただき報告いただくことで、効率的なインフラのサービス、インフラの管理サービスを構築できないか、というところがゲームアプリの発想に至った背景になります。

街のインフラを市民のみなさんにチェックしてもらうこと。これこそが、インフラの状況を把握する最適な手段なのではないか。次に課題となったのは、どうすれば市民のみなさんが参加してくれるのか、ということでした。

「インフラを市民の力で守る、という私たちが伝えているメッセージは共感をいただくことはとても多いんですが、では協力しよう!というように人の心を動かすにはかなりハードルがあるなと思っていました。そこで、例えば"純粋に楽しいとか面白いからやるんだ"というゲームの要素を取り入れることで、より多くの人たちに協力いただけるのではないか?というところから、ゲームアプリとして展開しようと至りました。」

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Whole Earth Foundation】はTEKKONのリリース前に、『鉄とコンクリートの守り人』というゲームアプリを開発。マンホール〉に絞って写真の投稿を呼びかけました。実は、日本には1500万枚のマンホールの蓋があり、その内300万枚ほどは耐用年数を大きく超えていて、そのまま使うと危険な状態にあるそうです。まずは、そのマンホールをチェックしよう、ということで始まったのが『鉄とコンクリートの守り人』でした。去年の10月、そのゲームアプリをグローバル版として機能もデザインもリニューアルする形で『TEKKON』がリリースされました。

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「ゲームアプリTEKKONでは、どこにいても誰でも写真が投稿できるような仕様になっています。アプリを開いていただいて、街を歩いている時に電柱もしくはマンホールを見つけたら撮影ガイドに沿って撮影をいただきます。その写真をアプリに投稿いただくと、皆さんにポイントが入ってくるような仕組みになっています。そのポイントは、実はLINE Payに交換ができるというところでゲームで遊べば遊ぶだけ社会貢献にも繋がり、あとは少しだけお小遣い稼ぎにもなるというものです。 市民の皆さんに撮っていただいた写真データは、管理されている自治体もしくは電力会社にデータをお渡しして、写真を通じて状態の把握に活用いただくという仕組みになっています。」

この電柱の撮影については、現在 実証実験がおこなわれています。

「今年4月から東北電力ネットワークさんと1年間かけて、東北全県の写真を撮影しようというものをイベント形式で実証実験を行っています。東北電力ネットワークさんとご一緒している中でTEKKONの新しい機能として挑戦をしているのは、時期によって電力会社が点検すべき項目が変わってくるので、その特別に点検しないといけない項目も、市民の皆さんから情報が集まるのか?ということを検証しています。例えば、5月、6月はカラスの繁殖時期なので、よく電柱の上にカラスの巣ができてしまうんですね。なので、5月、6月ではイベントで、カラスの巣があるかのチェックとして、電柱の写真を投稿するとともにカラスの巣チェックというボタンを押していただいて、データを集めるということも行いました。それ以外にも、電柱につるツタが絡まってしまっているとか、冬の時期ですと雪の重みで電柱が危ない状態になってしまっている、というところも市民の皆さんに情報を集めていただこうと考えています。」

Whole Earth Foundation】の福田恭子さんに、最後にうかがいました。TEKKON』の今後のヴィジョンとは?

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「市民の皆さんが集めていただいたマンホールの写真・電柱の写真を実際に管理業務に使っていただくという事例も全国的に増えてきています。 なので、今後も私たちTEKKONの協業先を増やしていきつつ、実際にゲームを通じて取っていただいたデータがインフラの保全に使われていく、という事例をさらに増やしていきたいなと思っています。もう1つは、撮影対象が今はマンホールと電柱の2つのみなんですが、市民の力で守るべきインフラ、守ることができるインフラというものはまだまだたくさんあるんじゃないかなと思っています。例えば、街灯だったり、ガードレール、信号機、道路の陥没など、意外と身近に危険な状態のインフラはたくさんあるので、私たちとしてはマンホールや電柱に次ぐ、次の撮影対象インフラも増やしていきたいなと思っています。」

TEKKON

アプリを使用する際に必要な「友だちコード」、

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