今回は、前回に続いて 山に関する仕事なら何でも引き受ける、という会社『山屋』のHidden Story2021年に設立された、株式会社『山屋』。代表の秋本真宏さんに改めて、会社のコンセプトを教えていただきました。

「今名前が付いている仕事、例えば山岳ガイドや林業・山小屋のスタッフさんというお仕事は募集がされていたり街の人にも思い浮かべていただけるんですけど、 私が短いなりに山で働いてきて、旅をしながら出会ってきた方々の山仕事と言っても過言ではない仕事は、山仕事だというイメージがない。なんと言ったらいいんですかね、そうしたお仕事たちについて窓口がないな、というのが1番気になってしまうところで。なので まずは分かりやすく、なんでもやりたいメンバーでなんでもやります、という形をとることにしました。

名前も思い出していただきやすいように『山屋』という名称を使って、山で困ってたら何でも相談してください。できることであればお引き受けいたします、という形にしましたね。」

『山屋』は、代表の秋本さんを中心に依頼のあった案件について、全国各地にいる山の仲間で'最適なチーム'を組んで その仕事を請け負う、というスタイルで 事業を展開されています。会社を始めた当初、どんな仕事の依頼があったのでしょうか?

「最初の頃は、植物を調査されている方で、アルプスの片道6時間だったり8時間以上登るところで仕事をしなければならないので、登山に精通して、雪どけの時期から下調べも含めて登れて、山の上で長時間行動できたり安全に行動できる人っていませんかね?というお仕事が来て。そういう人はもうたくさんいたので、早速私含めて3人ほどのチームで始めさせていただいきました。他には、ヘリコプターも車も行けない山の上に、人力で30キロ以上のものを運ばなければならないんですけど相談できますか?みたいなお問い合わせ来まして。 それも、"あ、周りにたくさん、そのお仕事できる人います"ということでお引き受けさせていただいたり。本当に山が好きで山に普段から登っている人ではないとできない仕事の相談が最初からいただけたので、すぐにその形で、自分を含めた何人かのチームで会社としてお仕事をするようになりましたね。」

さらに、離島からのオファーもあるそうです。

離島にも山に登って働くために生活してる方があまりいらっしゃらないので、そこにチームごと呼んでいただいて、しばらく滞在して、その離島でやらなきゃいけないけどやりたい人がいないようなお仕事をまとめてやらせていただくようになりました。もう島って山なんですよね。なので、皆さんが住んでいるエリアを離れた上のところですと、気象観測レーダーですとか。例えばそれが火山だったら、火山を監視するための調査機械のようなものがたくさんあって定期的にメンテナンスしたり、それこそバッテリーを運んだりもしなきゃいけないんですよね、草刈りもしなきゃいけないですし。そういった、なかなか想像がつかない仕事がたくさんありました。」

『山屋』の仕事を進める中で、こうした困り事が全国各地にあることが分かっていったそうです。そして、最近は災害にまつわる依頼も増えているそうです。

近年よく話題になるのが土砂災害ですとか、日本は雨が多いのでそういった部分でのご相談もあります。 山の上の施設に繋がっている電話線や電線のようなものが土砂崩れで途切れてしまって、しばらくその作業ができないということで、我々がその土砂が落ちてるところに登りまして、まずその壊れてしまったものを回収して下ろす部分をやらせていただいた後、そこを復旧するための資材をせっせと登って運んだりとか、そういったご依頼もあって。 日本は山と街の距離が近いので、常に見て状況を把握しておく必要性は多いのかなと思ってまして。崩れやすくなっている箇所を定期的に報告する必要もあると思います。あとは、もう人が入らなくなってしまった森があって、やっぱりその森の下の方のエリアで土砂災害のリスクの増加に繋がっていたりすることもあります。昔は人が入っていたけれど、今はいろんな事情で人が入らないというような山の場所が増えているので、その辺りでどうにか役に立ちたいなと思いますね。」

山での仕事について、エンターテインメントの分野からも相談があるそうです。

創作・クリエイティブの分野からのお問い合わせも多くて、今、アニメ映画で山岳のプロとして監修もやらせていただいていて。よりリアルな山、リアルなクライマーの動きを再現するために、我々のプロフェッショナルなチームを組んで、現地での撮影から実際動きを正確に情報として資料として提供したりとか、様々なところでやらせていただいてます。ご要望に応じてプロのクライマーも弊社の仲間にいますし、山でロープを張って岩にぶら下がって撮影できるカメラマンももちろんいますし、音も録れたりとか、そもそもどこで撮るかも協力させていただいてますね。」

山にまつわる、ありとあらゆる仕事を請け負う『山屋』。 代表の秋本真宏さんに最後にうかがいました。 山の魅力、どんなところに感じていますか?

山の魅力、もう全てですね。聞かれて答えられないのが悔しいんですけど、この悔しさも山の魅力で。もう知りたくて分かりたくて、登って向き合って、私は仕事にして四六時中考えてるんですが、なかなか分からないんですよね。なのに魅かれてしまうというところが一番の魅力で。きっと山に登って、山に登ることをやめられない人たちは、その圧倒的な何か分からない魅力にも取りつかれてしまってるんじゃないですかね。 なので、株式会社『山屋』はもうその気持ち・情熱をそのまま仕事に活かせるような形を目指して、これからも続けていきたいと思いますね。」

株式会社 山屋

@yamaya_corp (株式会社山屋)

@nature1118_life(秋本真宏)