20230707h01.jpg

今回は、Coccoさんにお話を伺いました。去年がデビュー25周年。これまで数々の素晴らしい音楽を生み出してきたCoccoさん、その作詞作曲はどんな風におこなっているのでしょうか?

作詞作曲は詞が先か曲が先かってよく聞かれるんだけど、自分はいつも同じ。ただ歌うだけで、後からそれに無理やりコードをつける。だから歌詞はどういう風に、とかも分からないっていうか...。歌ったままのものがそうなってるから、その意味とかも後から自分でわかることが多い。歌が出た後にライブで歌って、あ、こういう歌だったんだっていう。歌が最初に教えるっていうか、なんか予知夢みたいな感じ。いつもそういうイメージだなって思います。例えば、食べたものが消化されて出ていくでしょ。 だから、その食べたもので体ができてるっていうか、出てくるのも食べたものによって変わるっていうか。生きていたら色んな情報が自分に入ってきて、見たものとか聞いたものとか、そういうものが自分の中で消化されて出てきたのが歌だから。」

今回の新曲『ファンタジー』は、テレビ東京のニュース番組【ワールドビジネスサテライト】のエンディングテーマ曲となっています。Coccoさんはライヴでこの曲を歌うなかで、サビの部分の歌詞について こんなことを感じています。

20230707h03.jpg

「やっぱり今は多様性が求められる時代になって、多様性がいっぱい受け入れられる時代でもあるはずなんだけど、やっぱり白か黒かっていうのが答えとして迫られる部分が多いなって。やったかやってないか、"はい"か"いいえ"かみたいに決めなきゃいけない部分が多いなっていうのは感じてて。でも、それでもやっぱいろんな色があっていいんじゃないかなっていう。白と黒だけじゃなくて。紫なんていろんな色が混ざってる色だから、そんなの説明もできないけど、紫の雲の美しさっていうのは事実としてあったりとか。そういう中で、みんながみんな幸せになりたいと思ってるし、みんなの幸せを祈ってるし、みんなが正義を掲げて戦ってしまってるんだけど。みんな幸せになれたらいいって、すごい簡単みたいで当たり前みたいなことだけど、1番難しいこと。 でも、やっぱりそう祈らなきゃいけないっていうか、みんな幸せになれたらいいって祈らずにいられないっていうか。でもそれって1番ファンタジーなんだなっていう難しいことで、でもそうなったらいいなって願わずにいられない。そういう人間のサガっていうか、永遠のテーマだなあって。」

さらにCoccoさんは、こう続けます。

「みんなそれぞれ責任を背負って生きていると思うんだけど、学校の先生は学校の先生で明日休んだらクラスはどうなるかと思ってるし、世の中のお母さんたちは自分が倒れたら子供のご飯どうするんだって、自分だけは欠けてはいけない・やらなきゃいけないって ものすごいプレッシャーの中で頑張ってて。昔は絶対この人がいなくなったら世界は終わってしまうだろうって信じてた頃とか、でもその人がいなくなっても世界って回ってて、朝って来るんだなっていう。昔はどうしてあの人がいないのに朝が来るんだろうって、それが悲しかったけど、。でも大人になると、"あ、自分がいなくても朝は来るんだ"って少し安心できた。なんかホッとして、大丈夫だって、自分が立ち止まっても世界は回るっていう。だから、あんまり頑張りすぎないで疲れたら休んでもいいんだよってそういう風に思えたらいいなっていう。だから、ちゃんと自分で自分にアイラブユーとか、大丈夫だよ、あなたがいなくても世界は回るけど必要だよって。あなたが大好きだよって。ちゃんとなんかそれぞれが自分を愛しむことができたら安心して休めるかなっていう。そういうイメージですね。」

レコーディングの際の、アッキーこと藤田顕さんとのエピソードも教えていただきました。

「レコーディングの時に2番のAメロのところで、ギターのアッキーに ちょっとなんかやってって言ったら、アッキーが ちゅるるるるって、ちょっと可愛いことをやったのに途中でやめたのね。それがすごい面白くて。で、そこを本人は消してほしいって言ったんだけど、コウはそういうの大好物だからそのまま残して。結果的にミックスもしたらすごい良い感じのアクセントになったからすごい良かったんだけど、それをこの間のツアーの時にアッキーが再現したらツボに入って笑っちゃって。2番が全然歌えなくなっちゃって。自分で採用したのに、今後ライブの時に相当気合を入れないとすぐ笑っちゃいそうだなと思って。ライブでもアッキーが、ちゅるるるるってそれをやってくるから面白くて。多分みんな誰にもわからないんだけど、コウとアッキーだけがそこツボっていつも笑っちゃう。」

最後に、去年デビュー25周年を迎えたCoccoさんに歌でどんなことを届けようと思ってきたのか、デビューのころと今でどんな変化があったか伺いました。

20230707h02.jpg

「歌で届くっていう 大きな達成感っていうのは何か思い過ごしかもしれないし、届くなんて夢見てたら挫折してしまうから そんな大それたことは考えないようにしようと思ってるんだけど。1番最初に歌った時は感謝の気持ちは1個もなくて、とにかくバレないうちにやめようってことしか考えてなかったから。今はその時と比べると本当にありがたいって思うことが100パーセント、120パーセント、いっぱいで。本当にありがたいなと思いながら歌ってますね。 」

Cocco Official site