20230616h02.jpg

今回は、いきものがかり 吉岡聖恵さん、水野良樹さんにお話をうかがいました。いきものがかりは2021年に2人体制となり、去年は吉岡さんが第一子を出産。そんな変化の時を経て、新曲『STAR』がリリースされました。宮沢賢治の父・宮沢政次郎の視点で賢治を描いた映画【銀河鉄道の父】の主題歌となっていますが、そもそもどんな経緯で作曲が始まったのでしょうか?

水野:最初に映画のお話をいただいてね。実は、吉岡が出産を控えてる時期だったので、そろそろちょっとお仕事セーブしようかみたいな時期だったんですけど。脚本とか、ラッシュ映像っていうんですか?編集されたものを拝見したら、これはね、やりたいと。なんなら吉岡が出産するからこそ、みたいな。

吉岡:そうですね。今の時期ならではというか、物語に描かれている親子の愛だったりするところが自分たちにぐっと来てしまって。これ、なんとかしてやらせていただけないかなということで。結構強い気持ちで。

水野:手をあげさせていただきました。吉岡が出産を控えているところもあったけど、僕も息子がいたりしてメンバーの今の状況にもすごくリンクしたので、物語のことも考えながら広い意味で誰かを想うみたいな、誰かを肯定するみたいなところを書けたらいいかなっていうところで詞を書いてた感じですかね。」

STAR』の歌いだしの歌詞は、《たとえ君が悪者でも 抱きしめるのさ》。ちょっと強い言葉で始まります。

20230616h03.jpg

水野:どうしても周りの反応だったり世の中の流れだったり、あと例えば親は子を愛さなきゃいけないとか。そういう決まりきった倫理みたいなもので誰かを愛するんじゃなくて、自分はどう思って自分の価値判断で家族を愛するとか、誰かを愛するっていう。そういう自分の判断で物語を作っていく人や頑張って作ろうとしてる人を肯定したい、みたいなことがあって。それで《たとえ君が悪者でも》という、ちょっと強い言葉をここは使いたいなって思いました。しかも、【銀河鉄道の父】の主人公にもなっている政次郎さんが、当時の時代でいったら皆さんから笑われるかぐらい息子を溺愛してしまうみたいな。だけどその不格好な感じが非常に愛らしく共感できる感じであって、ああいう風に自分の判断で誰か人を愛するっていうことを上手く書けたらいいかと思いました。」

映画【銀河鉄道の父】は明治時代から物語が始まります。その頃の父親は、子どものことであれこれ動いたりせずに、どっしり構えているものという世間の風潮だったんですね。ですが宮沢賢治の父親は、息子を溺愛。この曲では、そのような'周囲を気にしない愛し方'を肯定したい!ということ。そんな楽曲『STAR』。レコーディングはどんな風に進んだのでしょうか?

20230616h05.jpg

水野:吉岡が出産を控えている時で、なかなか多くの現場に出ることができない時期なんで、オケのレックの時に来れなかったんですよ。それで彼女は差し入れして、プリンかな...

吉岡:プリンを。みんな好きかな、行けなくてごめんなさいみたいな感じで。

水野:ミュージシャンの皆さんもみんな知ってる人たちで、ライブとかでもお世話になってて。みんな"聖恵ちゃん元気?""今どんぐらいおっきくなった?"みたいに、ずっと聖恵のことを心配しながら、聖恵を感じながらレコーディングしていて。これがまたすごく愛があるなと思って、幸せだなみたいな、ありがたいなみたいな。"いや、良かったね"って、"良い曲だね"みたいな感じで言ってくれて。みんな親戚のお兄ちゃんみたいな感じになるホーム感がありました。だからね、あれはすごいグループとして嬉しいなっていう風に思ってましたね。

20230616h04.jpg

曲づくりについて、こんなこともうかがいました。いきものがかりの曲は、誰もがわかる言葉で 素敵なメッセージが紡がれていて、初めて聞くときに、その言葉がメロディとともに飛び込んできます。そういう曲づくりの秘密、どんなところにあるのでしょうか?

水野:隣にいてメンバー褒めるの恐縮なんですけど、最近思うんですけど やっぱり聖恵さんはっきり歌ってますよね。言葉が一聴してすぐわかるように。路上ライブの時からよく言うんですけど、やっぱりすぐ聞いてもらってすぐ分かってもらえないとみたいなところがあって。まず歌詞をそのまんま必ずはっきり歌う、感情を込める手前ぐらいでまず聞き取ってもらうみたいな、その丁寧さが吉岡さんあるなって私思うんですけど、いかがですか。

吉岡:嬉しいです(笑)。そうですね。童謡を小さい頃から家族に仕込まれてまして。 路上ライブもそうですけど、ライブで初めて聞いて歌詞を1回で聞き取ってもらえるっていうのは良いなって思っています。せっかく素敵な言葉を言ってたりする時に聞き取ってもらえないのは嫌だなって思って、聞き取りたいタイプでもあるので。でも、デビューした時からエヴァーグリーンな曲を書いていきたいっていうことは言ってたので、そこはずっと貫いてるところなんだなと思います。だからこそ歌詞が聞き取れないのが嫌だなって思って、そこはすごくこだわってるところではあると思いますね。」

いきものがかりは、来月、代々木第一体育館で開催、J-WAVE presents INSPIRE TOKYO」にもご出演いただきます。

水野:J-WAVEのおっきなライブはですね、ずっと遠いなって思いながらね、デビュー当時から憧れだったんですけど。やっと出していただけるので、もうありがたいです。

吉岡:楽しんでいきましょう。それこそイベントには2人体制で出てくのは、初めてかな。

水野:初めてなんですかね。ほぼ初めてですね。緊張するよね。

吉岡:ライブとしたらほんとに何年か前のツアーぶりなんだよね。バンドでドンってやるのが。

水野:お客さんもね、多分いきものがかりってわりと長くやってるし、堂々としたライブをやると思ってらっしゃると思うんですけど。めっちゃ今、新人な感覚でいるので。2人体制初めてだからそわそわしてんのよ。 

吉岡:そわついてるよね。

水野:すごく初々しいライブが見れると思います(笑)

吉岡:すごく楽しみですね。  水野:YUKIさんとか出るんだよ。

吉岡:もうYUKIさんって。デビュー前にもYUKIさんの武道館を3人で見に行かせていただいたり、私は高校の頃はジュディマリさんのコピーバンドをずっとやってたので。 水野:ジュディマロね。
吉岡:そうです、もうやめよう、それ言うの(笑)。本気だったんだよ。でも、それを思うとほんとに夢のようなステージでもありますし、高校の時の自分に言っても信じないと思います。

水野:それも楽しみだね。すごいアーティストの皆さんと。」

2人体制のいきものがかり。その新たな一歩が夏の始まり、代々木第一体育館で刻まれます。

20230616h01.jpg

いきものがかり オフィシャルサイト