今回は、SKY-HIさんのニューアルバム『THE DEBUT』のHidden Story。
SKY-HIさんは、2020年、マネージメントとレーベルの会社「BMSG」を設立。BE:FIRSTをはじめ、新たな才能がそこから生まれています。そして、今年9月には、BMSG FESが開催されました。
「ある意味、自分のBMSG設立の意義は、ある種全部詰め込まれてて、ソロアーティスト・ラッパーであったりシンガーであったり、ボーイズグループのライブであったり。しかもその年齢層はとても幅広く、それがシームレスにライブを全員で一つのライブを作り上げていき、一つの素晴らしいショーを、同じモチベーション・同じ気持ちでやれるっていうのは結構、自分が思い描いていた、やれるはずだ、という夢物語だったんで。
それが実現できて、しかもそれは、ものすごい興行的に大成功という、直接もそうだし配信も観てくれてたっていうこと、あそこが興行・商業として成功したということがBMSGの設立の一番の成功・正解・OKマーク&未来がだいぶ開けた瞬間であったと思ってます。」
アーティストたちを世に送り出す。そんな社長業のかたわら、ご自身のアルバム制作が進められました。今回は、どんなアルバムにしようと考えたのでしょうか?

「どんなアルバムを作ろうっていうよりは、最近は特に音楽に向かい合うにあたって、本能的・衝動的みたいなものをすごい大事にしていて。純粋に音楽を作るというか、そういうことをすごい大事にしていて、やっぱりロジカルにやりたがる性分なので、意味をつけたり、伏線を張ったり、そういうことを考えて構築してやっていくタイプなんですけど。
この何年かはずっとロジックに寄ってたので、フィジカル性、聴いて踊っちゃうぞイエー!みたいなこととか、何か知らないけど楽しいぜイエーイ!って言うバイブスを大事にしたいなと思いましたし、人間としての自分ってそういう部分は相当強くあるし、そういう部分は自分でもすごい好きな自分のところだし、いろんな人がついてきてくれる要因の一つのはずなのに、それを音楽でやってないのはよくないなとか、いろいろそういう思いがあったんで。
マジで今回は何も考えないですからねっていうのを言いながら作りましたね。」
SKY-HIさんは、さらに、こう続けます。

「いかに邪念をなくすかっていうか、脊髄反射のような感覚で出てくるものに今、美しさをすごい感じていて、多分、文字でのコミュニケーションがメインの世の中で、文字が勝手に炎上して文字が勝手に殺伐として、文字で勝手にギスギスとして、みたいなことが多いのかな。
そういう世の中の中で、ロジカルな言葉でいいことを言うのに自分が必然性を感じてなくて。説教臭くなっちゃうなって思ったんですよね。それは自分の置かれてる環境で真面目なことや良いことを求められた理由・機会も多かったからかもしれないし、考えるな感じろっていう。」
曲づくりは、さすがに考えないとできないような気がしますが、トラックとリリック、どちらが先で、そして、どんな風にレコーディングしたのでしょうか?
「今回は理想は同時で、だから、基本的にはもうスタジオに行きました、会話しました。その延長でトラックの製作がスタートしました。後ろでぼやぼやしながら、トラックの骨組みができた段階で歌を乗せてくとか...もうとにかく、同時。
今は歌いながらトラック作るとか。(笑) いや全部2週間ですよ全部新曲。だから1日1曲みたいな。考えないために必要なことは考える余裕を与えないことです。
もう今日こそ何も出ないんじゃないかなと思ってスタジオ行くけど、なんか出てくるんで、ウケるっす。その限りは多分、音楽やれって言われてるってことだと信じる。」
ニューアルバムのタイトルは、『THE DEBUT』。そして、そのタイトルトラックは、アルバムのラストに収録されています。
「大人になればなるほど、精神的成熟は歳を経るにつれてしなきゃいけないんだけど、それに比例して好き嫌いもやりたいこともやれないことも全てロジックがついてきちゃうっていうか。
例えば、SNSとかでもよくアニメとかもそうかな、子供向けの漫画なんだけど実は深いみたいなやつとかってのを、実は深いで安心しないと堂々と好きって言えない感じとか。自分が好きならそれでいいのに、『いやこれは違くて』って何かロジックで言い訳したくなっちゃうような感じ。
それらを全てぶっ壊したくて、漏れなく自分も音楽作るにあたって、今、本当はこういうことやりたいんだけどこういうふうに思われるかなとか、こういう見え方するかなとか。なんかこういうのの方が広がる・売れるとかそういうことを考えながらやっぱものを作るわけで。
それを1回やめたくて。本当に純粋性・ピュアネス・衝動・少年性・好きに音楽で遊ぶっていう感覚をやっぱ1回突き詰めようとしてたら、本当にクソガキみたいな曲ができちゃったっていうのが、『THE DEBUT』ですね。」
アルバムのリリースに際して、SKY-HIさんはこんなツイートをされています。

【いつだって誰だってどんな境遇だって、デビューできる。なりたい自分になってやろうと思ったら その時がデビュー。】
「ずっと考え続けて何かと戦ったりしてきたんで、今は多分、そういう必要がなくなったんで、やっとここにたどり着けたっていう感じはあるかも。
何枚も何枚もアルバム作ってきて、今やっと本当に何も考えない、そういう邪念・計算・ロジック、そういったものを本当に考えないで音楽が作れる。もちろん考えても作れるんだけど、考えないで作れるタイミングが来たんだっていうのはちょっと大事にしたいなと思って、ここで刻めたのはめっちゃ良かったっすね。」
