ワールドカップ開催中の今回は和歌山県のサッカークラブをご紹介します。クラブの名前は『南紀オレンジサンライズFC』。
「『サッカークラブ×移住×農業』をテーマにしていまして、選手・スタッフが県外から和歌山の南の地域の方に移住をし、ここは農業が盛んな地域なんですけど、そういう地域に対して農業の人手不足であったり、企業さんの人手不足とか、そういったところの課題解決のお手伝いをしながら、サッカークラブとして上を目指していくということをコンセプトに活動しているサッカークラブになります。」
お話をうかがったのは、南紀オレンジサンライズFCの代表、森永純平さんです。森永さんが立ち上げたクラブのコンセプトは、『サッカークラブ×移住×農業』。このコンセプトはどんなふうに思いついたのでしょうか？
「もともと私自身が大学を卒業してから野球の独立リーグの球団であったりとか、別の地域のサッカークラブにたずさわることが、合わせて8・9年ぐらいあったんです。その中で、前にいたチームは勝利至上主義といいますか、勝つことを第1にやっているようなチームで、そのスポーツ自体に興味がない人に対して価値を与えるというのが難しいと感じることが多くて。よりそのスポーツというか、サッカー自体に興味を持ってもらおうってなったときに、やっぱりサッカー以外の活動というか、サッカー以外でどれだけ地域のために役に立てるかというところが本当に大事だなと感じる機会が多かったんです。」
サッカーに興味のない人に、どうすれば興味を持ってもらえるのか？森永さんはこう考えました。サッカー以外のことで 地域に貢献することが大切だ。また 逆に、選手が地域に愛着を持つこと。これも大きなテーマでした。
「サッカークラブ自体がやっぱり選手の入れ替わりが激しいということがあります。毎年半分以上の選手が抜けていくというのが基本的な流れで、そうすると結局、そういった選手たちもなかなか地域に愛着も持たないし、サッカーをやめたりとか、チームを離れたタイミングでその地域を離れる、ということが一般的な流れだったんです。ただ、逆に言うと毎年本当にいろんな地域からいろんな選手が来る、というところはサッカークラブの一つの特徴で、そういった選手たちが地域に愛着を持つためにその地域に対してできるだけ長くいてもらう。例えば、サッカーをやめた後でもその地域に定着するというか、そういった流れが少しでも生めるのであれば、それだけで他のチームとは違ったと特色が出せるんじゃないかなというところが発想のきっかけですかね。」
森永さんは、移住者の受け入れに積極的な『和歌山県』に注目します。梅干しの製造が盛んな みなべ町、田辺市、上富田町を活動エリアにサッカークラブを設立。今年2月、南紀オレンジサンライズFCの練習がスタートしました。全国各地から移住してきた選手たち。地域の人手不足を解消するお手伝いをしている、ということでしたが、実際、選手たちは、どんな仕事をしているのでしょうか？
「梅が盛んな地域なので、そういった梅農家さんであったりとか、その梅農家さんがとってきた梅を実際に商品加工する加工業者さんが多い地域なので、そういったところで働いている選手もいます。あとは実際、この地域自体が大学とか専門学校がない地域なので、高校を出たらなんとなく外に出ていくというのが流れで、そうするとやっぱり若い男性の方があまりいらっしゃらない、という現状があって、どちらかというと若い男性のニーズが高いような雰囲気があります。そういったところで人手を探されてるような業種。実際、農業と関わらないところでも、例えば、放課後デイサービスとか、あとは高齢者の方が通うデイサービスとか、そういったところでも働いている選手はいますね。」
今年、活動をスタートした南紀オレンジサンライズFC。代表の森永純平さんに最後にうかがいました。今後のヴィジョン、どんなことを考えていますか？
「サッカーに興味ない人に対してどれだけ応援してもらえるか、というのが大事だなと思っています。本当に極論、地元の上富田で試合するとなったときに、そういったサッカーを全然知らない人たちで会場が埋まるぐらいにしたいなと思ってまして。そうするためにはやっぱりサッカー以外の普段の活動をどれだけ真面目に取り組むか、というところが大事だと思ってます。あとは実際問題、和歌山自体がJリーグがない県の一つではあるので、例えば本当に地域の人たちが本当にこの南紀オレンジサンライズFCが、Jリーグ目指しましょうよと思ってもらえるようなチームになっていくことが本当に理想だなと思ってます。
実際そういった活動を継続していく中で、年齢的にサッカーをやめる選手がこの地元に残って、地元の農家で働いたりとか、和歌山に来てくれた選手たちが好きになってくれて、というような循環を、クラブとして生めたら本当に理想だなと思ってます。」