今回は、世界各地の唐辛子およそ200品種を栽培、そしてそれを販売するお店、その名も【Peppers.jp】のHidden Storyです。
【Peppers.jp】の代表は、村山晋作さん。以前は、東京都内のIT系の会社にフルタイムで勤務されていました。そんな村山さんが、なぜ、唐辛子の栽培を始めたのか?その経緯を教えていただきました。

「もともと辛い物好きで、たまたまホームセンターに買い物に行ったら唐辛子の苗が売ってまして、それをまず自宅のプランターなどで栽培し始めました。そのとき初めてフレッシュな唐辛子っていうものを食べたんですが、フレッシュな唐辛子の香りとか、乾燥物と違った辛さとか、そういうものに興味をもちまして。その時、栽培していたのは普通の鷹の爪のようなものだったんですけど、その次の年ぐらいにハバネロ栽培キットを買って、たまたまなんですけど、ハバネロ栽培キットに別の唐辛子の種が混じってしまってたようで、実がなってみたらハバネロとまた全然別のハラペーニョっていう唐辛子ができてしまったんです。同じ唐辛子といっても、ハバネロとハラペーニョで、全然、実の厚さ・香り・辛さなどかなり違いがあったので、そこからもっと唐辛子にのめり込んでいきました。」
ハラペーニョ
唐辛子を本格的に栽培したい、と考えた村山さんですが、ちょうどその少し前にお母様が群馬に引っ越されます。そして、お母様が引っ越されたところに畑がありました。村山さんは、会社づとめを続けながら、その畑を使って唐辛子の栽培を始めたのです。
「群馬で唐辛子栽培を始めた年に、この時点で2・30種類の唐辛子を育てていて、それがある食品メーカーの方の目にとまりまして、その食品メーカーで栽培するための唐辛子の苗を作ってくれないか、という打診を受けました。海外から100品種ぐらいの唐辛子の種を取り寄せて、苗作りを開始したんですが、苗ができた頃にその方は別の部署に異動になってしまいまして、手元には100品種ぐらいの唐辛子の苗が残ってしまったんです。一応お金はいただいたので問題はなかったんですけど、残ってしまった苗はそのまま廃棄してしまうのはもったいなさすぎるので、畑で、自分のところで栽培してみようと。」
そして、この【Peppers.jp】、活動が軌道にのったのは、都内のマルシェへの出店がひとつのきっかけだったそうです。
「かなりはまってしまう人も多くて、毎週出店するたびに、ハラペーニョをどっさり買っていく方とか、マルシェに並べている50種類ぐらいの唐辛子の品種から、今回はこれを試してみようということでいろいろ買って行かれる方とか増えてきて、またマルシェに出店していると、都内のレストランの方も結構訪れるようになってまして、手応えは感じているところです。」
代表の村山さんによると、いよいよこれからがフレッシュな唐辛子のシーズン。どんな唐辛子をどんな料理に使うのがおすすめなのか、教えていただきました。
「一番おすすめなハラペーニョですが、こちらは縦に半分に切っていただいて、たねと胎座の部分をくり抜いて、そこにチーズを詰めてベーコンをくるっと巻いて、あとはフライパンで両面をジューっと焼いてあげると、辛さとチーズやベーコンの親和性が非常に良くて、ウマ辛でとても美味しいお酒のつまみになります。あと、ハラペーニョはピクルスにしてもとても美味しいです。
カロライナリーパー
ハバネロとか、カロライナリーパーなんかの激辛のものでしたら、自分の好みでいろいろ加えてホットソースを作ってみたりとか、アルコールに漬けて、辛い調味液を作るような、そういった使い方もいいかと思います。」
ちなみに、世界の唐辛子に詳しい村山さん、海外には、どんな唐辛子料理があるのでしょうか?
「唐辛子をよく使う国で知られているところだと、ブータンでは唐辛子のチーズ煮というものをつくって日常的に食べられていたりするそうです。メキシコだとサルサに使われていたりとか、あと大型の唐辛子を使って唐辛子の肉詰めみたいなものもあったりします。イタリアのカラブリア州では、唐辛子と豚肉を使ったハムみたいなものもあったりします。これがまた発音が難しい『ンドゥイヤ』っていう唐辛子のハムみたいなもので唐辛子と豚肉のひき肉を混ぜ合わせて腸詰にして、ちょっと熟成させたようなものになりますね。」
最後にうかがいました。村山晋作さんは唐辛子の魅力、どんなところに感じているのでしょうか?

「一つの作物で、これほどまでに違いがあるものっていうのもなかなか少ないかと思うんですよ。辛さも食感とかも全然違っていたりとかするものがありますし、形もユニークなものだったりとか。でも栽培してみると、あの実だけではなくて、花もいろいろな特徴がありまして、普通の日本の唐辛子なんかだと白っぽい小さめの花が咲くんですが、ペルーの方の唐辛子の品種だと白い花の中心に黄色い斑点がついているようなかわいらしい花が咲いたりとか。そういう植物的な意味でも、なかなか面白いなと思っています。」

