今回は、マーマレードの本場イギリスで一年に一度開催される【世界マーマレードアワード】で、甘夏のマーマレードが3年連続でブロンズ賞。さらに、レモンのマーマレードがシルバー賞を獲得!福岡県糸島市で素晴らしいマーマレードを生み出している、『千鳥屋 糸島別荘』の原田 万紗子さんにお話をうかがいました。

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原田さんは、現在78歳。 実は、以前は東京にお住まいでした。「2017年ですから今からちょうど5年前の12月に、それまで55年ほど東京で主人の仕事を手伝っておりましたけども、仕事からリタイアすることをきっかけに移住してまいりました。以前からここは主人の母が60年ほど前に別荘として作ったところで、しょっちゅうここには家族で来ておりましたし、私も主人も、もともと福岡県の出身ということもあって、いっそ、この別荘というかこの糸島で暮らしてみようと。 」

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原田 万紗子さんと原田良康さんは東京で、お菓子屋さん【千鳥屋】を営まれていましたが、そのお仕事を引退し、福岡県の糸島市に移住されました。では、マーマレードづくりを始めたのはどんな理由からだったのでしょうか?

「主人も私もとてもお客様が好きで、いろんな方が訪ねて来ていただいたりするんですけど、そういう方たちにちょっとお土産にお渡しするものが何かないかなと思っていたんです。私は娘ばかり4人おりますが、その娘たちがここの千鳥屋糸島別荘の裏山で採れた甘夏ミカンとかをマーマレードにして逆に送ってくれたり食べさせてくれたんですが、割と美味しいもんで、これはいいアイディアかも知れないと思って、ちょっと娘たちのレシピを教わりながら作ってみて、それからいろいろ主人と試食しながら考えて作ってみました。」

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裏山でとれた甘夏をマーマレードにしてくれたのがきっかけ、というお話ですが、その裏山には、もともと、柑橘類の木が植えられていたのでしょうか?

20220506h04.jpg 「とっても景色の良いところを主人と母が見つけたときは農家さんの家だったそうで、裏は棚田になってお米を作ってたそうなんですね。もちろん母はとても忙しい人でしたしお米を作るということはしなかったんですが、その代わりにその棚田に甘夏ミカンをたくさん植えたんです。甘夏とか晩白柚とかレモンとかそういう柑橘類、それとお茶を植えて、それを毎週末きて楽しみに育てたようです。14~15本の甘夏ミカンの木があるんですけど、割に非常に南向きで海からの風があって、この糸島の市内でも早く実るというか、早く色が付くみかんができるんです。本当に母が遺してくれた宝物ですね、楽しみにいつも山に登ってます。」

最初は、お友達にプレゼントしていたマーマレードですが、その後、JAが運営する糸島市の直売所『伊都菜彩』で扱われるようになり、人気に。 そして、オンラインサイトでの販売もスタートしました。いまも原田さんがほぼおひとりで製造されている、というマーマレード。どんな風に作られているのでしょうか?

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「まずちぎってきまして、それをよく洗います。そして、4等分に切ってみかんの皮と実を別々にします。皮の方は細く、中の白いところを削り取った上で全部手で細かく切り、皮は3回綺麗に洗って、3回茹でこぼしをします。そして実の方は袋から出してそのときに種を別にして、その種がペクチンになるんですけれど、お茶こし袋みたいなのに入れてとっておいて、実と茹でこぼしをした皮と種を入れた袋とグラニュー糖を入れて1時間半ほど煮込みますと、ちょっととろみが出て綺麗な色のマーマレードの色がついてきますので、だいたい1時間半ほど煮ます。本当にシンプルです。あと、山の上にあるレモンを切って、そしてそれを絞ったものを入れる。それで味がキリッと引き締まってきます。」

1日につき瓶の数、30本から40本分。週に3日ほど作業をされているそうです。そして、最初は、甘夏から始まったマーマレードですが今は、季節によって、レモンやゆずのマーマレードも作ってらっしゃいます。さらに、梅やいちじくのジャム、良康さんが焙煎したコーヒーも販売されています。海沿いの街、南向きの斜面に植えられた柑橘類。海からの風を感じながら、きょうもマーマレードづくりが続きます。

「まずは自分自身が健康でないと作り続けられないと思いますし、あとはやっぱり買っていただくお客様に喜んでいただけるように。今、時代はコロナとか本当に怖いお話、ウクライナの話とかある中でも、本当にたった一つのマーマレードの瓶をお持ちいただいて、そして、そこにほっとしていただけるとか、笑顔をもたらせることができればとか、非常におこがましいんですけど。この景色のいい糸島からの発信する、季節の旬の味をお届けすることで喜んでいただければいいなと思って、作り続けていければいいなと思っております。」

千鳥屋糸島別荘ウェブサイト