今回ご紹介するのは、 シニア専門の芸能事務所、アンコールプロダクション。

「株式会社アンコールプロダクションなんですけども、主にシニアの方のマネージメント事務所です。50代から上は98歳までシニアの方が約100人おられるんですけども、そういった方にシニア役だったり、シニアのモデルをやっていただく、というのが主な事業になります。」
お話をうかがったのは、アンコールプロダクションの代表、平岡史衣さんです。所属している方、、、50代から98歳まで!

いわゆるシニアと呼ばれる年齢のみなさんに特化した芸能事務所、ということなんですが、、、平岡さんが、こうした事務所をひらこうと思ったのはどんなことがきっかけだったのでしょうか?
「私が看護師を大学出てからしてたんですけども、病院で働く中で、ひとり暮らしでひとりぼっちで生きる気力もなくて、何しててもしょうがないというか、そういうシニアの方が多くて。そういう患者さんを見ていて、これからシニアが増えていく中で、シニアの方がもっと夢や希望を持つことで、若い人も未来に希望が持てるというか、そういう事業ができたらいいな、と思って、病院をやめたのが3年前です。」
京都の病院で看護師として勤務されていた平岡さん。生きる気力をなくしているように見える高齢の患者さんに接し、そういうみなさんの力になりたいと思うようになります。
「最初は、私がもともとダンスをずっとやっていたので、介護施設で介護予防のダンス、椅子に座ってする体操みたいなものなんですが、それを始めたんです。でも、介護施設に来る段階よりも前の方にもっと関わらないと根本の解決にならないなと思って、いろんな人にこういうことやりたいと言っていたんですが、そこでアイディアとして『芸能事務所やったらどうか』というのをもらった感じです。」
芸能事務所をやろう。そう決意した平岡さんはさまざまな芸能事務所を調べ、そこの社長さんたちに会って、どう始めればいいのか、どうすれば仕事を獲得できるのか、運営の方法を教えてもらいました。では、所属するタレントさんは、どうやって探したのでしょうか?
「最初、芸能事務所を始めるちょっと前に、街角でスナップ活動みたいなのをしてたんです。街角でシニアの方に声をかけて、その人の人生だったり、人生の格言を聞くという活動をしてたんですけど、そのときに街角でシニアの方に声をかけるというのが結構習慣づいていたので、それをそのまま広げていけばいいかなと思って、最初声かけ活動からやってましたね。
写真撮らせてください、って言って、そこで仲良くなって連絡先交換している人もいたので、その人にも『こういうの始めるのでシニアモデルやってくれないか』とお願いしたりもしました。」
最初は、所属タレント3人からスタートした、シニア専門の芸能事務所、アンコールプロダクション。いまは、100人ほどが所属し、健康食品のテレビコマーシャルに出演されたり、公的機関が高齢者向けに作る動画に出演されたり、幅広く活動されています。 その中には、こんな方もいらっしゃるそうです。
「いま87歳のおじいちゃんがいらっしゃるんですけど、その方は、私と出会う前は、孤独、、、家族と一緒に住んでいるけど孤独、居場所がないとおっしゃっていたんです。でも、私が関わって、以前、私はシェアハウスに住んでいたんですが、そこにおじいちゃんが来たりして、若い人と関わることで、みるみる見た目も変わっておしゃれになって。今度は世界旅行に行くと言って、船申し込んだと言ってましたが、私と出会って世界が広がったとおっしゃってくださって、その方は印象に残ってますね。」
アンコールプロダクション、代表の平岡史衣さん、2019年からの活動のなかで感じているのは、こんな課題です。
「介護を受ける前の段階の人って、徐々に家に引きこもって何もすることがなく、どうしても体力も衰えるし、誰とも笑顔で話さず免疫も落ちて病気にもなりやすい。そういう予防のところは介護施設に入る前にアプローチしないとなかなかタッチできないところだなと思ったので、そういう人たちにもっと会っていきたいと思いました。介護を受ける前の段階で、沈んでしまっている人ってなかなか会うことがないので、そういうところにアプローチしていかないと、という課題を感じました。」
【もう一度、輝きを】という想いで名付けられたアンコールプロダクション。最後に、今後のヴィジョン、教えていただきました。
「日本はこれから高齢化社会でどんどん人口が減っていくということで、結構暗い話題が多いと思うんですけど、高齢化社会だからこそ、シニアも人生を謳歌できる、まだまだ人生100年時代、120年と人生を楽しむことができるというのを日本全体にもアピールしたいですし、それを世界にも持っていって、高齢化社会になってもこんなに人生って楽しいんだな、というのを伝える活動をしたい、というのは大きくありますね。」

