今回ご紹介するのは、岩手県宮古市で作られている【瓶ドン】。

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三陸の新鮮ないくら・めかぶと、イカ、タコ、ウニ、アワビ、サーモンをそれぞれ贅沢に瓶詰めしたもので、その瓶の中身をごはんにかけてそのままいただく、という商品。この【瓶ドン】を製造、販売する株式会社 川秀、藤澤豊和さんに お話をうかがいました。

株式会社 川秀は、昭和の時代に岩手県の山田町に川秀商店として創業。わかめなど海藻の加工を手掛けてきました。現在は、岩手だけでなく、青森、北海道にも工場を持つ川秀。今回、お話をうかがった藤澤豊和さんは岩手県宮古市の蟇目工場に勤務されています。

藤澤さんに、2011年、東日本大震災が発生したときのことについて教えていただきました。

「私は事務所の方にいまして、実際地震が何回かきて、で、従業員も外に出ておさまるのを待っていたんですが、そのうち停電になって作業もできないので、従業員も帰しました。そのあと出荷の予定があったので待ってはいたんですが、トラックも来ないので、その日はそのまま帰った、という感じです。ちょっと内陸側、14~5キロ内側の山側の盛岡よりに工場があるもので、震災のときに津波が来ているというのもわからない状況でした。」

藤澤さんが勤務していた蟇目工場は内陸にあり、津波の影響はありませんでしたが、岩手県内にあったほかの工場は、工場の建物が全壊、亡くなった方もいらっしゃるなど、大きな被害を受けました。宮古工場が仮設の建物で再開したのが、2011年の夏。

しかしその後、売り上げは思うように伸びません。そこで川秀は、それまでの業務用製品の加工に加えて、冷凍・冷蔵品の個食パックの加工に乗り出します。そしてのちに、この事業が、今回注目している【瓶ドン】につながったのです。

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「瓶ドンというのは、もともとこちらのほうで、生ウニを牛乳瓶に入れて販売しているというものがあるんですが、そこからヒントを得て、観光協会さんのほうで宮古、三陸の海の恵みを瓶の中に詰めて、お客様が体験できるような瓶ドンを作ろうというところから始まりました。

最初、市内の飲食店とかでやりだしたんですが、もともとうちのほうでも海鮮丼の具というのをやっていまして、そこから瓶ドンも作れるんじゃないかということで、観光協会さんに問い合わせをしたら、ちょうど観光協会さんでもお土産用として作りたいというのもありまして、そこからどういう風に作ったらいいかを聞きながら、試作を始めた感じですね。」

宮古では、生ウニを牛乳瓶に詰めたものがスーパーなどでも売っていて、それをヒントに、宮古観光文化交流協会が提案、市内の飲食店で、さまざまな海産物が入った【瓶ドン】を出してもらうようになったそうです。

「いろんな具材が大きな瓶に入って、それを丼のごはんの上にかきだすというか盛り付けて食べる、という形で提供されています。うちの川秀の社長と工場長が飲食店に食べに行って、これはうちでも作れるんじゃないか、というところからのスタートです。」

地元の、牛乳瓶にウニを入れて販売するスタイルから着想し、さまざまな海産物を入れ、最初は 飲食店で提供されていた【瓶ドン】。川秀は、それを お土産用の商品として 開発しました。その際、ポイントにしたのはどんなことだったのでしょうか?

「まず作るにあたって原料について制約があるものですから、それをうまく活用しつつ、実際何を入れたらいいか、というのを考えながらのスタートでした。やっぱり、地元、こちらからの贈り物、という形ですので、なるべく地元のものを中心に商品化してほしい、という依頼がありました。

地元のものということで、地元で何がとれるか、旬のものでいいのがないかということで探していきましたね。瓶ドンのルーツのウニ、そして、あとはイカとかタコとか、という形で試行錯誤を繰り返していきましたね。」

実際の商品、例えば ウニの瓶ドンは、瓶の一番下に、めかぶとタレが入っていて、次にウニ、そして、たっぷりのいくらが入っています。見た目も鮮やかな瓶ドンです。

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藤澤豊和さんは、その原料の調達などを担当されているわけですが、最後に、あらためて、この瓶ドンの魅力、お話いただきました。

「宮古、三陸の食材をお客様自身がその場で食べていただける体験型の瓶ドンとして三陸の漁場の恵みを遠く離れたお客さんに送っていただいたり、あとはご自分で食べていただいて、その恵みを感じていただければと思います。」

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