気候危機を自分ごとに。[SWiTCH]代表、佐座 マナさんの想い

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2022年、最初にご紹介するのは、地球温暖化を1.5℃以内に抑える活動をしている、 佐座 マナさん26歳 。佐座さんは昨年、スコットランドで開催された国連の気候変動にまつわる会議=COP26に日本のユース代表として参加。

ノルウェーやコロンビアなどの各国首脳を始め、環境活動のリーダー達と意見を交わし、 COP26からの生の声をオンライン上でレポートしました。 現在は、一般社団法人 [SWiTCH]の代表理事をつとめる佐座 マナさんに お話をうかがいました。

佐座 マナさんは、1995年生まれ。カナダのブリティッシュコロンビア大学を卒業後、ロンドン大学大学院 サステナブル・ディベロプメントコースに進学されました。サステナブルな社会を作るには、権力を与えられていないマイノリティの声も尊重するボトムアップも必要だと話してくれました。

「私達のロンドン大学も既存のシステムに縛られずにどんどんボトムアップ式でサステナブル化をするのかっていうことを推進している学部なので、なるべくマイノリティであったり気候変動の直接の影響を受けているみなさんのことを尊重して、彼らの意見を入れる仕組みづくりはどうやってやればいいのかを考えていています。それは難易度も高いですしプロセスも長いので、どうやってインクルーシブにできるのか学習を進めていました。」

インフラが整っておらず、天気に通信が左右される南半球や新興国。エネルギーを大量に使う先進国の便利な暮らしは、南半球の犠牲の上に成り立っているのです。48カ国から集まった同級生と人類が自然と共存するためにはどうすればいいのか?を学んでいた佐座さんですが、 コロナ禍となり、いったん日本へ帰国することに。 そして2020年、毎年行われるはずの国連主催の国際気候変動会議=COP26が翌年に延期になったことがきっかけで、 世界140カ国から気候変動専門の若者達330名が集まり、Mock COP=模擬的なCOPが開催されることになり、 佐座さんは アジア52カ国のまとめ役として参加されました。

「実は、COP262020年に開催されるはずだったんですね。でもコロナの影響で2021年に延期になりました。いま、ほんとに気候変動って待ったなしで、生きるか死ぬかが問われているときに、『大丈夫、来年COPやろうよ』と言っている場合じゃないだろうという話に若者の間でなって。じゃあ、大人たちがCOPを開催しないなら若者が模擬COPを開催して、若者はこんなヴィジョンを描いています、ということを提案しようよ、ということで、オンライン版のMock COPを開催しました。」

そんな活動のなか、佐座さんは、こう感じ始めたそうです。 世界の気候危機の情報の多くが、英語で発信されているため、 日本に入ってくる情報が少なすぎる。 日本のリテラシーを世界レベルに引き上げるために、できることがあるのでは?

「ロンドン大学を休学したときは、翌年の3月に戻ろうと考えていたんですが、日本の現状が思っていた以上に深刻だということを知ってから、いや、勉強はいつでもできる、私の役割は海外にいることではなく、日本で大きな役割が果たせる、と考えるようになりました。

やっぱり、気候危機が自分ごとになっていない気がします。みなさん今までは、気候変動という言葉を使っていたと思うんですが、11月のCOP26でもそうだったんですが、気候危機、という大きな単語に以降しているんですね。この気候危機があるからこそ、世界がこれに一致団結して取り組まないといけない。

ビジネスしている方はよく胸にSDGsのバッジをつけています。でも、SDGsが目指すものは?と聞かれるとほとんどの人がわからないんじゃないでしょうか。SDGsは2030年のゴールで、その次は2050年の脱炭素、そういう流れが世界的にあって、すぐその流れにのるかどうかは、いま分岐点にいると思われているところです。」

SDGsというキーワードが浸透しつつある中、言葉だけでなく、本当にサステナブルな日本になって欲しい。 そんな想いから、佐座さんは、 一般社団法人[SWiTCH]を立ち上げました。 2021年1月、佐座 マナさんが中心となって設立した一般社団法人[SWiTCH]。2025年の大阪・関西万博に向けて、20代の若者が中心となり、日本をサステナブル化するビッグチャレンジが今年スタートします!

「いま大きく日本に足りていないのは、サステナブルな思考を持っている若者だったり、仕事をしている人だと感じているんですね。サステナブルが普通になっていて、そういう考え方を持って仕事をする人の人数を増やすために、大阪での万博が2025年にありますので、それに向けて、サステナブルなアンバサダーを100万人育成する、というプログラムを持っています。100万人のサステナブルなアンバサダーを育成するにあたって、例えば、大学ひとつをまるごと脱炭素、サステナブルにするシステムも持ってこようとしていますし、サステナブル・ファッションがどうあるべきかということについても海外と連携をしようとしています。

サステナブルについてやってみようと思う人が全国にいて、仲間として一緒にやろうという人がどんどん増えて、日本が世界最先端のサステナブルモデル国になればいい、と私は個人的に思っているので。」

[SWiTCH]で取り組む 重要なテーマの1つは、 気候危機について知り、自分ごととしてアクションを起こせるきっかけを作る「環境教育」です。 昨年イタリアでは気候変動教育が義務化されました。 環境リテラシーのある人をとにかく増やしたい。 佐座さんは、そう強調されました。 そして、最後にこんなことを語ってくれました。

「いま本当に大切なのは、ひとりひとりが環境問題を自分ごとにして、例えばオフィスにいても、「ねえねえ、これ知ってた?環境がすごいことになってるけど、私達に何ができるかな?」と話して、わからなかったら誰かに聞いてみる、ということをしてみる。世界的にヨーロッパをはじめ脱炭素に向けてシフトをおこなっているんですが、それが正しいかどうかは誰も知らない。でも、日本人は完璧主義なので100%成し遂げられないならやりたくない、と思ってしまいがちです。そうではなくて、一歩を踏み出すことが大事なので、その一歩をぜひ今日から踏み出してほしいと思っています。」

SWiTCHウェブサイト