今回は人工流れ星=人の力によって流れ星をながすプロジェクト。これに挑戦する会社、ALEのHidden Story。  

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お話をうかがったのは、株式会社ALEの代表取締役、岡島 礼奈さん。まずは、ALEというのはどんな会社なのかを教えていただきました。

「人工的に流れ星を作る、という事業が非常にインパクトがあるのですが、実は会社は何を目的にしているかというと、『科学を発展させることによって人類の持続的な発展に貢献していく』ということを目標に3つの事業をおこなっています。」

3つの事業のひとつが、流れ星など、宇宙エンターテインメントのプロジェクト=スカイ・キャンバスと呼ばれるものです。では、そもそも岡島さんはなぜ、人工流れ星を流したいと考えたのでしょうか?

「これは大学時代に流星群を見たというのがきっかけなんですが、流れ星を流すということ自体がたくさんの人を楽しませられますし、たくさんの人に宇宙に興味を持ってもらったり、科学に興味持ってもらったりできると思うんです。

さらに、流れ星を流すこと自体で天文学の研究とか流れ星の研究者の方々もいらっしゃるんですが、そういう研究にも役に立ちそうですし、あと、流れ星を流すところの大気のデータがとれると、気候変動のメカニズム解明に非常に有益である、と聞いて、これはエンターテイメントとしてたくさんの人を楽しませる一方で、科学にも貢献できるものだと思って、この流れ星をやりたいと思いました。」

【流れ星を流すところの『大気のデータ』がとれると、気候変動のメカニズム解明に非常に有益である】これは、どういうことなのでしょうか?

「流れ星が流れるところというのは、中間圏といわれる場所になります。ここで流れ星が流れるんですが、その流れ方だったり、流れ星の反応の仕方を観測することによって、その大気の様子がわかってくるんですね。実はそこが今までデータがとられてこなかったところで、そこのデータをとることによって、大気のモデルが今まで見えてこなかった部分で、地表部分と関連して上空で起きていること、実は遠く離れたところも上空がつながっているところがあるので、そういう意味でも、中長期的な気候変動にも密接に関連しているところなので、それを理解できると。そういうわけで流れ星を観測することで気候変動の解明ができると説明しています。」

ALEの人工流れ星、どうやって流れ星を発生させるのか、その仕組みを解説いただきました。

「どうやって流れ星を発生させるか、というので考えたのが、人工衛星を使うことです。人工衛星に流れ星のもととなる粒をつめて、宇宙空間から流れ星の粒を放出して、それを大気圏に突入させることで流れ星を流そうというアイディアで始めました。流れ星の粒、それが明るく光るかということと、流れ星の粒をちゃんと届けたい場所に届けられるかが重要になると考えましたので、流れ星の粒のほかに、流れ星を放出する装置、これを開発しようと思いました。」

流れ星のもととなる粒、これは1センチほどの金属の球なんだそうです。わずか1センチのものが流れ星となって光輝くのです。予定としては、人工流れ星を流すのは、2023年。そのとき、どんな感じのイベントになるんでしょうか。きっと 事前に、流れ星が流れる時間など告知をされるかと思いますが、どういうイメージをお持ちなんでしょうか?

「いろいろな方々とお話中なので、多分、その流れ星を買ってくれた方が周知されると思いますが、いつ流れるかがわかるので、カウントダウンで盛り上げるのもありだと思いますし、例えば、海外の国とお話もしているんですが、観光地として毎週何曜日にはここで流れ星が流れます、ということもできますし、200キロ圏内でたくさんの場所ができると思うんですね。ひとつの場所では海辺で寝転がりながら見られたり、ルーフトップで乾杯しながら、あとは音楽イベントで盛り上がっているときに流れ星が流れるとか、いろんなことができると思います。」

株式会社ALEの岡島礼奈さんに、最後にうかがいました。ALEの事業によってどんな未来を作っていきたいと考えてらっしゃるのでしょうか?

「人々の好奇心を引き出せるといいなと思っていて、やっぱり流れ星を流した先に、ただ楽しいだけじゃなくて、私、最初のほうに、『人類の持続的な発展に科学で貢献する』とお話したんですが、きれいごとになっちゃうかもしれないんですが、よりよい未来を作るために何ができるかをみんなで考えるような、そういうことをやっていきたいと思います。そういう意味では、好奇心を持つ人をどんどん増やす活動をおこなっていきたいですし、さらにちゃんとそれをいかして、科学技術を使いながらサステナブルな地球を守りながら、人類が発展していけるような未来を作っていきたいなと思っています。」

株式会社ALEウェブサイト