今回は、岡崎体育さん2年9ヶ月ぶりのオリジナル・アルバム『FIGHT CLUB』のHidden Story。岡崎体育さんに語っていただきました。
2016年にメジャーデビューを果たした岡崎体育さん。そのデビュー前から『目標』としていた【さいたまスーパーアリーナでの単独公演】を 2019年6月に開催。実は、それを最後に引退する考えを持っていました。

「もともと僕は小学校のときの卒業アルバムに『音楽家・作曲家になりたい』って書いてたんです。作曲家になって世界中の人に曲を聞いてもらいたいって書いてて、その夢を達成するべくいろいろ活動していたんです。だから、世界中の人に広く自分の曲を聞いてもらうにはまず自分が演者となって表舞台に立って名を上げてからやるのが一番いいんだろうなと思って始めたのが岡崎体育。なので、もう自分のその表舞台に立つ人間としての最終目標クリアすれば、あとは自分の小学校のときの夢だった、作曲家になるというところを叶えようと引退して、楽曲提供であったり、いろんな映画とかテレビドラマとかのテーマソングを作るような人になりたいなと考えていたのがきっかけです。でも、さいたまスーパーアリーナのライブやったときに1万8000人のお客さんが自分のワンマンライブに来てくれたっていうのがすごく嬉しくて、これはもうちょっと簡単に引き下がれないなってなったので、その引退っていう言葉を撤回して、続けていくということを決めたのが2019年の終わり頃。」
引退を撤回、コロナの影響を大きく受けた2020年を越え、今年、制作がスタートしたニュー・アルバム『FIGHT CLUB』。

「アルバムのコンセプトに関しては、前作の『SAITAMA』というサードアルバムがさいたまスーパーアリーナワンマンライブ前ということもあって、結構自分と向き合って。岡崎体育はネタ曲っぽいイメージが世間的には強いと思うんですけど、そういうのを排除して作ったのが前のアルバムだったので、今回に関してはファーストアルバムとかに立ち返ったようなネタ曲、岡崎体育らしさみたいなものをもう一度っていう思いを込めて作ったアルバムでしたね。」
ネット上で、見知らぬふたりが『音楽』について言い争う、というシーンを描いた曲『Fight on the Web』!ミュージックビデオでは、岡崎体育さんがひとり二役。俳優としても活躍されている岡崎さんならではの演技を見せてくれています!

「俳優なんで、岡崎体育はもはや。、、、いや、ちょっと、そうですね。いや、嘘です、ミュージシャンという畑にしっかり両足をつけて、ちょっとそういう仕事もありがたい事にさせていただいてる、という感じです。」
そして、アルバムのリード・トラック『おっさん』!!!岡崎さん、<今までの人生で300曲くらいオリジナルソングを作ってきたけど、この曲がいちばんキャッチーなんじゃないかと思っております!> とtweetされていますが、、、すべてのおっさんが深くうなづくこのリリック、どうやって生まれたのでしょうか?
「『おっさん』というテーマで曲を作ってみようっていうのは、1年ぐらい前からありまして、そのときは『おっさん、もっと若者の文化に触れていって、いろいろもっともっと自分をさらけだして楽しんでいいんだぞ』みたいな。ここ最近おっさんのバッドアティチュードが目立っていたような気がしまして、そこを啓蒙するわけではないんですけど、自分ももう32歳になって30代に突入して、これからどんどんおっさんロードを驀進していくにあたって、自分の指針となるというか、おっさんになりつつあるけど、これから襟元正して、若い子たちにうっとおしがられへんようなおっさんになりたいなという思いを込めて作ったのがこの曲ですね。 カビラさんにはぜひ聞いてほしいですね。でも、カビラさんは僕が結構理想とするダンディズムといいますか、かっこいいおっさんだと思うので、だからちょっと僕は参考にしていきたいですね、カビラさんを。」
そして、アルバムの9曲目に収録されたのは『普通の日』というナンバー。
「この曲は、いわゆる岡崎体育は捨て曲と言われる、アルバムの中で後半になってきて、10曲じゃ少ないから11曲入れたいよなってなって、急いで作った曲の一つといいますか。あんまりこういうミュージシャン側が捨て曲っていうと印象悪いですけど、僕はいい意味で捉えてます。本当に肩肘張らずに、焦りの気持ちはあるんですけども、その焦りの中で『この曲、捨て曲やし』っていう、自分の予防線を張ることによって、限られた時間の中でもリラックスして作れるし、そういう意味では結構僕はこの曲も気に入ってますね。
今までだいたいファーストセカンドサードアルバムと捨て曲を1曲ずつぐらい入れてたんですけど、今回特に時間なかったので3曲捨て曲がありますね。レコ屋とかで自分の新譜が平台展開されたときも、『3・7・9は捨て曲』ってポップで書いてほしいです。よくポップに『捨て曲なし』って書かれてるんですけど、僕の場合はもう『これとこれとこれが捨て曲です』って書いてほしいですね、レコ屋さんに。よろしく願います。」
最後にうかがいました。完成したアルバムについて、ご自身、どんな手応えを感じてらっしゃるのでしょうか?

「多分ミュージシャンの人みんな思うと思うんですけど、今までで一番いいですね。これはね、いやそんなことないよっていうアルバムもあったりしてもいいはずなんですけど、アルバムできるごとに『いや、これ今までで一番いいな』ってやっぱ思える、思ってしまうような感じになるというか。なんなんでしょうね、この感じは。でも、自分の中では本当に今までのどのアルバムよりもいいアルバムだと思いますし、とにかく今しがみつこうって必死ですね。何者かに、誰かの袖とか裾とかしがみついて、『まだ岡崎体育やってます、聞いてください。元気です、岡崎体育。』っていう感じを出していきたいなと思ってます。」