今回は、兵庫県神戸市の【めがね舎ストライク】に注目します。

20210709h02.jpg

こちらは、日本で数少ない『オーダーメイド専門』のめがね屋さんです。そして、傷がついてしまったレコードを素材に再利用しためがねも販売されています。

まずは、【めがね舎ストライク】とは、どういう経緯で誕生したお店なのか? そのきっかけを代表の比嘉大輔さんにうかがいました。

「2014年から活動をしていまして、オープンしたのは2016年なんですけど、1年半ほど準備をして作ったお店です。我々もともとめがねのセレクトショップで販売員をしていました。めがねを提案する中でめがね屋のめがねって、一つのデザインに一つのサイズしかないんですね。それだと、レンズの幅があと2ミリ小さければもっと似合うのにな、と思いながらも、『似合わないですね』と言ってしまうともうモノがないので、嘘ではないですけど、本質の提案ができてない状況で販売をしていたジレンマがあったんです。」

15年ほど、めがねのセレクトショップで販売の仕事をされていた比嘉さん。本当にぴったりなサイズのものを提案できていない、そんなジレンマを抱えていました。  

そこで、よりお客さんに似合うものを提案するために、福井県鯖江市というめがねの産地に行って、1個1個作れる職人さんと話してやろうとしていたんですけど、納期の問題とか、ロット、数を作らないと動いてくれないというのが問題としてあって、それだったら自分たちで作ろう、という形で、機械類を買いそろえ、製造の勉強も始めました。1年間くらい販売員をやりながらなんで、販売の仕事終わって、夜9時から3時くらいまで工房にこもって作ったり、デザインの勉強も並行してやっていって、作り上げためがね屋です。お客さんのど真ん中をめがけて、さらに似合うもの、よりこっちの方がいいよと、本当の意味で提案できるサービスを、そういう想いでスタートしためがね屋です。」

お客さんの、ど真ん中ストライク!これを提案するために、比嘉さんが大事にしているのは、『対話』です。

 「自社に職人がいてデザイナーがいて、お客さんとお話しながら、サイズのこと、デザインのことを調整しながら1個1個作っていくスタイルです。僕らはそのことをビスポークと言ってます。ビスポークは、be spokeが語源で、対話を意味するんです。英国ではオーダーメイドのことをビスポークというみたいです。

20210709h03.jpg

お店に入ると、バーなんです、見た目が。バーカウンターがあって、お酒もズバーッと並んでいて、めがねが1本も並んでないんです。オーダーメイドなのでめがねを置いておく必要もなく、場所がもったいないんでバーもやっていて、めがね屋とめがね工房とバー、この3つが併設されているお店で、夜からはバーになります。

めがねって調整に持って行きにくいんですけど、酒飲みに行ったついでに調整してくれ、というとお客さんも来やすいなというのもあって、バーを併設するのも意味があるなということで、やってる感じです。」

【めがね舎ストライク】では、傷ついたレコードを素材に使った『Evans』というめがねも販売されています。

「ベースは、めがねの生地、そこにレコードを貼って提案しています。きっかけは、レコード曲げ屋という人がいて、レコードを曲げてキャッシュトレーとかうちわを作っている人がるんですけど、その人から『レコード熱で曲がるよ』と聞いたんです。めがねって削ったあと熱で曲げるんですね、じゃあ、これ、生地と一緒に貼って削って曲げたらめがねになるんじゃいかという実験からできためがねです。

ちょうどそのときに、レクサスのTAKUMI PROJECTというプロジェクトを知ったんです。それはトヨタ自動車さんが職人さんを応援するものなんですが、神戸三宮北野のビスポークのめがね屋がレコードでめがねを作る。これで商品を表現できたら面白そうやなということで公募を出して、TAKUMI PROJECTに拾ってもらった感じです。」

20210709h05.jpg

ビル・エヴァンスさんがかけていためがねをイメージして作られた『Evans』。今も、このデザインのめがねをオーダーすることも可能ですし、レコードの素材を使うことを カスタマイズで 注文することもできるそうです。

神戸にオープンして5年ほど。【めがね舎ストライク】の比嘉大輔さんは、今、こんな想いを込めて営業されています。

めがねを作る、ってなったときに、オーダーするという頭がほとんどの人にない状態だと思うので、そこに、オーダーするという選択肢を感じてもらえるまでやりたいですね。ビスポークの文化をめがねの中に浸透させること。僕らが一番重要にしているのは、サイズ感。サイズ感でめがねの似合い方が変わる。この考え方が今の日本には、ほぼほぼなくて、それを定着させたい。その想いでやってます。あとは、お客さんとの対話を通じて、その方のキャラ、生活環境をひもといて、よりリアルに使っていただきたいめがねを提案していきたいと、切に願っています。」

めがね舎ストライク ウェブサイト

柏の眼鏡屋Brilleでも【めがね舎ストライク】のサービスが受けられます。

  • 千葉県柏市泉町1-32 ビオスプレイス1F 
  • 電話 04-7161-1250
  • ウェブサイト