2020年、世界的な大ヒットを飛ばしたBTS!BTSの日本デビュー以来これまで、日本国内で BTSが出演する ほぼ全てのイベントでMCをつとめてきた、古家正亨さんにお話をうかがいました。

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BTSが防弾少年団として日本デビューを果たしたのは、2014年。古家正亨さんが彼らと初めて出会ったのはその前の年のことでした。

「僕が彼らと最初に関わったのは日本デビューの時になりますね。日本デビューの際に彼らが東京でショーケースを行うことが決まって、そのショーケースの司会を務めることになったんです。その際に彼らとリハーサルのスタジオで最初に会ったんですけれども、リハーサル立ち合いっていうのはなかなかないケースで、だいたい韓流とかKポップのイベントは当日の始まる前にリハーサルすることが多いんです。でも、彼らは前日にやってるんですね。それだけ日本上陸に合わせて綿密に計画を立てて、華々しく日本の関係者に彼ら自身の姿を見せたいという想いが強かったと思うんですよ。実はBTSって、メンバーそれぞれが韓国のソウル以外の地方都市の出身なんです。なかなかないケースなんです、そういう地方のメンバーで構成されているっていうのが。だから、ある種の逆境だったわけですね、当時に関しては。その中で、自分たちが絶対てっぺん取ってやるんだという気持ちがあふれていた感じがしますね。」

当初の呼び名、防弾少年団。そこには、こんなメッセージが隠されています。

「防弾少年団としてデビューした当時のBTSは、歌詞、リリックについて、自分たちの同世代の代弁者であるという意識を持って音楽を作っていたということがあります。だから歌詞、世界観を見てみると、当時、10代20代の若者たちにとっての社会の生きにくさとか、抱えている問題だったりとか、そういうメッセージ性の強いものを、どちらかというと当時はマニアックなイメージのあったヒップホップ中心の音楽性でそれを表現していたというところがあるんです。

だからまさに『防弾』というのは、社会からの抑圧だったりとか、偏見だったりとか、そういうものを彼ら自身が受け止めて、自分たちが情報発信者、同世代の代弁者である、ということを伝えるという、とても意味のある名前だったと思います。僕も最初聞いたときは、すごい名前だなと思ったんですよね。何を受け止めるんだろうと。防弾だから。」

防弾少年団、韓国語では、バンタンソニョンダン。その頭文字を取って、BTS!!アメリカで大きな人気を獲得するきっかけは、2017年11月、 American Music Awardsでの、圧倒的なパフォーマンスでした。

「この授賞式でのパフォーマンスが、まさにその欧米での人気の着火だと思います。僕も見ましたけれど、会場の興奮度がすごかったんですよね。ただ、これは欧米の知り合いが言っていたんですが、それでも『BTSって誰だ』とか、そういう声の方が多かったと言われているんです。AMAでのパフォーマンスがあり、それからリーダーのRMさんが巧みな英語力を活用して、アメリカのありとあらゆる人気のトークショーに出て、パフォーマンスを見せたり、という、一つ一つの努力が重なっていって、魅力が少しずつ知れわたっていったんですが、ファン自体は白人社会というよりは欧米のマイノリティが中心だったんです。でもいろんな番組出演をきっかけに白人層のファンも開拓していった、というところはあると思います。」

そして! 今年8月、『Dynamite』がリリースされます!!

「この『Dynamite』という曲を出したときに、僕は、これは全米シングルナンバーワンを取りに来ているなというのが直感的にわかったんですね。

その理由は英語詞、なんです。アメリカのラジオ局は非常に保守的で、専門チャンネル以外は、英語以外の曲を積極的に放送するラジオ局は極めて少ないんです。いわゆる主流のヒット曲をかけるという点で言えば。だから、PSYの『江南スタイル』がビルボード2位止まりだったというのは、ラジオでかかっていなかったということが分析でわかっているんですよね。

で、そこを多分分析してわかっていたからこそ、あえて、自分たちが曲作りにそこまで積極的に参加せず、しかも英語詞でリリースしたということは、ラジオで少しでもかけてもらって、あえてここで、この楽曲で、1位を取ってやろうという思惑があったと思うんです。結果的にどうだったかというと、ラジオでのエアプレイ回数が飛躍的に伸びて、それが1位獲得につながったと言われています。なので、僕は、ビルボードで1位、というよりも、アメリカのラジオ局を制覇した、というところに、彼らの凄さを感じましたね。」

日本デビュー以来、BTSのすぐそばで彼らを見つめ続けてきた古家正亨さん。今、BTSについて、こんなことを感じています。

「BTSを介して実は見えてくる世界がすごくあるんですよね。マイノリティの問題だったりとか、それからアジア人が置かれている状況だったりとか。そういうことを彼らはBTSという音楽、BTSという存在を通して、ある種、コロナ禍の中で、世界を一つにしてくれた、という気がすごくするんです。しかもそれをアジア人がやってくれたという。僕は一人のアジア人として彼らに感謝の気持ちでいっぱいですね。」

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