今週は、SEKAI NO OWARIのニューシングル『silent』のHidden Story。SEKAI NO OWARIのメンバー全員に語っていただきました。テレビドラマ【この恋あたためますか】の主題歌『silent』。

制作が始まったのは、今年の夏。ドラマのスタッフと打ち合わせたあと、まずはメロディを決めるところから始まりました。

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Nakajin:僕らは作曲者が3人いるので、Fukase君とSaoriちゃんと僕の3人で、まずはメロディ、どんなのがいいかを出し合って。

Fukase:コンペ形式はよくやりますね。これはあまりやる人はいないですよね、バンドでは。喧嘩になりますよね、シビアな。だから幼なじみだからこそやってる感じですけどね。いわゆるアーティストというより、ある種クリエイター集団のビジネスパートナーとしてやっている感じ。バンドというよりベンチャー企業のようだとよく言われるんですが、チームとしてやるっていうところに終始しているというか、そこは大切にしているところなので。

Nakajin:強みとしてね。

Fukase:一人一人役割が違っていて、その役割じゃない時はノンタッチにします。例えばヴォーカルの歌どりはSaoriちゃんが担当しているんで、今回カップリングでNakajinの歌どりをしたときは僕は役職じゃないんで、美味しい蟹を食べに行って現場にもこない、、、。

Nakajin:蟹食ってたんかい。」

20201218h02.jpgニューシングル「silent」(初回限定盤A)

コンペの結果、今回はNakajinさんの曲をベースにFukaseさんの書いたパートも組み合わせる、という形のメロディになりました。では、歌詞はどうやって作ったのでしょうか?

Fukase:あんまりクリスマスを謳歌してきたタイプの人間たちではないので、どうする?みたいな、割とこれに関しては、なすりつけあいで、お前がかけよ、みたいな。(笑)Nakajinが書いた方がいいって真顔で力説したんですけど、Nakajinが、『アレンジをやらなきゃいけないんで歌詞を書いたら間に合わない』と。なんで僕がやりたくなかったかというと、別件で最近、映画で役者さんをやらしてもらって、その撮影がちょうど重なっていたんですが殺人鬼の役で、殺人鬼の役をやりながらラブソングを書ける気がしなくて。

DJ LOVE:しかもクリスマスっていうね。

Fukase:おまけに外の気温は真夏という、そのガチャガチャ感ができる気がしなかったので、Nakajinになすりつけようとしたんだけど、なすりつけ返された。(笑)

Nakajin:1回は書いたんですけどね。

Fukase:一回はね、書いたけど。

Nakajin:ん~。」

その歌詞、今回は、主人公のキャラクターを設定し、Fukaseさんが その主人公の物語を見つめる形で 作詞を進めたそうです。

Fukase:ストーリーものの歌詞を書くことはあるんですが、基本的にまず全体的な世界観というか場所を用意して、状況を用意して、主人公のキャラクターを用意して、その中で僕は飼う、と思っているんですけど、その中でしばらく主人公を飼っているうちにストーリーができてくるんです。そこから顛末、こうあったところから最後まで、どこを切り取ると綺麗かなという、そういう作り方をしています。その箱の中で勝手に始まるストーリー、音がなくなった時に自分の鼓動が聞こえてきて、鼓動の中で隠していた言葉があって、その言葉はこの主人公だったらこうだろう。その言葉が聞こえてしまいそうな時にこの主人公だったらこうするだろう、という作業ですね。一番最初に僕が歌詞を出したときは、あまりにも卑屈すぎて暗すぎる、という指摘で返ってきちゃったんです。それは物語の前半を切り抜いたところで、もう少し進めていくと、『やっぱりこの雪はあなたと見たかったな』ってちょっと前に進もうという瞬間が訪れると思っていたので、時間軸を後ろにずらしたことによって一番ポジティブに見える瞬間を切り取ったということです。自分たちの人生もどこを切り取るかで喜劇にも悲劇にもなると思っているので、切り取り方を変えたということですね。これ多分あと2週間くらい遅らせるともっと悲しい曲になるかもしれないし、あと2週間くらい前だともっと甘酸っぱい曲だったかもしれないし、あと1年くらい遅らせるともっとドロドロした曲になるかもしれない。(笑) 

Nakajin:どんな展開なんだ~」

ちなみに、今回の曲はレコーディング中に当初デモで想定していたものよりキーが高くなり、歌で高い音が続くパートがあって、ヴォーカルのFukaseさんにとっては ハードルの高い曲になっている、ということ。そして、そのヴォーカルレコーディング、いつもとは少し違うものになりました。

20201218h03.jpgニューシングル「silent」(初回限定盤B)

Nakajin:ここ数年やっていたのは、歌をきれいに録ろうという意識が強かったんですよね。でも、きれいなだけでは伝わらないこともあるなと思って、この曲はエネルギッシュさと真っ直ぐに伝わる感じが必要だなと思って。いろんな方法試して、モニターの感じ変えようとか、マイクとの距離によっても、マイクに入れようという気持ちが声に乗るから、マイクの距離を変えるだけでも結構違うテンションになったりとか、今までにはないトライはできた気がしますね。歌がエネルギッシュになって情熱的になったことで、もうすこしサビに楽器でも後押しというか、歌の情熱感とトラックの感じをつなぐものが欲しくなって、エレキギターを入れることにして、その予定はなかったんですけど、エレキギターを試したらすごくハマって。

Fukase:もともともう少しおっとりした曲だったよね?

Saori:テンポもゆっくりだったしね。

Nakajin:制作をしていくうちにテンポも上がってキーも上がって歌もエネルギッシュになって、それにほだされるようにエレキギターを、歪んだエレキをジャーンと入れるという。

DJ LOVE:エンジニアさんにもエレキもっと上げてくださいって言って。

Fukase:最後のミックスの時にも言うくらい。キーをあげたことで曲の雰囲気がガラッと変わって、全体的に強くなっていったという感じですね。

Nakajin:今回の曲がこのエネルギーが必要だったという感じがします、特に。」

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