今週は、WANIMAのHidden Story。

ベース・ヴォーカルのKENTAさん、ギターのKO-SHINさん、ドラムのFUJIさんにお話しを伺いました。
今年2月25日、WANIMAは開催中だった"COMINATCHA!!TOUR 2019-2020"の福井公演と愛媛公演の中止を発表。しかし、公演中止を決めたその日、WANIMAは動きます。『春を待って』を緊急レコーディング。
「KENTA:25万人のツアーの約半分が中止になって。
FUJI:とにかく『春を待って』を最速でリリースしようということになったんで。
KENTA:今、WANIMAができるのは何かなと思った時に、自分たちが一番届けたいのはいつだって新曲なんですよね。その新曲を最速でレコーディングするっていうので、チームを集めて決断しました。」
『春を待って』は、3月12日に配信リリース。さらに続いて、5月、テレビ番組で新曲『Milk』を初披露しました。この『Milk』は、どんな想いで書いた曲なのでしょうか?
「KENTA:曲を作って走り始めてから、いろんな気持ち、自分が育ってきた環境だったり、今まで経験したことがこみ上げてきたり、あふれたりするんですよね。そんな中で、その当時のコロナの状況だったり、今まで僕らが経験したこと、いろんなもらった気持ちを1曲に閉じ込めたいと思った時に、そういう着地をしました。僕が育った環境や僕が見てきた景色はそんなにいいものではなかったんですけど、今僕がこうやって歌を歌えているということと、僕らを信じて、WANIMAを信じてついてきてくれている人がいるんだったら、そういう人たちが育った環境とリンクするところがあるんだったら、WANIMAの存在も意味があるなと思いました。
『Milk』は「当たり前で、当たり前で、なくなって気付いたんだ」って歌ってるんですが、調子がいい時、体調がいい時とかいい時は聞こえなかった声が、悪い時はリアルに届いたり刺さるというか、僕らもツアーやいろんなことがなくなって。お客さんからもいろんな声が届いたんです。飲食業やろうと思ったけどやめましたとか、仕事・学校やめて、という人がいて。僕たちと職業は違うけど気持ちは近いと思ったんです。だからまず僕が感じたことを歌にして、聴いた人の歌になればいいな、という想いでした。」
疾走感と、思わず歌いたくなるメロディと、力強い言葉。WANIMAの曲づくりは、どんな風に進むのでしょうか?WANIMAのレコーディングのHidden Story。
「KENTA:ま、あの、ゴーストライターがいて。(笑)いや、ゴーストライターはいないんですけど。(笑) 曲は本当にシンプルで、三人で小さいスタジオに集まって、思い浮かんだ言葉だったりメロディを口ずさみながら作っていく、という原始的なやり方ですね。パソコンで波形を合わせたりというのは後ほどのことで、最初は、三人でスタジオに集まってドーンと音を出して、心が震える方を探しながら作っていく、というやり方です。」
9月22日、WANIMAは、ZOZOマリンスタジアムで無観客ワンマンライブを開催。インターネット配信だけでなく、映画館とライブハウスでもライブビューイングが行われ、実に、合計10万人が参加しました。
「KENTA:普段、僕たちWANIMAはライブでお客さんに対して、『がんばれ』とか『大丈夫』という言葉は使わないようにしてるんです。なぜかというと、ライブに来てる子たちは普段がんばって、普段大丈夫じゃないのになんとか生きてる子たちばっかりがライブに来てて。でもこの状況で、わかってるけど、大丈夫じゃないのも、がんばってるのもわかってるけど、このタイミングは、大丈夫だというのを見てる方に伝えたかったんです。生きることを僕らもあきらめたくないし、生きることをあきらめてほしくない。なんとか楽しみを僕らが作っていけたらと思って。僕らができることは音楽っていう本当に小さいことなんですけど。でも僕らを信じてついてきてくれている人たちには、ともに生きていきたいなという想いから、ああいう言葉を使いました。」
そして、このライブの最後に、「誰かに歌うな 自分に歌え」、という想いを込めたミニアルバム『Cheddar Flavor』を翌日 サプライズリリースすると 発表したのです。

「KENTA:『誰かに歌うな 自分に歌え』っていうのは、コロナ中に、SNSでもテレビでもそうですけど、誰かを非難するのって簡単じゃないですか。でも、まずは自分がそれを見たりした時にどう思うかが大切だなと思って。僕もそうやって誰かを批判したり、そういう気持ちがあった時に、まずは自分がどうしたいか、自分の気持ちの中心や信じているものが体のどこにあるかを確認しようとした時に、誰かに歌うんじゃなくて、自分に歌おうという想いでコロナ中は曲を作ってました。」
「誰かに歌うな 自分に歌え」。KENTAさんは、完成までに、ヴォーカルを何百テイクも収録した、というミニアルバム『Cheddar Flavor』。渾身の作品を世に送り出した3人から、お聞きのあなたへのメッセージです。
「KO-SHIN:今こんな時代だからこそ、この歌詞だったり、このミニアルバムが聞いた人たちには心に届くと思うので、一生懸命生きている人、先が見えなくて立ち止まっている人にもぜひ聞いていただきたいと思います。
FUJI:いろんなきっかけになってほしいなと思って作ったので、ぜひ聞いてほしいと思います。
KENTA:たくさんの人に聞いてほしい、という気持ちが音楽を始めた時から変わらないんですが、今回は、「誰かに歌うな 自分に歌え」というテーマで作ったし、僕らもそういう気持ちで歌っているので、聞いた人もそれぞれ自分の歌に、自分のテーマソングにしていただけたらなという気持ちですね。ただ、このアルバムは何10年か先に自分たちが振り返ってみても、自分たちで出して間違いない、と思える一枚になったので、受けとってほしいです。」