平野と山間地のあいだ、いわゆる中山間地の課題をドローンで解決しようとしている自治体があります。それは、岡山県の和気町。

和気町役場の まち経営課、海野均さんと庄俊彦さんにお話をうかがいました。  

岡山県の東部、瀬戸内海と中国山地のあいだ、まさに中山間地に位置する和気町。今、この町で、ドローンを使った 様々な取り組みがおこなわれています。まずは、そのきっかけについて教えていただきました。

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「これは平成29年にある企業から『和気町はドローンの環境に適している』という提案がありました。どういうことかというと、ドローンは都会では飛ばせず、田舎の方が適していると。和気町は、屋根があって横から風が入るドーム型のグラウンドがあってその横に町営の温泉施設もあって、ドローンの技術を学ぶドローンスクールにあっている。高速のインターも近いし、JRの駅もある、交通のアクセスもいいので、ドローンスクールを誘致してみてはどうかという提案をある企業からいただきました。

人口減少も深刻化していまして、このままではまずいだろうということで、移住者を増やしたり地方創生的な取り組みをやっている中で、ドローンスクールを誘致すればその人たちが泊まってくれてお金を使ってくれたり、ドローンの技術によっていろんな仕事も生まれるかもしれない、ということで、ドローンで町づくりを、と決めたんです。」

和気町の人口は、2006年に1万6500人だったのが、今は、1万3900人。ここ10数年で2600人減少しました。さらに、国の推計で、2045年には、人口8500人になる、と予測されています。

そんな状況の中、2017年、和気町は、株式会社フューチャー・ディメンション・ドローン・インスティチュート=FDDIと協定を締結し、町内でドローンスクール事業がスタート。

そして、このスクールと連携して、物流の実証実験もおこなわれました。

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「過疎地域にドローンでスーパーとコンビニの食料品・日用品の配送実験をやりました。実際に注文いただいたものをドローンにセットして、川の上空を航路として過疎集落に運ぶ、という実験で、約1ヶ月やりました。

吉井川という一級河川がちょうど南北に流れていて、道路の上とか民家の上だと落ちた時に問題があるんですが、川の上だとリスクが少ないということでルートに設定しています。昔は、高瀬舟も通っていたのでそういうところで船の文化、川の文化から、その後、横に鉄道の文化で片上鉄道が走って鉄道に移り変わり、さらにその後、国道も走っているので車の文化に変わっていって、船、鉄道、自動車と変遷していきましたが、今度はその上、空のルートを開発している感じなんですよね。」

人口減少の課題を解決しよう、ということで始まったドローンのプロジェクトですが、街まで買い物に行くのが大変な過疎地域の課題も あわせて解決できるかもしれない。そんな発見もありました。

さらに、普段の買い物だけでなく、災害時に物資を届けられるかを確認するため、標高の高い地域への配送も 実験的に おこなわれました。

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「国道から山の上まで車で20分くらいかかるんですが、山の上の集落に何かあった時もドローンで救援物資を運ぶという想定で、標高が400メートル、高い高度でもドローンが運べるという実証実験をやりたかったんです。ドローンなら車で行ったら2030分かかるところが5分とか、あっという間にドローンで到着して帰ってきます。」

災害時に孤立する恐れがある集落などへの物資の配送実験。最も長い距離としては、往復およそ30キロをドローンが飛行しました。

さらに、和気町では、ドローンスクールの企業とこんな項目でも協定を結んでいます。

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「火事であったり、行方不明者があったりとかは、ドローンが活躍するんです。例えば、火事だったらドローンが飛んで燃えている状況を撮影するとか、山林での行方不明者の場合は、ドローンが山林を飛んで、人が立ち入れない危険なところはドローンですぐ行けますんで、そういった災害協定を結んでいます。」

そして、今、コロナの状況を受け、計画していることがあるそうです。

「今年度やろうと思っている実験として、これまでは日用品や食品だったんですけど、例えば今コロナ禍で病院に行くのも怖いというお年寄りも増えていて、特に山間部のお年寄りは病院に行くのに、バスに乗って電車に乗っていつもの薬をもらうだけと、半日から1日かかっているお年寄りが多いんです。これをオンライン診療と組み合わせて薬の配送をドローンでできれば非常に役立つのではと思っていて、患者さんからも非常に期待されているところです。」

最後に、和気町が 今後について考えていること、そのビジョンを教えていただきました。

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「中山間地域の町なので、若者がどんどん街の方に東京に行ったりしています。仕事が町内にないという意見もあります。もし仕事があれば若者も残ってくれるかなと淡い期待を込めて、一級河川のちょうど横に使われていない小学校がありますので、そこを改修してインキュベーションセンターとか実験施設を整備して、今回のドローンとかIT関連企業などを誘致できれば、町の将来にとって若者にとって住みやすい町になるのかなと今計画を作っています。いま、オンラインで仕事ができるのであれば、教室の一部を無線有線、オンラインができるよう整備して企業ごとそこに入っていただいてネットワークを使って仕事をするサテライトオフィス的な施設を町として整備していっても面白いかなと思っています。」

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和気町ドローン事業 ウェブサイト