今回、注目するのは『エシカル就活』。

このプロジェクトを展開する大学生、勝見仁泰さんにお話をうかがいました。まずは、エシカル就活とはどんな就職活動なのか教えていただきます。

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「エシカルというのは英語で直訳すると、『倫理的な・道徳上の』という意味ですが、僕らの定義づけとしては、人、地球環境、社会、この3つに配慮したのがエシカルで、それに就活、就職活動をつなげた新しい就職活動です。

学生と企業をつなげる。普通の就職活動と違うのは、人、地球環境、社会に配慮した企業と、社会問題に能動的にアクションを行う学生をつなげる新しい就職活動、エシカル就活ということです。」

人、地球環境、社会に配慮した企業と、社会の課題に能動的にアクションを行う学生。この両者を繋ぐ活動を行うのは、高千穂大学4年生の勝見仁泰さんをはじめとする学生のグループ『アレスグッド』です。なぜ、こうした活動を始めることになったのか。そのきっかけは?

「そもそも僕自身がドイツに留学をしていて、そこで環境問題、社会問題についてものすごくインプットしました。そうした中、昨年帰ってきたのですが、今SDGsという社会問題を17個の項目にして、全世界の人が取り組むという指標に対して、世界の動きと日本の動きがマッチしていなくて...。

日本はどうしても後手後手に回っていて、それが顕著に現れたのが気候変動。ちょうど今年の2月に学生気候危機サミットという気温上昇、豪雨、台風など気候変動について話し合うサミットがあったのですが、そのサミットで出会った仲間と話す中で、これまで気候変動について、ボランティアや能動的にアクションをやっていた学生がフェイドアウトしていると言っていて。

『今後もそういう活動をするのか』と聞いたら、『ちょっと僕もうできないんですよ』と言っていて。なぜかというと就活があるからだと。

あ、就活が原因でそうした気候変動の取り組みや学生時代に頑張っていたことが続けられないんだというところで、就活が学生のアクションだったり取り組みを止めていると。」

就職活動が、学生たちの社会的なアクションを止めてしまう。勝見さんは、その理由はどこあると考えているのでしょうか?

「日本の新卒一括採用というのは世界的に見るとすごく特徴的で、類を見ない。

日本の就職活動のイメージはリクルートスーツで、みんな同じ髪型、同じ話し方で、学生側が自分を出せないんです。個性だったりこれまで大事にしてきたことを出せない、というのがこれまでの就活のボトルネックとしてあって、そこを変えないと、どうしても学生も周りに合わせる就活になってしまうんですね。

そうすると、何か変化を起こしたい、何か世の中を変えたいということをしている人は悪い意味で目立ってしまっているというところがあります。そういった、とがったところを就活の時にわざと丸める。

就活生って、大学3年の夏くらいからインターンを始めると思うのですが、大学だと22~25くらいの方々が、社会人という新しいスタートを切る時に、そこでなぜ熱量を落とさないといけないのかというのが僕らの想いとしてあります。

なので、これからはエシカル就活で、学生と企業で一緒に変えていく。

学生側が自分の大事にしていることを中心に企業を選んでいく、ということを発信しているんです。」

学生のグループ『アレスグッド』では具体的に、どんな活動をしてきたのかというと?

「僕たちは就活を通じて社会問題を解決する、というのをテーマにしていて、そのテーマに沿った、取り組んでいる企業を紹介する、というのが一つあると思っています。

先月行われた気候変動に取り組む企業ということでは、150名ほどオンラインで参加してもらい、気候変動に取り組む企業も4社参加してもらいました。

そこでつなげて、学生の選択肢を増やす、こういう企業がありますよ、ということをやっています。

実は次回は多様性、ジェンダー、障害者雇用、あと今ホットワードですがBlack Lives Matter、人種の問題とか、そういう多様性に献身的に取り組む企業を紹介するということで、テーマごとにいろんな企業が取り組んでいますが、そこをつなげる、という感じです。

学生の仲間と、アレスグッド、というグループで立ち上げた、エシカル就活。この アレスグッドとは どんな想いを込めた名前なのでしょうか?

「アレスは、ドイツ語でオールです。オールグッド、全てよし、ということなのですが、僕らが掲げているのは、人、地球環境、社会、全部なんですね。

綺麗事に聞こえるかもしれませんが、SDGsの項目にも誰一人取り残さない、がテーマにありますし、全ての人たちが全ての地球環境が全ての社会が、ということでアレスグッドにした、ということです。」

勝見仁泰さんが強調するのは、『就職活動を通して 社会の課題を解決したい』ということ。そのために、まずは学生にエシカルな企業を紹介し、選択肢を増やすことが大事だと考えています。

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「海外ではいろんな認証があって、エシカルな企業の認証もあるのですが、日本は全然ありません。これが産業界の課題だと思いますし、サステイナビリティと言いますが、そういうところが開示されていくのは、就活生だけでなく、社会全体にとって価値があることだと思います。

責任のある事業をしていく、その事業によってどこかが被害を被るというのは本当にいけない、それはやめましょうと。今回のコロナでも社会の脆弱性が明らかになったので、今変われないと絶対変われないなと、本当に感じてます。」

アレスグッド ウェブサイト