北海道本島の最も東に位置する 根室市。今回はその根室と東京、2つの拠点で活動するVOSTOK laboに注目します。

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取材にお答えいただいたのは、VOSTOK laboの中村美也子さんと野﨑敬子さん。まずはVOSTOK laboの始まり、そしてどんな活動をされているのか、教えていただきました。

野﨑さん:VOSTOKという東京と根室に暮らすメンバーが集まって立ち上げたプロジェクトがあるんですけど、その一環としてスタートしたのが始まりです。根室って日本最東端の東の端にあるんですが、VOSTOKというのはロシア語で『東』という意味があって、東の果ての地から新しい暮らしを発見したり創造するプロジェクトです。その活動のひとつとしてテーブルまわりや暮らしまわりだったり、暮らしにまつわるところをチャレンジしていく、というアトリエとしてスタートしたのがVOSTOK laboになります。

中村さん:東京と根室と私たちもそうなんですが、それぞれで暮らしていて、それぞれのいいところを見つめあって、互いが交差していくことで、新しい楽しいことが生まれるんじゃないかと思うんです。そういう想いをもとに東京と根室それぞれでイベントをしたりとか、そういうことをしています。」

中村さんと野﨑さん、おふたりは、根室で暮らしてみることにしました。

野﨑さん:街の人達も活動に協力的で、新しい試みをやるのなら何かできることないかと動いてくださる方とも出会いまして、そういうことが重なって、まずは暮らしてみようということになりました。もともと文化というのは暮らすことから生まれるもので、暮らしを積み重ねて体験経験することで文化が成熟すると思うんです。まずは暮らしてみないとわからないとうことで、えい、とこちらでの暮らしが始まったわけです。最初にどんな活動をしようというところで、どんな方にも体験してもらえたり楽しんでいただける方法、私たちがこれまでやってきたことでも役に立てること、できることを考えた時に、食べることを通して活動することが私たちふたりで自然にできることかなと思って。」

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最初は、チーズ工房からの依頼を受け、チーズが引き立つ『クラッカー』を作りました。

野﨑さん:チーズと一緒に楽しんでもらうクラッカーということで、根室って魚介類が美味しい街なんですが、何か特産品を感じられる素材がないかなと塩昆布を使ったりとか、ちょっとフレーバーを何種類か用意して作り出したのが最初です。

中村さん:海産物をクラッカーに、という発想とか、そういうことを楽しんでいただけたかなという実感はありました。」

人気商品のひとつ『ふくろうのチーズクリームサンド』。これは、どんな風に生まれたお菓子なのでしょうか?

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中村さん:こちらも北海道の食材で作らせていただいています。

野﨑さん:生産者の方と出会いがあってできたお菓子だよね。興部町という根室の上のほうにある街で、有機で牧草を育てるところから製品づくりをしている牧場の方と出会いがあったんです。そのバターの美味しさに感動してどうにかあまり手を加えずに素材の美味しさを伝えていということで生まれたお菓子です。バターですが、かじれるほど美味しい。(笑)」

『ふくろうのチーズクリームサンド』や『オジロワシのクッキー』。こうしたお菓子は、根室で暮らしたからこそ発見できたことを活かしています。

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野﨑さん:形からも根室という風景が見えるようなお菓子ができるといいなというのがあって、暮らしまわりで一緒に暮らしている動物を考えてお菓子にしてっていう。オジロワシとフクロウと、シカ、白鳥、ほんとに根室ではともに暮らしている動物です。根室は野鳥の楽園と言われていて、そういうモチーフを使うことでこの土地に広がっている風景を想像していただけるかなと思いました。フクロウは夜行性なのでそれほど見れませんが、オジロワシとかオオワシはシーズンには何羽も出会ったりする。街中でも上空を飛んでるときもあります。街も広いから海岸線を走っただけでたたずんでいるオジロワシとか。

中村さん:そこが根室のいいところというか、自然と人の営みが近いというか。遠くまで自然を満喫するという感覚ではなく、ほんとに人の営みの近くで自然とともに生きている感じがすごくあって。だからオジロワシも外を歩いてて空を見ると飛んでいたりとか、そういう光景が見られるのが根室のいいことのひとつだと思います。」

最後にうかがいました。VOSTOK laboが活動を通して伝えたいメッセージとは??

中村さん:私たちもそうだったんですが、都心で暮らしてて根室に来たときにワシが空を飛んでるとか全然知らなくて。毎年冬には白鳥が来て羽根を休めているとかも知らなくて、そういうことを知ってもらって、そういう鳥たちと生きている場所があるんだなと思ってもらうのもいいな、というので。

野﨑さん:自然のサイクルを感じやすいんです。私たちの方が自然の一部だったんだって気づかせてもらう土地で、そういう感覚が少しでも伝わればいいな、と。それが VOSTOKが目指している、これからの暮らしってどういうスタイルがいいのかみんなで考えようよというひとつのきっかけになってくれたらと嬉しいなって。普通にお菓子として楽しんでもらうものがそういうきっっかけになったらいいなと思って作っています。」

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