今回注目するのは、株式会社へラルボニーが手がける【アートマスク】。知的障害のあるアーティストのみなさんの作品を使ったアートマスク。クラウドファンディングをスタートして数日で第一目標の100万円を突破。人気となっています。今朝は、この【アートマスク】のHidden Story。

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今回、取材にお答えいただいたのは、株式会社ヘラルボニーの代表取締役社長、松田崇弥さん。まずは、ヘラルボニーとはどんな会社なのか、教えていただきました。

「ヘラルボニーは福祉実験ユニットと言わせていただいております。いま日本全国の福祉施設でアート活動が盛んになっているんですが、そうしたアート活動に特化した14の社会福祉法人とアートライセンス契約を結んで、そちらの作品、2000点以上の作品をアートのアーカイブにして、商品にしたり、街に展開したり、イベントにしたりしている会社です。

私自身、4つ上の兄が自閉症という先天性の知的障がいがありまして、母親も福祉に積極的な人間だったので、昔から、いつかは福祉の領域で仕事をしたいなと思っていました。そして、社会人3年目のタイミングで知的障がいのある方が描くアートに出会いまして、ものすごい衝撃を受けました。ただ、アートというものもなかなか福祉という枠から抜け出られていなんじゃないかなと思いまして、それを広告的な手法やデザインで世の中にアプローチしたいと思い、会社を作りました。」

広告のプランナーとして働いていた松田崇弥さんは故郷の岩手県へ帰省した際、地元の るんびにい美術館をたずね、そこで衝撃を受けました。

「福祉業界内では知的障がいのある方のアートはものすごく盛り上がってきてまして、このアートをもっと身近な存在にしたい、と考え、2018年、会社を設立したんです。ただ、彼らアーティストに還元されるという動きはまだまだなくって、アートとか福祉とか、俺とは関係ないやと思ってしまうような分野で推進されているな、まだまだマスのところに落ちてきてない、というのが僕の感覚としてはあって、ライフスタイルに入れこんでいきたいというのがありました。あと、私自身はアートに固執しているわけではなくて、知的障がいのある方のイメージを変えていくということに興味があるんです。そこでアートなら、知的障がいがあるからこそ描ける世界がある、という風に知的障がいを打ち出すことでイメージを変えられるんじゃないかと、いま実験してるところです。」

最初は、障がいのある方のアートを使ったネクタイ、ハンカチ、スカーフなどの販売からスタ―ト。さらに、工事現場の仮囲いをアートでいろどる『全日本仮囲いアートミュージアム』も展開。いま、JR高輪ゲートウェイ駅前、「J-WAVE NIHONMONO LOUNGE」のすぐそばの仮囲いでも、そのアートを見ることができます。

高輪ゲートウェイ駅で、J-WAVEさんのスタジオの真横でヘラルボニーのアートミュージアムが行われています。実は今回はターポリン素材であとでアップサイクルしてトートバッグになって販売される、というものになっています。今までの仮囲いは再剥離可能なシートで掲出していたんですが、今回高輪ゲートウェイ駅ではターポリン素材というトラックの幌とかに使われている素材を展示していて、実はもうウェブサイトでこちらのターポリン素材がトートバッグになった、というサンプルの予約ができるようになっています。

知的障がいのある方のアートを使ってさまざまなプロジェクトをおこなう、株式会社へラルボニー。いまクラウドファンディングを実施しているのが、日常を美しく彩る、サステナブルなアートマスク。

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4人のアーティストが参加されていますが、例えば、       

「小林覚さんというグレーのマスクがあるんですが、これは『夏の魔物』という作品で、この方は"字と字をつなげる"という強烈なこだわりがある作家さんです。なので、これ、『夏の魔物』という字が隠れているアートマスクになっています。夏の場所はわかるんですが、僕も読めないんです。実は僕もびっくりしたのが、お父さんに聞くと、『ほら、ここが""でしょ。""でしょ。"魔物"でしょ。』と全部分かるんですよ。だからご家族はすごいなという、僕ももっと勉強しなくちゃなと思うんですけど。」

このアートマスク、企業が導入を決めた例もあるそうで、「実は大日本印刷の労働組合さんでこのアートマスクを2400枚導入されることが6月末に決定しまして、今まさにアートマスクをつけられています。大日本印刷さんのほうでも地球資源を大切にしようということで、不織布マスクを捨ててゴミになるのではなくて、環境に配慮して、さらに知的障害のあるアーティストのみなさんの賃金もアップして自分たちも気持ちのいいマスクをつけていきたいということで導入していただくことが決定しました。」

松田崇弥さんに最後にうかがいました。これから どんな想いを込めて 活動を続けようと考えていますか?

「知的障がいとか障がい者と聞いたときに欠落というのをイメージしてしまう、というのが日本ではまだまだあるのかなと思っているんですが、僕らは欠落ではなく、ただの違いと考えています。知的障がいがあるからこそ強烈なこだわりがあって、そこから生まれる創作表現があったり、そこから生まれる仕事がある。これからの世の中必要とされると思っていて、僕らは、知的障がいがあるからこそ描ける世界があるし仕事がある、というのを強く言い切ってやっていきたいと思っています。」

株式会社へラルボニー ウェブサイト

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