今週は、大阪、堺市にある和風香辛料の製造販売会社【やまつ辻田】をご紹介します。

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「鷹の爪という品種が唐辛子の総称みたいになってますけどね、それを日本で1軒だけ、100年守っている店なんです。」

お話をうかがったのは、【やまつ辻田】4代目の辻田浩之さん。最初のコメントにもありましたが、鷹の爪は、数ある唐辛子のなかの、ひとつの品種です。辻田さんによると、鷹の爪が 赤唐辛子を総称するようになったきっかけは江戸時代の医師・学者、平賀源内がこう記述したこと。

「江戸時代の天才学者・平賀源内が『蕃椒譜』の中で、72品種の唐辛子の1品種を鷹の爪と決めたんですね。その72個のうち71個の名前がなくなって鷹の爪だけ名前が残ったのは、この記述のところに特別にいい唐辛子だと書いちゃったので全部鷹の爪となったわけです。だから、どれもこれも鷹の爪と言われるようになったんです。

【やまつ辻田】は、明治35年創業。

以前、大阪・堺は、鷹の爪の一大産地だったそうです。

「私のところの前が1300年の歴史の道で、堺の港から高野山に参る西高野街道という道なんですね。その道沿いに江戸時代に鷹の爪が根付いて昭和20年代ごろまではこのあたり鷹の爪の一大産地だったんです。その唐辛子の品種はもう宅地化でなくなってるんですけど、それを残して、京都の千枚漬けのお店におろしたり、粉にして七味唐辛子作ったりというのを続けているお店なんです。」

『鷹の爪』は、他の唐辛子の品種と違い、一つの房に一つの実しか付けません。つまり、収穫量が限られ、さらに、つみ取りに手間がかかります。そんな『鷹の爪』を届け続ける理由はどこにあるのでしょうか?

「理由はいろいろありますが、例えば、鷹の爪って粉にするパターンもあれば、千枚漬けに使いますよね、お漬け物とかにのせますよね。きれいなのがあるのわかります?千枚漬けに赤い唐辛子と緑の軸がくっついたのって、ほぼほぼ全量私なんです。外国産使っているところは知りませんよ、それは置いておいてくださいね。あれは、小粒の赤い実と緑の軸が千枚漬けの白いところにのってるのが美しくて、目で美しさとかそういうものを楽しむ日本人の文化が素晴らしい、それをずっと残したいという想いですね。もうその美しさっていうのは、それは見事ですわ。で、唐辛子の辛さが3倍あってね、香りもすごくいいんです。姿売りの場合は美しくし上げるし、あと、軸をとって粉にして、頂点の香りの粉を作るっていう。」

辻田浩之さんの言う『頂点の香りの粉』。【やまつ辻田】が手がける、七味。 

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「七味って七つありますでしょ、鷹の爪をひとつ使う、それを御岳山の溶岩の石臼でひくんですね。そうすると粉が粒子の角がとれてまるくなる。品種の特性を大事にして、ぶどう山椒も使いますがこれは一瞬華やかになる、朝倉は色目がいい、山朝倉は新芽と若芽の香りの持続が素晴らしい。それを最高のひき方で香りをだす。そして7つの原材料を七味として使うということです。」

【やまつ辻田】は、日本のトップシェフたちからも信頼を寄せられる存在です。代々木上原『sio』の鳥羽周作シェフもそのひとり。

「鳥羽君とこないだ話してすごいなと思ったのは、最高に素材のよさを引き上げるんだと。それが生産者を大切にすることなんだと。すべては愛なんだと。もうすごく感激してね。」

いま、辻田浩之さんは、

鷹の爪を作ってくれる生産者を増やしたい、と考えています。

その理由を、最後に うかがいました。

「それこそちょっとずつ農家さんをきょうも口説いて話に行ってるのも、今の仕事もありますけど、100年後まで続けるっていう、これは日本の文化のひとつだと思ってるんです。だから、日本の和の香辛料の香りを世界の方に食べていただきたいなと思ってます。」

【やまつ辻田】ウェブサイト