今週は、初のベストアルバム『KANA-BOON THE BEST』、そして、ニューシングル『スターマーカー』をリリースしたばかり、KANA-BOONのHidden Story。
語ってくれるのはもちろん、KANA-BOONのメンバー全員!
2013年にメジャーデビューを果たしたKANA-BOON。おととしから去年にかけて、デビュー5周年を記念したイベントをおこなっていましたが、そんな中、ベースの飯田祐馬さんが6月に活動休止。11月にはバンドを脱退、ということになりました。去年の6月以降、KANA-BOONは サポートミュージシャンを迎えライヴを継続していましたが、そのころ、曲の制作については、どんな状況だったのでしょうか?
「谷口さん:もともとレコーディングの予定も立ててたので、去年の夏ごろにはガツガツと曲づくりをしているイメージやったんですけど、なかなか曲ができないというか、曲づくりの体制に入れないという感じで、それは初めての経験でショックでした。もう完全に肌にしみついた生業やからいつだってできるというと変な言い方になってしまうけど、どんな心境になっても曲づくりはできると思っていたんです。でも、メンバーがひとり欠けるというのがあまりにもショックが大きかったというのはあって、でも、自覚としてはそこまでなかったんですよね。『これから3人で頑張るか』という気持ちはすごくあったんですけど、その自分の姿勢に心も体もついてこない。そういうことは初めてだったので、曲ができないという状況に直面して、これがいかに自分たちにとって大変なことなのか、ショックなことなのか。そして、逆にバンドのことをすごく大切に思っているんだなということを感じましたね。」
KANA-BOONを4人でやっていくこと。それは、、、当然 ずっと続くと思っていたことでした。
「谷口さん:4人で続けていくということが完全にあったんです。飯田が加入してからがっつりライヴハウスで活動し始めて、デビューして以降も、誇れるところというか、やっぱり4人でいつまでも終わりなくバンドが存在することがKANA-BOONらしさというか。だから4人で続けたかったというのが、一番の夢やったのかもしれないですね。」
ひとつの夢がやぶれ、肌に染み付いた作曲もうまく進まない。そんなときに、あるオファーが舞い込みました。
「谷口さん:去年の秋ごろにタイアップの話をいただけて、ちゃんと体制的に自分たちが自主的にいろんな曲を作っていくというよりは、曲づくりに向き合うチャンスをもらえたのが結構大きくて。なかなかね、そのタイミング、去年の秋、その曲づくりがスタートするくらいまでは自分たちも疲弊しきっていたところがあったし、制作に関してはそのきっかけがなかったらちょっと大変やったんかなとは思いますね。」
テレビアニメ『僕のヒーローアカデミアの』オープニングテーマ、『スターマーカー』。この曲の制作をきっかけにリズムを取り戻したKANA-BOON。続いて、ベストアルバムに収録する新曲『マーブル』を作り始めます。
「谷口さん:『マーブル』に関しては、実はその前に他に新曲の候補があって、それもせっかくベストも出すので、その中で過去を振り返ってもらってその先の姿を示したかったんです。だからちょっとアッパーな、それこそ『スターマーカー』に近いようないろんな楽器が入っている曲があったんです。でも脱退することも含め、ちゃんと現在を切り取らないといけないなと思いました。それまではだいぶ肩に力入れて、ここから元気に明るいKANA-BOONとして進む姿、それだけを見せないといけないと思っていたんですが、それだけじゃなくて、ちゃんとこの悲しみとか喪失感、寂しさ、憂いみたいなものをちゃんと音楽にする KANA-BOONも必要なんじゃないか。そういうことをやるのがKANA-BOONやと思って、そこから新しく作り始めた曲ですね。」
新曲『マーブル』の制作秘話。
ドラムの小泉貴裕さん、ギター 古賀隼斗さん、そして、ヴォーカル・ギター谷口鮪さんにうかがいました。
「小泉さん:ドラムはリズム楽器なんですけど、『マーブル』では歌うドラムを叩きたいなと思って叩けたんで、それをしっかり、どんな曲でも歌うドラムを叩けるようになりたいなと。
古賀さん:この曲ですごくギターのステップが踏めた気がしています。いつも極端に感情表現をしてしまうというか悲しいだったら悲しい100%で表現してしまうんですけど、悲しさの中にも前を向いているというか、2つ以上の感情をギター一本で表現できたのは僕の中ではでかい一歩だったなと思います。
谷口さん:アウトロのギターを演奏するときにひともんちゃくあって。(笑)僕、家でデモをつくるときは感覚的にやるから絶妙なデモが残っているんです。あ、ちゃんと弾けてないくらいのこれがベストテイクやなというのがあって、それを古賀にやってもらうのが難しくて。そのレコーディングのときに話したんですよ。一回手を休めようと、時間をあけてアウトロチャレンジしようというなかで、この曲は、その時点ではまだ歌詞はできてないんですけど、この曲はただ悲しいだけじゃない、寂しいだけじゃなくて、そういう気持ちを抱えながらでも生きていくという曲になると僕が言ってて。いろんな感情が混ざり合う曲になるよこれは、っていう話をして、そこから歌詞を書き始めているから、マーブルっていうマーブル模様、いろんな色が混じり合ってるマーブル模様というメインテーマ自体も古賀との会話から出てきているというか。
古賀さん:僕もその言葉を聞いて、右手のふりを大きくするとか、そういうことじゃなくて、自分の心の奥底で燃えるような芯を通したギターを弾こうと意識するだけで、自分の気持ちが音に出ていて、すごくいいテイクがとれたなと思います。
谷口さん:ようやくそれぞれが音楽に到達できた感じがする。楽器演奏じゃなくて、音楽を鳴らすっていうことに、なんか光が見えたんじゃないかなと思います。これから春を迎えていろんな別れがあると思うんですけど、中には僕たちが経験したような大きな痛みとか別れを経験すると思うし、そのタイミングでそばにいてほしい曲になったらいいなと思って。僕たちはこのマーブルを作ってすごく力強い一歩を踏み出せた実感があるので、そういう同じ気持ちになれたら一番嬉しいなと思いますね。」