今回ご紹介するのは、長野アップルライン復興プロジェクト。去年の10月、台風19 号の豪雨によって決壊した千曲川。大きな被害を受けたのは、【アップルライン】の愛称で親しまれる国内有数のりんごの名産地でした。その復興に取り組むプロジェクト、代表の徳永 虎千代さんにお話をうかがいました。

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長野アップルライン復興プロジェクト、まずは、どのように始まったのか、教えていただきました。

私はもともとリンゴ農家の四代目を家業として継ぎました。そこから生産から販売まで若い力で創意工夫をこらして行っていたわけです、昨年10月12日の台風19号の影響で千曲川の私たちが暮らす長沼の堤防が決壊しまして、大きな災害が起きました。そこで浮き彫りになってきたもともとあった課題と台風による課題を解決するためアップルライン復興プロジェクトという名前でクラウドファンディングを行ったことがきっかけで、今回アップルライン復興プロジェクトができました。

長野県長野市で、フルプロ農園を運営する徳永 虎千代さん。台風による被害は、ご自身の農園にも及びました。

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「みなさん、新幹線が水に浸かっている映像を見られたかと思いますが、私の畑はそのほんとの隣りにあtたんです。リンゴの木は4メートルほどあるんですが、それがまるまる水に浸かってしまうほどの大きな水害でした。もうリンゴの木が見えないくらいに泥水に浸かってしまって、その10月12日、13日というのはリンゴの収穫の真っ只中だったんですよね。その日も収穫をしていたんですけど、収穫できずリンが木になっている状態で水に浸かってしまったので、全てのリンゴを廃棄するという状況になりました。だいたい長野だと11月末まで収穫をしていて、一番遅いものだとみなさんご存知のサンふじというリンゴを収穫しています。10月12日、13日あたりは信濃ゴールドとか信濃スイート、という中生種のリンゴの収穫期で、そのあとに晩生種のサンふじに流れ着く感じで、割合でいうとサンふじとか中晩生種が8割9割を占めているので農園の被害としては8割以上、という形でしたね。」

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そして、地域全体としても 被害は甚大なものでした。

「長沼地区、私たちがアップルラインと名乗らせていただいているところは、国道18号線にアップルラインという愛称がつけられていて、ほんとにリンゴ産業で成り立っている農村です。全国でも長い国道でそこにリンゴの直売所だったり、リンゴ畑がずらーっと並んでいる珍しい道路だと思います。私も8割以上でしたが、農家さんのなかには100%畑がダメになってしまった、という農家さんもいらっしゃいますね。」

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台風19号による被災から1ヶ月、徳永 虎千代さんは、【長野アップルライン復興プロジェクト】というタイトルでクラウドファンディングをスタートしました。掲げたテーマは、『創造的復興』。  

「この農村が災害にあう前から、もともと少子高齢化だとか担い手不足、耕作放棄地の増加などいろんな問題を抱えていたんです。今回の台風の課題ともともとの課題をあわせて解決して、創造的に、100%じゃなくてそれ以上に復興してけたらいいんじゃないかなという想いを込めて今回クラウドファンディングをはじめました。

クラウドファンディングのところに返礼品として掲げた商品も今後アップルラインのリンゴを使って新たな加工品を開発します、フルーツグラノーラだったりとか、リンゴのジュースを使ったタピオカドリンクだとか、同じくこの地域で被災したケーキ屋さんがリンゴのケーキを開発してくれたりとか、そういった商品開発をします。そして、もともと産地が抱えていたリンゴ農家が儲からない、という課題を解決していければ思います。それはひとつのアイディアで、目標1000万と掲げていたんですけど、それ以上の支援者がついてくれたので、もっといろんなことができると感じたんです。もう地域全体が、どうやって復興していくかにお金を使っていこうと考えています。農家さんって軒数が多いので1軒1軒お金を配っていったらほんとにすぐになくなってしまうんです。例えば機械を買ったりだとか、1000万円する農機具もあるので、復旧のためにお金を渡すということはできないんですけど、こういう商品開発をしてもともと安く買い取られていたリンゴをアップルライン復興プロジェクトが高く引き取るというような貢献はできるんじゃないかなと思って。」

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最後にうかがいました。徳永さんは、このプロジェクトを通して、地域をどんな風に盛り上げていきたいと考えていますか?

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「今回アップルライン復興プロジェクトに外部から協力したいという方もすごくたくさんいらっしゃって、その方たちと力をあわせて、世界的に有名なフランスのシェフも2月7日から9日まで長野に来ていただいたんです。信州の食材を使ったコラボディナーをうちのリンゴも含めて使ってやってくださいまして、やっぱり今まで小さい村の中でさまざまなことをやっていたんですけど、そうではなく、日本全国の方の協力だとか、世界の方の協力もあわせて大きな広がりを見せていきたいなというのが一番の想いですね。」

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長野アップルライン復興プロジェクトウェブサイト