今回は、『ワイン』のコルクの栓を回収して、再利用しよう、というTOKYO CORK PROJECTに注目。
スタートして10年、これまでの道とこれから目指すことをご紹介します。お話をうかがったのは、株式会社GOOD DEAL COMPANY代表の北村真吾さん。TOKYO CORK PROJECTを立ち上げた、その人です。
「2010年の9月に個人で始めたのがきっかけです。
以前、外食にも従事していたことがあって、通常ですとソムリエが一本一本ワインを抜栓するとコルク栓を捨てると思うのですが、僕が従事していた飲食店が、抜いたコルクを1ヶ月間ためてから廃棄するというお店ででした。
そこで初めてまとまったワインのコルク栓の量を見て、1店舗でこれだけの量が出ているんだと気づかされました。
2010年の暮れくらいというと、ワインの立ち飲みバーだったりワインを気軽に楽しめる店がたくさんできていた時期だったので、そうしたワインを提供するお店と一丸となることで新しい環境への取り組みができるのではないかと考えた次第です。
当時のお店で、1ヶ月に1000本くらいワインを提供するお店だったので、そのくらいの量のコルク栓をまとめて見る機会があった、ということですね。」
当時、働いていた飲食店で大量のコルク栓が廃棄されているのを目にした北村さん。早速、動き出しました。
「まずは、どのくらいの飲食店がコルク栓を捨てることについて、もったいないと思われているのかということと、飲食店は忙しい業界でもあるので、協力してもらえることが可能なのか、コルク栓だけを回収できるのか、ということがありました。
だから、ひとりで近隣の飲食店を回って、『コルクのリサイクルをしたいのだけど、こういうことに興味はありませんか?』とヒアリングしながら協力をあおいでいきました。」
コルク栓を回収するお店は徐々に増えていきました。
その後、北村さんは協力してくれる工場を探し出し、まずは、使用済みのコルク栓をシート材に生まれ変わらせる、というリサイクルがおこなわれました。
そもそもコルクの栓は、どうやって作られているのか、TOKYO CORK PROJECT の北村真吾さんに教えていただきました。
「コルクというのは、コルク樫という木の樹皮、木の皮から作られていて、そのコルク樫は生育地域が非常に限られている植物なんです。
地中海沿岸部を中心に生育しているのですが、基本的にはポルトガルとスペイン、ポルトガルが世界のシェアの50%、スペインが30%を供給する天然素材です。
コルクはコルク樫を伐採してとるのではなく、9年に一度、樹皮がふくらんでいって、その皮をはがしてくりぬいて作るものなので、作り方自体も環境にやさしく、樹齢が200年から300年なので、森を保護する、という意味でも非常によい植物です。」
コルク樫から作られた、コルクの栓。回収された使用済みのコルク栓は、実際、どのようにリサイクル、アップサイクルしていくのでしょうか?
「回収されたコルク栓は、障がい者の施設にお渡しして、そこでリサイクルできるもの、できないものに分けていただき、洗浄をおこなっていただきます。
この後、仕分けをおこなったコルク栓をコルクメーカーに引き取っていただいて、ここで粉砕だったりマテリアルリサイクルとして使う工程をして再生素材にしていただきます。
そして再生素材になったものを素材としてメーカーに供給したり自社で一部商品化したりして活用してます。」
最後に伺いました。
TOKYO CORK PROJECTをスタートして、今年で10年。
代表の北村真吾さんが今、感じている課題とは?
「10年たって、今でも課題はたくさんあります。
回収はみなさん積極的におこなっていただけるというのが理解できましたので、今後はどういう形で循環を広めていくのかが課題です。
これまでのコモディティ商品、コースターやなべしき以外に活用の幅を広げていく必要があるな...と感じています。
リサイクルの本質は新しく素材を使うことをおさえて、再生資源を活用し、それを選択していくことがリサイクルの大義だと思うので、消費者の方々に、より再生資材を選ぶ意識だったり、そういうところにも意識を傾けていただけるような取り組みも、もう少し広げたいと思います。