今回はOfficial髭男dismのニューアルバム『Traveler』のHidden Story。

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メンバー全員でインタビューにお答えいただきました。

アルバム【Traveler】。

オープニングは、映画HELLO WORLDの主題歌、イントロのストリングスが印象的な『イエスタデイ』。蔦谷好位置さんをプロデューサーに迎えた1曲です。

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通常盤 デジパック仕様(CD Only)

小笹さん・・・もともとイントロはなくて、映画尺のためにサビから始まるものを作っていたんですけど、もうちょっと手前から楽曲を流したいと言ってくださって、それのおかげでイントロをつけようという話になったんです。それによって映画もよくなったし、僕らもイントロ気に入ってるし、相乗効果がありました。

藤原さん・・・結構イントロはすぐできましたね。ああいうフレーズが頭に鳴ってたなと思ってパンパンと打ち込んで、フレーズを作るには10分15分もかかってない感じでしたけど、それを蔦谷さんがさらにかっこよくしてくれました。ストリングスに関しては、実はイントロは主旋を弾いてないんですよ。コードを追いかけていて、途中から主旋に合流してくる感じで、そのアレンジは蔦谷さんがやってくれました。ピアノのターンタンタンタンというメインのラインは僕が考えたというか、実際レコーディングでもピアノを弾いてますね。」

『イエスタデイ』の作詞、作曲は藤原聡さん。この曲も含め、ソング・ライティングはどんな風に進めているのでしょうか?詞が先なのか、曲が先なのか? 藤原さんにとって メロディの泉は どこにあるのか?

藤原さん・・・これはどちらもあります。歌詞をこういうことを歌いたいと思ってメロディを変えることもあるし、こっちのメロディにしたいから歌詞を変えることもあります。言葉が新しいメロディを教えてくれるときもるし、メロディが新しい言葉を教えてくれるときもあるということなので、作詞作曲は同じものというか。なんとなくでそれをやってる感じですね。メロディが先にできたからこれは変えないということじゃなくて、何度でも作り変えるという。ふっと浮かぶときがあったりしますね。楽器からメロディを教えてもらうこともあります。ピアノで作っていて行き詰まったらギターに切り替えるとか、エレピ使うとかシンセサイザーとか音色からインスパイアされることもあるので、作曲というのは自分の中から絞り出すだけではなくて、まわりにある言葉とか楽器とか、いろんなものから教えてもらうものかなと思うようになりました。」

楽器といえば、アルバム7曲目の『ビンテージ』。【キレイとは 傷跡がないことじゃない。傷さえ愛しいという奇跡だ】 と歌うラヴソングですが、この歌詞は何にインスパイアされたのかというと??

藤原さん・・・Official髭男dismのビンテージ楽器ブームというのがあって、ギターとかベースとかみんなビンテージ楽器を買うというのが今も続いてて、僕も買ってるんですけど、ビンテージ楽器って当然人が前に使っていて前の持ち主がいるもので、いろんな傷とかストラップのあととかがついてるのが面白いんです。それが愛おしいものになっていくっていいことだなと思って、そしてそれは自分たちの人生にも当てはまるのかなと思って歌詞を作りました。自分のキーボード見て、なんでここの塗装はげてるんだろうな?と。でもそれは何か昔事情があったのかもしれないし、これから先自分が持っててぶつけちゃったりとか何か音がでなくなったりとか、それも愛せるんじゃないかとか、なおしながら愛着もって使い続けていけたらなと思って、色あせたところがあっても一緒に時を重ねてきた思い出だと思ってもらえたらいいなという歌詞になりました。これはラブソングになりましたが、ラヴソングじゃなかったら、どうなってたのかと思うとそれも面白いですよね。このギターのバックルの打痕アメイジングみたいな歌詞になってたかもしれないですね。(笑)」

ヒゲダンの大きな魅力のひとつ、【曲のアレンジ】についても教えていただきました。

藤原さん・・・たたき台をパソコンで作っておいてそれをスタジオで持ち込んで展開して、というのが一番多いかもしれませんね。最終的にはスタジオで微調していきます。実際レコスタで音を出すとこの楽器だったらこのラインのほうがというのはあるので。

楢崎さん・・・結構ピアノの鳴りでボイシングを変えたりするもんね。

藤原さん・・・みんなの音がいいので、こんなにいい音なんだったら、ここの主役はキーボードじゃなくてギターにしようとか、ここはベースにワンオクターブあがってもらおうとか、ここはドラムのフィルインだだだんといこうとか。

小笹さん・・・楽器が連れて来てくれるアレンジってあると思います。

藤原さん・・・スピリチャルに聞こえるかもしれませんが、まじもんの話ですね。

松浦さん・・・スピリチュアル。(笑)

藤原さん・・・自分の好きな楽器を使うことじゃないですかね。

小笹さん・・・いろんな楽器を知っておくことが大事ですね。俺の大好きなビンテージ楽器屋さんには、『買わなくていいから1億円分くらい弾いてみな』と言われて。

藤原さん・・・なんかRPGの経験値みたいだね。間違いない、ノーダウト。」

アルバムの ラストから2曲目は、『ラストソング』。

藤原さん・・・ライヴとかツアーとか何でもそうですけど終わるときの寂しさがあって、そこにフォーカスを当てたというか、そういうことってあるなあと思って、遊びに行った帰り道とか、楽しかった一日の終わりとか、旅行の帰りとか、いろんな人の人生でこういうことを思うときってあると思ってて。

小笹さん・・・ヒゲダンを今好きになってくれる人がもっとヒゲダンを好きになってくれる曲だと思っていて、ヒゲダンを見つけてくれた人へ大事なメッセージを届ける曲、こういう曲がアルバムにあるのはいいなと思って、これが音楽だと僕は思いますね。

藤原さん・・・どこかノスタルジックでね、童心に帰れる音を気にして作った気がしますね。」

『ラストソング』につづいて、アルバム【Traveler】のラストトラックは、『Travelers』。 

20191011hidden04.jpg  初回限定盤 デジパック仕様(CD+Live Blu-ray/CD+Live DVD)

藤原さん・・・Traveler、旅人なんですけど。去年からミュージックビデオの撮影でロサンゼルスやニューヨークや台湾に行かせてもらって、ツアーでも行ったことのない街に行ったり、人生で見ても旅だし、音楽的に見ても僕たちにとって旅なんですよね。明確にこういうコンセプトのアルバムにするということじゃなくて、想いっきり音楽への挑戦という旅をやり続けている、これは旅のいったんの記録、ということですね。このあともヒゲダンの旅は続くし、ラストが『Travelers』ですが、それを聴いて最初から聴いたらまた旅が始まるので。あとがきっていうか、『ラストソング』で終わると、ああほんとに終わったなという感じなので、想いの強さが終わりの意味を変えて、もう1回頭から、トゥルルルリーンと『イエスタデイ』が始まるっていう、その流れを作れたのはよかったです、みんなで喜びました。髭男dism、幸せもんディズム。ありがとうございました。(笑)」

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