今週は、クラウドファンディングを手がける『CAMPFIRE』がこの春に立ち上げた新しい会社、ソーシャルグッドがテーマのクラウドファンディングに特化した【GoodMorning】のHidden Story。

クラウドファンディングの『CAMPFIRE』には、2016年からソーシャルグッドをテーマにしたサブブランド【GoodMorning】が存在していました。

「CAMPFIREはクラウドファンディングをオールジャンルでやってるんですけど、そのなかで本当は注力していきたいけれど、どうしても目立たなかったりとかお金が集まりにくい領域でもっと手助けするために私たちにできることって何だろう?と考えたんです。そこで、サブブランドとして切り分けて注力していこうと2年半やってきたんですけど、2年半で掲載したプロジェクトが1400件くらいあるんです。ほんとにニーズがあるし、もっとやれることがあるよねと。例えば、クラウドファンディングでお金を集めるミュージシャンとか新しいプロダクトを作っている方って明確にリターンがあるんです。でも、払ってもらったお金に対して、明確にモノが返せるプロジェクトと違って、リターンを用意できないからっていう理由で足踏みしている人ってたくさんいるよねと話していて、もっとサポートしていくために何ができるだろうと考えて、分社化することでもっとスピードを上げて【GoodMorning】というサービスを育てていって使いやすいモノを作れるのではないかと考えました。」

お話をうかがったのは、株式会社【GoodMorning】の代表取締役社長 酒向萌実さん。現在25歳の酒向さん、『CAMPFIRE』から分社化した新しい会社【GoodMorning】の社長に就任することが決まったのは、今年2月のことでした。

2018年の1月からGoodMorningの事業責任者を任せてもらっていて、今年のお正月の時点では引き続き事業責任者をやるつもりだったんですけど、CAMPFIREの代表の家入から突然カフェに呼び出されて、『GoodMorningもっと伸びると思うんだよね。伸ばすためにはどうすればいいか考えたんだけど、分社化しよう。』って突然言われて。『分社化ですか?分社化するってつまり会社が別になることですよね?』『分社化することで意思決定のスピードが速くなるし、今まで確認確認って進まなかったこととか、 分社化すると GoodMorningもっとよくなると思う。代表やってみる?』って聞かれたという。その日は寝ずに考えました。ただ社長になりたいとか、経営者になりたいというのは一度も考えたことがなかったんですが、 GoodMorningについて一番知っているのは私だし、今後どういう風に成長していってほしいか語れるのも私だと思ったので、『代表やらせてください』と翌日伝えて、やらせてもらうことになったんです。」

社会の課題に向き合うクラウドファンディング【GoodMorning】。ヴィジョンとして掲げるのは、こんな言葉です。『誰の痛みも無視されない社会に』。

「今まではどちらかというと、プラットホームとしてプロジェクトを掲載してお金を集める場所でしかなかったんですけど、そうではなく、プロジェクトを実行していただいているひとりひとりの方と一緒に、社会をよくしていくことを本気でやっていこうと。ただのプラットホームというより一緒にプレイヤーとして社会課題を解決したいと思っていますということをお伝えしていますし、働いているメンバーもその意識で働いています。」

代表の酒向萌実さんは、クラウドファンディングの意義について、こう考えています。

「自分が支援することによって社会が前進していくことを実感することで、支援する側も絶望せずに『自分もこうしたほうがいいと言ってみようかな』とか『あきらめなくていいのかな』と思ってもらえると信じていて、その一助になればいいなと思っています。あと、すごく意味があるなと思うのは、クラウドファンディングはパブリックな場でお金を集めるので、例えば、あるプロジェクトについて200人が支援しているというのが見えるんですよね。そうすると、こういう課題について200人もの人がお金を払うほど解決した方がいいと思っているということが可視化されるんですよね。その課題について変えたいと思っている人がこれだけいるんだよと社会に対して知ってもらいたいときにクラウドファンディングは使うべきだなと思っています。」

新しい会社の名前にもなった【GoodMorning】ですが、実は、この名前には 存続の危機があったそうです。

「分かりづらいから変える?という時期があって、そのタイミングで【GoodMorning】の意味を考えたんです。そのときに思ったのが、社会課題が解決する瞬間が『朝』なんじゃないかと思ったんですよね。キング牧師のI have a dreamの演説のなかにそういう表現があって、彼らのやった公民権運動の前の奴隷解放運動の奴隷解放宣言が出たときのことを、長い夜が続いたあとの夜明けと表現していて、一回夜明けが100年前に来ているのに彼らはまた公民権運動しなければいけない。その演説を聞いてから『あ、朝が来てもまた夜になるんだな』といつも思っていて、でも、『また朝は来るんで頑張ろうよ』って彼は言って、また朝を手に入れているんですよね。私たちがやりやいことはこれだなと。ニュースを見れば暗いニュースはたくさんあるし、真っ暗みたいな気持ちに何回もなるけれど、何回でも朝は来るから作っていけばいいよねと思っています。彼らがやったことに比べれば小さいかもしれないけど、そういうこと言わずに何回でも大きい朝でも小さい朝でも作っていけばいいんじゃないかなと思っていて、だから朝よりも『夜になっても絶望しなくていい』というところに意味があると思っています。痛みがなくなることはないと思いますが、そうなったときに、もう1回朝来るよと思ってみんなで頑張れるかどうか、が大事だと思っているので。」

株式会社GoodMorningの代表取締役社長、酒向萌実さん。 最後にこんなことも語ってくれました。

「社会課題を解決するっていう領域を仕事にする人って、真面目で、特別なんじゃないかなとか、そういう仕事って特別だと思われていることが多いと思うんです。ものすごく真面目で自己犠牲的に仕事をする人しかできないと思われているのはすごくもったいないし、他の人と違う超人的な人格を持つ必要はなくて、みんなちょっとずつやってみていいし、完璧な人間じゃないとそういう話をしてはいけないという雰囲気があるとみんなしゃべれなくなるので、それはなくしていかなきゃいけないなと思っています。」       

GoodMorning公式サイト

https://camp-fire.jp/goodmorning