今回は誰でも簡単に演奏できる楽器開発をめざす【世界ゆるミュージック協会】のHidden Story。

先月中旬、【世界ゆるミュージック協会】が開発したゆる楽器がイベント会場で展示されました。ゆる楽器...例えば、【ウルトラライトサックス】

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「ウルトラライトサックスは誰が吹いても音程をはずすことなく吹くことができるサックスです。サイズは小さいんですが、種明かしすると下の部分は飾りになっていて、鼻歌を歌うだけで、サックスの音色に変換されてサックスになるという。だから鼻歌さえ歌えちゃえばサックスが吹ける、という画期的なものです。宴会に最適な楽器だと思っています。」

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続いて、もうひとつ。【和音GLASS】というゆる楽器。ワインが注がれたワイングラスがいくつかテーブルにあります。

「3つのワイングラスを乾杯するようにぶつけると、和音が鳴るようにしているものです。楽器としても楽しいんですけど、普通にお酒飲む時に乾杯したらジャーンと音がなるといいよね、というところから始まっているんです。楽器としても、乾杯が楽しくなるワイングラスとしても使い道が広がればいいなと思っています。音楽ってひとりでやるのもいいですけど、誰かと複数人で音を重ねる喜びがあると思っていて、人と一緒に和音を作ってふふっという瞬間を作れたらなと思っています。」

こうした楽器を提案する【世界ゆるミュージック協会】。このプロジェクトは、スポーツが得意な人、苦手な人、障がいがあるなしに関わらず 誰でも楽しめる『ゆるスポーツ』を開発してきた一般社団法人 世界ゆるスポーツ協会によるものです。

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「スポーツをやらない人は日本人の半分くらいなんです。一方で楽器をやらない人って日本人の9割くらいいるんです。実は私もそうなんですけど、ゆるスポーツ協会の代表の澤田もバンドマンなんです。音楽をやるのってすごく楽しいなと思っていて、それは、音楽をやっている人間は普段は全然さえなくてもバンドやってる間はかっこよく見えるとか、音楽をやっていると一体感を感じるんですよね、僕はグルーヴという言葉が好きなんですけど、バンドやっているとグルーヴしたなっていう瞬間があるんですよね。こういう瞬間をみんなに知ってほしいと思っているんです。ゆるスポーツの次はゆるミュージックっていいんじゃないかなという話が出まして、楽器に触っている人が世の中に1割しかいないのであれば、残り9割の人に、音楽のよさとか楽しさを知ってもらうというのは価値が高いんじゃないかなと思って始めたのが、ゆるミュージックです。」

お話をうかがったのは、世界ゆるスポーツ協会の萩原拓也さんです。ゆるミュージックに欠かせないのは、そのコンセプトを実現するための楽器でした。

やはり楽器の敷居の高さはとにかく難易度だと思っています。誰もが弾ける楽器、また、普段、楽器にまったく関わっていない人が別の感覚で演奏できる楽器を作ったらいいんじゃないかなと考えていますね。いくつかアイディアを考えて、それを作れるクリエイターさんと作っていきました。」

今年の春、ゆるミュージックのお披露目イベントが開催されました。そこで演奏されたのが、ベンEキングの『Stand By Me』。和音グラスや、ウルトラライトサックスの音色も聞こえてきます。

「演奏がうまいわけじゃないんです。例えば多少ずれるところもあるんですが、みんなが初めての経験、体験で、自分たちができる能力、楽器を使って演奏しているので、演奏が感動的で。多分、音楽の根本ってそこかなと思うんですよ。技術をこえたところというのが、気持ちだったりとか、想いとか、そういうところがあって。スポーツもそうなんですけど、音楽も自己表現のひとつの手段だと思うんですよ。自己表現の手段って多い方がいいと思うんですよ。そういうものが提供できる社会が、豊かな社会のひとつの指標なんじゃないかと思いますね。『ゆる』って言葉って、すごくいろんなことを包括していて、ネガティブなことだと雑、適当とかになりますが、ポジティヴにいくと、かわいいとか優しそうとか、そういうものを包括したものが『ゆる』だと思うんですね。だから、ゆる自体が多面性のある言葉で、既存のもの、こうじゃなきゃいけない、音楽にしてもスポーツにしてもこうじゃなきゃいけないというのがあると思うんですけど、『ゆる』とつけた段階でそのものが多面性、多様性のあるコンテンツにできるというのがこの言葉のいいところだと思いますね。多様性とかダイバーシティを考えるときにも、さまざまな人とさまざまなコンテンツでつながるというのも意味があるし、それを知ることによって生き方が豊かになるのかなというのは、僕の体験談として強く言えるところですね。」

ゆるミュージック協会 公式サイト

https://yurumusic.com

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