一生どころじゃない、たとえ自分が死んでも、、、三浦大知がアルバム『球体』に込めた想いとは・・・今回、注目するのは昨年デビューから20周年を迎えた三浦大知さん。シングル『EXCITE』が、初のナンバーワンを記録。今年3月にはベストアルバムを発売し、こちらも1位。立て続けに大ヒットを飛ばすなか、7月にリリースされたのが、アルバム『球体』。これは、プロデューサーNao'ymtさんと緻密に作り込んだ作品でした。

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「表でシングルとかアルバムを出したりしている裏で、3年半くらい前からずっとプロジェクトとしてやっていたアルバムがようやく出た、という感じです。もともと、Nao'ymtさんという音楽プロデューサーの方との出会いが大きくて、最初は2008年に『inside Your Head』という曲でNaoさんの楽曲を歌わせていただいたんです。そこから三浦大知の楽曲の方向性やスタイルがちょっと変わったみたいなところが自分にはあって、そんな時、Naoさんが矢的直明という本名名義でご自身のアルバムを出されたんです。春夏秋冬で4枚、EPみたいなものを出されまして、それが本当に素晴らしい。僕も大好きで、最初はその4枚を全曲カバーさせてほしい、っていう想いがあったんです。(笑)そんな想いプラス、Naoさんにまるまる1枚アルバムを作ってもらって、アルバムのなかでは表現者として歌を歌う。で、自分はライヴの制作もやっているので、ライヴにおいては、自分が主導権を握って、パフォーマンスや振り付けを作る。そういう形で、Naoさんと三浦大知とふたりで音源とライヴが完全に一体化しているプロジェクトをやりたい、ということを思ったんです。だから3年半くらい前、Naoさんに『お茶しませんか?』と声をかけて誘って、『実は、あのアルバムが大好きすぎて、いつかNaoさんと1枚作りたいんです。』という話しをしたところから始まったのが、この『球体』です。」

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アルバムのタイトルは『球体』。そして収録曲も、日本語のタイトルがずらり。歌詞も全編、日本語です。通して聴くと、ひとつの物語のようなアルバム。制作は どんな風に進んだのでしょうか?

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「そのお茶をして、じゃあキーワード出しをしようと。そのときNaoさんから、『シンパシーというか、誰かとつながっているとか、そういうことはいいなと思う。』とか、お互いが思うキーワードをならべていって、1曲1曲Naoさんが書き下ろしてくださったものを、3年半かかって1曲ずつ作っていきました。そして、最後の最後、本当にこのストーリーをどういうストーリーにしていくのかという曲順を考えてぐーっと仕上げたという感じ。1曲1曲作りながら、でもそれがひとつの物語になるだろうということを予感しながら作っていました。Naoさんの楽曲はもともとすごく日本的だし、言葉も文学的で日本語もきれいだし、和の要素というのはNaoさんの作品には強く入っているんです。なので、今回は全編日本語詞というのにこだわってやろうというところがありました。Naoさんが作られたら聴くものとしても読み物としても最高のものになると思っていました。」

日本語にこだわり抜いた一枚。『球体』というタイトルは、どうやって出てきたものなのでしょうか?

このタイトルは実は一番最後で、全部できて、アルバムの曲の流れも微調整していくなかで、自分がライヴのなかでこのアルバムをどういう風に表現するかというのを考えました。今度は自分の出番というか、このアルバムを三浦大知を媒介として表現するときに、どういうライヴにするべきかということと向き合っているとき、ふと、ステージに真っ白い球体があって、その前で『世界』を歌っている映像というか、もともと自分のなかで決まっていたみたいなイメージがあって。『ステージの上に白い大きい球体があると思うんです。』という話をNaoさんにしたら、『球体は最高ですね。』という話になって。」

3年半かけて完成したアルバム『球体』。三浦大知さんは、こんな手応えを感じています。

「僕はこの『球体』というプロジェクトについては一生続いていくものだと思っています。一生どころじゃないというか、Naoさんとも話しているんですけど、自分たちの手を離れても残っていく作品にしたいよね、というのは最初からあったんです。例えば、ちょっと風化してる銅像があるとするじゃないですか。その銅像が待ち合わせの場所になっていたり、そのまわりで本を読んでる人がいたり、みんなの憩いの場として銅像の広場があるんです。それは、誰が作った銅像か分からないけど、みんなそのまわりに集まってくるんです。そして、それがちょっと欠けてきたりしたら誰かが直したりして、ずっとここにある。それって人がどんどん繋いでいくということだし、ずっと残っているものってすごく素敵だなと思っていて。だから、『球体』も僕じゃないパターンがあってもいいというか、別の違うプロデューサーが違う解釈でアレンジをして違うアーティストがレコーディングして、まったく違う『球体』が生まれても面白いでしょうし、自分がもし死んでも、この作品だけはずっと残っていくというか、そういうプロジェクトになるといいなと思っています。」

まさに、渾身のアルバム『球体』のあと、シングル『Be Myself』をはさんで発表されたのが、映画『ドラゴンボール超 ブロリー』の主題歌、『Blizzard』。この曲も、Nao'ymtさんと一緒に作ったナンバーです。20181214hidden04.jpg

『球体』、『Be Myself』ときて、その流れのなかで"次もNaoさんと新しいものが作れたらな"というのが自分のなかにあったんです。あと、Naoさんの楽曲で自分も作詞に参加する、というのは今までやったことがなかったですし。今回は最初に映画があって、映画のなかで、『氷』というキーワードがあったので、氷のなかに閉じ込められた戦士たちが内側から炎を燃やして氷を内側から溶かして打ち砕いて自分になる、という映像があったんです。Naoさんの楽曲のメロディがその日本語の強い表現をすごく引き出してくれたのかなという気がしています。」

最後にうかがいました。アルバム『球体』とその後。三浦大知さんが 次に進む道とは?

「『球体』は今までなかった三浦大知の一面みたいな感じですが、どっちもあって、ザ・音楽ライヴみたいなものも大好きだし、見た人が"あそこはどうだったんだ?どういう意味?"みたいに考えるエンターテイメントも楽しいと思う。自分のパフォーマンスのなかでは2本柱というか、どっちをやっても三浦大知は三浦大知らしいな、というのが一番いいと思っていたので、来年も変わらずちっちゃいことから大きいことまで挑戦して、新しいものを作って、この世の中にないものだったり表現だったりを三浦大知チームとして作っていけたらと思っています。」

三浦大知 公式WEBサイト