たまごを後のせ！？あおもり生プリンの誕生物語
今回、注目するのは【あおもり生プリン】。
このプリン、実は、瓶詰めされたプリンにたまごの黄身をあとからのせる、いわば、たまごかけプリン！そのHidden Story、ご紹介します。青森県青森市にある合同会社『ナチュール青森』が開発した【あおもり生プリン】。まずは、『ナチュール青森』の代表でパティシエの工藤真義さんに誕生のきっかけについて教えていただきました。
「従来のプリンは、牛乳、卵、砂糖だけでできる商品なんですが、今回、素材のよさをなるべく全面に出したいということで、卵の黄身だけをあとのせするプリン、という形で開発しました。構想は約２年前にさかのぼるんですが、とにかくすでにあるプリンではなくて、あ、こういうプリンが青森にあるんだ！と青森の知名度アップにつながるような商品を目指したのがきっかけです。」
素材のよさを引き出すためには、どうすればいいのか？工藤さんは、こう考えました。
「弊社には例えばリンゴを使ったプリンとか、カシスを使ったチーズケーキとか、そういう商品がありまして、こちらは生洋菓子というジャンルなので、その生という部分をもっと突き詰めたいと思ったのがきっかけです。プリンなのでどうしても加熱は必要なんですけど、その中で、加熱をしなくてもできる材料はないかという部分を考えたところで残ったのが卵。本来、生地は加熱をしていますが、そのなかでも生の部分をどのように残すかということです。生の食感、生の風味の追求というところです。牛乳も卵も生で食べられるものなので、なるべく手を加えずにお客様の元に届けるのが一番大事だと思っています。手を加えることがない部分を探しながら、卵であれば、最後に黄身をのせて混ぜる、というところに落ち着きました。」
生の食感、生の風味。これを追求するなかで生まれたのが『卵の黄身を、あとからのせる』というアイディアだったのです。
青森の素晴らしい食材を広めたい！と開発が始まったこのプリン。素材は、『ナチュール青森』の代表 工藤真義さんが自ら足を運んで選んだものだけを使っています。
「今回の生プリンに限らず、弊社で販売している商品はすべて私が直接農家さんにうかがって、弊社のコンセプトを納得していただいた農家さんのものだけを使わせていただいています。まず牛乳は、新郷村というところで作られていて、こちらは２０１３年にご当地牛乳グランプリで金賞を獲得した低温殺菌牛乳です。従来の牛乳のようには加熱をしない商品で、６５度という低温で殺菌することで、牛乳本来の風味とかうまさとかを引き出した商品になります。そして、カラメルに特徴がありまして、弊社のカラメルは塩を入れた塩カラメルです。こちらは津軽海峡の塩で、風間浦というところで作っています。そして、卵は田子村というところで作っている『緑の一番星』という卵。うっすら緑がかっていて、こちらは卵かけご飯に非常に適した卵です。割っていただくと黄身の割合が多く、卵くささがほぼない、黄身自体の味が非常に濃い卵になります。なので、生地が少なすぎると卵の黄身に負けてしまうこともあり、どの割合でちょうどよくなるか、という配合の分量も手間がかかったひとつです。」
もうひとつの特徴は、このプリンは注文を受けてから製造される、ということ。
「例えば、焼き上げる温度も季節ごとに変わってきますし、使われている牛乳にしても季節によっては薄くも濃くもなるし、そういうことを感じながら作る、という部分では、手作りという工程がかかせないです。なので、常時生産している商品ではなく、基本はご注文いただいてからお作りするということで、ご注文から１週間ほどお時間をいただいてお送りさせていただく、ということにしています。」
工藤真義さんに最後にうかがいました。このプリンの瓶に詰め込んでいるのは、どんな想いなのでしょうか？
「実は、青森から商品を発送するというのは日にちがかかります。生菓子ということでいえばお客様のところに届いた時点でもう賞味期限がぎりぎりとか、切れてしまうということが従来の商品ではありました。でもそのなかで、弊社の商品はすべてそうですが、余計なものは加えたくない、ということで防腐剤や着色料とかそういうものを入れずにお客様に安全にお届けする。そして、なおかつ召し上がるまでにある程度お時間ができる、という、賞味期限が長い商品を作りたい、というのが最初でした。だから、それを可能にするために、弊社では小瓶にいれ、弊社独自の製法で、添加物を入れない状態でも生菓子をお客様にお届けできる、という技術を開発して、それによって可能にしております。とにかく、牛乳、卵、塩については、青森の中でも際立っている素材です。なので、青森にはいい素材がいっぱいあるということを少しでも他県の方々に感じていただきたいというところでございます。」
あおもり生プリン