今週は、東京・中目黒にあるフィッシュバーガー専門店、【デリファシャス】のHidden Story。

20180907hidden02.jpg

『昆布〆フィッシュバーガー』『西京焼きの最強バーガー』『カニクリームコロッケバーガー』『えびしんじょバーガー』。メニューに並ぶのは、ユニークでこの上なく美味しい、創作フィッシュバーガー。このバーガーを作るのは、鮨職人としての経験も豊富な 工藤 慎也さん。

20180907hidden01.jpg

「34歳まで14年間、鮨職人としてやってました。最初は名古屋のお鮨屋さんで3年、次が銀座に出て来て6年、という感じ。元々、西海岸のファッションやカルチャー、音楽とかが大好きで、銀座をあがってからアメリカの方に行くんですけど、3店舗くらい鮨屋をまわったりしたんです。西海岸でお店を出したいという気持ちがあったんですが、スポンサードの話が流れてしまって、やむをえず帰国することになったんです。」

アメリカでお鮨屋さんをひらく夢はいったんあきらめ帰国。工藤さんは仲間たちと、新しいことをやろうと考えました。その仲間のうち、数人と出会ったのは意外な場所。

「このお店をひらいたのが12月23日だったんですけど、はじめましてが7月の中盤で。僕はひとりだけ知ってたんですが、あとのふたりは知らなくて、休みがあうということでとりあえず沖縄に行って。(笑)コロナフェスっていうフェスがあるんですけど、みんなでフェスに遊びに行こうとなって、そこではじめましてでした。沖縄に3日間くらいいたんですけど、その間にいろいろ話して、東京戻ってから面白いことやろうよみたいな。銀座で鮨職人やってたということで僕の腕を買ってくれてて、僕も魚しかさわってこなかったし、お鮨屋さんがすぐできる実力もあったし、別に鮨屋にこだわわらなくてもいかなというのはずっとあったんですよ。じゃあ、何やる?居酒屋??タコス屋?フィッシュタコス?とか言ってるときに、『そういえば、フィッシュバーガーの専門店ってないよね?』っていうことになって。『鮨職人のフィルターに通したフィッシュバーガー専門店とか超かっこよくない?』『まじ、それいいね。』とか話して。いろいろ案を出し合って、ピクルスの代わりにガリとかつけちゃう?とか、内装は、いまアメリカナイズドされたバーガー屋さんがすごく多いなか、俺らしく日本の伝統的な内装みたいなの、ないの?みたいな。他にもいろいろ、城とか出たんですけど、銭湯が一番響いて。『銭湯の内装したタイル張りのお店ってかわいくない?』とか、しゃべってて、それで進めていったら、結果こういう形になりました。」

アイディアは豊富でしたが、工事が遅れに遅れ、キッチンが完成したのはオープン直前でした。

「キッチンができあがったのがオープンの2週間前になっちゃって、やべえやべえ、って。とりあえず魚おろして試食ですよね。フィッシュバーガーといえばタルタルソースじゃないですか。最初はタルタルソース作ったりとかしたんですけど、なんかあわねえなって。全然、白身の味がしないし全然うまくない。フィッシュバーガーってこんな感じだったっけ?って。とりあえず一番だしを毎朝とってたんで、一番だしで銀餡作って、それをフィッシュの上にかけてサンドして食べてみるかって。そしたら、こっちのほうが全然いいね。さっきのタルタルソースより和だし、いいんじゃない?ってところから、あとは足し算引き算で。でも、ちょっとソースにパンチがなくて、これじゃ普通だよねってことで、じゃあ豆腐を入れようと。でも、豆腐を入れるにしたって、水がぽとぽとしてて見栄えも悪いしってことで、じゃあ1日水を抜いてその日の朝に裏ごしして一番だしとあわせたソースを葛粉でとろみつけたら、これパンチきいてんじゃん。でも白身にパンチがないよね、じゃあ昆布じめにしようか、って、そんな感じです、はじまりは。」

20180907hidden04.jpg

メニューについて、さらに教えていただきました。

「鮨屋のフィルターに通したというか、煮穴子を天ぷらにしてホットドッグにはさんじゃったり。煮穴子も1本1本僕がおろして、河岸でいけじめって言って、神経をとめてもらって首ズトンといって、それをひらいて、ぬめりとって、うちでたいて、天ぷらにする。だし巻きも、卵がかたまるギリギリの分量で出汁を入れて、オーダーが入るたびに巻いてます。いま、また『漬けマグロチーズバーガー』っていうメニューが増えるんですけど、それが次の新作です。ずっとマグロはやりたいと思っていました。海外でとれた天然の赤身を解凍して漬けにするんですけど、しょうゆ、みりん、酒、あと隠し味でいろんなものが入っている漬けじのなかに一日漬け込みます。そのマグロのなかに、側面から切り込みを入れて、チーズぶっ込んでとじて揚げる。そのチーズもコルビージャックチーズっていってめっちゃうまいっす。」

20180907hidden03.jpg

【デリファシャス】の料理長、工藤 慎也さんに最後にうかがいました。思い描く夢は どんなことですか?

「ロサンゼルスで自分の店を持つことです。一回挫折というか、苦い想いをしてるんで、これでリベンジを果たしたいなって。いまビーガンとかそういうのが流行ってるんで、そういうのも織り交ぜて全粒粉のバンズとか、米粉を使ったり、いろいろやっていきたいと思ってます。だからハンバーガー逆輸入じゃないですけど、メイドインジャパンのフィッシュバーガーをアメリカにもっていきたいですよね。LAに行きたいです。お願いします!(笑)」

デリファシャス オフィシャルウェブサイト