渋谷区富ヶ谷。いわゆる奥渋谷と呼ばれるエリアに新しいお店が誕生しました。ドライフラワーを扱う『EW.Pharmacy』。薬局をイメージしたデザインのカウンター。ショーケースには20種類のドライフラワーが並んでいます。

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「薬局をコンセプトにしています。スタッフとお客さんが1対1で、薬局だったら、おなかが痛い、のどが痛い、ちょっと熱があるかもしれないとか、お客さまの症状で薬を調合するじゃないですか。それってオリジナルだなと思ったんです。これをお花でやりたいなと思ったのが始まりで。」

『EW.Pharmacy』をオープンしたのは、フラワークリエーターの篠崎恵美さん。篠崎さんに、お店の中を案内していただきました。

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季節の限定の20種類をセレクトしているんですが、今は夏なので、夏ヴァージョンの20種類の花が並んでいます。メニュー表があるんですけど、並んでいるお花ひとつひとつにナンバリングがしてあって、それぞれの番号のところに、お花の名前とその由来、何科なのか、原産地、花言葉があるものは花言葉みたいなものが書いてあって、お客さまがそれぞれオリジナルのパッケージで、5種類か10種類で選んでいきます。その中に何が入っているか分かるように、そのメニュー表にチェックして処方箋のような形でつけさせていただいているんです。人気なのは、自然界では出づらいブルーのお花。カスミソウのブルーとかは人気で、あとはシルバーデイジーとかも今回は濃紺で用意しているんですけど、これは結構希少な植物なんです。日本では育たないものとかをドライなら保存がきくので世界から持って来て、日本だけの植物ではなく、世界中のお花がパックされるようなイメージでやっています。」

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お店に準備されているメニュー表。そこには、お花についての情報が記されています。

「お花を深く知れるお店ってないなと思っていて。例えば、お花屋さんに行くと名前はついているんだけど、これがどこから来たお花なのかって分からないじゃないですか。中に入っているものが分かるシステムが作れたらと思って。これが一番大変でした。お花には季節感があるので、3ヶ月に一回、並ぶ20種類の花とメニュー表がまったく別のものになるんです。」

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スタイリッシュなパッケージに入れて販売されるドライフラワー。篠崎恵美さんがドライフラワーのお店を作ったのには大きな理由がありました。フラワーショップで6年間勤めたあと、2009年にedenworksという名前で独立。その後、さまざまなクライアントからの依頼をうけて花の仕事を展開。CDのジャケットや、ミュージックビデオにも関わってこられました。2015年には、週末限定で『bedroom』というお花屋さんも開店。そんな中、篠崎さんは、あることが気になっていました。

6年の下積みのときに、フラワーショップなので、どうしてもロスになるお花が出るんですね。そのときからお花を捨てることに違和感があって、悲しいな、と。でも、お花屋さんはお花を捨てるのも仕事なので、捨てなきゃいけなくて。独立してからは、今のedenworksメインの仕事なんですけど、これはクライアントがいての仕事です。最近、ほんとにお仕事をたくさんいただくんですけど、お仕事をたくさんやるということは、捨てるお花も増えるということ。買うときも、「これ使わなかったら捨てちゃうんだな」と思うとこわくて買えなくて。そんなときbedroomで立ってるときにお客さまにヒントをもらったのが、『これってドライフラワーになるんですか?』という質問。みんな私と一緒で、お花を捨てたくないんだな、ずっと飾っておきたいんだなと思って。」

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ドライフラワーのお店を作ろうと思った理由は、お花を捨てたくない、という想いでした。

「このシステム、まだ2~3週間くらいですけど、ほんとにうちのお店ではお花を捨てなくなったんです。全然まだちっぽけです。まだ、うちの会社だけですけど、全然捨ててなくて、なお足りないのでドライフラワーとして買ったり。だから、これがもっと、国とか県とか都とかのレベルで市場と提携できて、売れ残って捨てる間際のお花を買いとる、ということができるなら、ほんとに捨てなくなりますよね。人間が切った花がそのまま売れないからゴミにするというのはちょっと...。それよりは、『キレイだね』って言われてずっと飾ってもらえるようなことができるなら、いいのかなと思って。」

『EW.Pharmacy』にならぶ、20種類のドライフラワー。そのどれもが、素敵な色をしているのは、きっと、そこに長く愛されてほしいというフラワークリエーターの愛情が込められているからに違いありません。

お花を想う気持ちが生んだ『EW.Pharmacy』。ぜひ足を運んでみてください!

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  • 『EW.Pharmacy』
  • 住所:東京都渋谷区富ヶ谷11411
  • 営業時間:12時~夜8時
  • 不定休のため、事前にウェブサイトやInstagramをご確認下さい。