農業ワーキングホリデー"農ホリ"。このサービスを立ち上げたのは、今年設立されたばかりの 株式会社 エデュコ。 20代の若き代表取締役、羽田野真寛さんにお話をうかがいました。まずは、農ホリとはどんなものなのか、そして、アイディアが生まれたきっかけは?

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「"農ホリ"は農業ワーキングホリデーの略で、農家さんに農作業をお手伝いしたいとか、農業の勉強をしたいという人を紹介して、農家さんの人手不足を解消していくというサービスになります。もともと学生のころから農業を何かビジネスにしたいと考えていて、農家さんのところに挨拶をしに行ったり、畑を見せてもらったりといろいろやっていたんです。その中でどの農家さんにも共通して言えるのが『人が足りない』ということでした。おそらく農業の問題は残留農薬やTPPとかいろいろあると思いますが、農家さんの課題というのはやっぱり人なんだな、というのが見えてきたということがありまして。

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学生のときから2・3年くらいかけて準備をしてきたんですが、そのときに『一緒に畑行く?』というふうにいろんな人を誘ってみると、『畑行くの楽しい』とか、『今度また手伝いに来ますよ』というのがありました。農家さんの人手不足、そして農業をやりたい人が結構いたので、それをビジネスとして展開していこう、というのが始まりです。」

農家さんの人手不足という問題と、農業を体験したい人をつなぐのが"農ホリ"。実際、どんなシステムなのか教えていただきました。

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「まず農家さんにサービス利用料として費用を支払っていただいて、参加する方は基本的に無料で参加できます。お手伝いをするかわりに、農家さんにお食事と宿泊できる場合は宿泊場所を提供いただいていますので、参加する方々は農家さんから特にお金をいただくことはなく、我々もお支払いすることはありません。例えば、長野県とかに農家さんがいらっしゃるんですが、そこまで自分で行っていただいて、農作業をお手伝い。食事とか宿泊場所を農家さんには用意していただく、という形です。参加する方にとってはボランティア旅行みたいな、そんな位置づけになるかなと思います。」

農家さんのお手伝い。例えば、どんな作業があるのでしょうか?

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「参加する方は農作業に関して素人の方が多いので、いきなり難しい作業をしたり、トラクターを運転するのはさすがにできません。なので、人海戦術的に片付ける作業をお願いするようにしています。例えば、草取りや最近あったものですと、お米農家さんの苗床づくり、というのがありました。ひとつのパットみたいなものにお米の種をまいていって、それを発芽させたものをある程度大きくするためにビニールハウスに並べていくんです。そのパットもひとつ2~3キロあるものを100とか200枚ビニールハウスに全部手作業で並べていくので、これを農家さんがひとりでやると1日かかってしまうんです。でも、参加していただいた方3名とかでやると3時間くらいで終わってしまうので、そういった誰でもできるもので、かつ人海戦術で片付けたほうがはやいものを農家さんには準備していただいています。」

農家さんのところまでの交通費は自己負担。農作業をお手伝いする代わりに農家さんのご自宅で 食事や宿泊を提供してもらえる"農ホリ"。こんな広がりを見せているそうです。

「最近は農家さんだけではなく、地域でお問い合わせをいただくことが増えてきました。地域の活性化とかそういう文脈でお問い合わせをいただくケースです。例えば、ある村で『まとめて5人来てくれませんか?』と。その村のどこかの空いている家とかに泊まって、もちろん農作業もお手伝いするんですが、5日間の作業のうち1日は農業だけじゃなくて林業もやってもらいたいと。その地域を体験してほしい、という意味合いで来てほしいという問い合わせも受けていまして、もしかすると地域活性というところにもこのサービスが使えるのではないかな、というところで。」

農業を軸にしながら、地域の問題をまとめて解決する可能性も秘めている"農ホリ"。さらに、参加する方同士、そして、参加する方と農家さんのあいだにも新しいつながりが生まれています。

「ユーザーの数もちょっとずつ増えていて、今はだいたい150名くらいが登録してくださっています。登録をしている方は都内に住まれている20代から30代の方が多く、男女比は半々くらいです。今後、新規就農をしたくてその勉強のために参加します、という方もいれば、週末は地方に行って農業をしたい、ということでライフスタイルのひとつとして参加されている方が増えてきていますね。

まったく知らない人同士が参加してその場で仲良くなって連絡先を交換して、ということも結構発生しています。一回参加して仲良くなって、『今度違う農家さんに一緒に行きましょうよ。』と、そこで友達になって違う農家さんに一緒に行くということもあります。それともうひとつ、お米農家さんは5月6月というのは田植えの時期だったんですが、収穫の時期、9月10月になったら『おじいちゃんまた来るね。』と約束を取り付けてくる方もいらっしゃいますし、そこでまた次の約束であるとか、展開が見えてくるものもあって、おもしろいなと思っています。」

この動きについて、"農ホリ"を発案した羽田野真寛さんはこう話してくれました。

「参加された方に感想を聞いているんですが、まず農作業なので体力的にはきつかったとみなさんおっしゃいます。ただ、農家さんと一緒にお話をするとすごく仲良くなるみたいで、お父さん・お母さんという風に農家さんを呼び出して、心の交流が生まれて、参加する方はそこが楽しくてリピートしくれるケースが多いです。農家さんの人手不足を解消する目的でスタートしたサービスですが、そこから期待以上のコミュニケーションとか交流も生まれていて、ただ人手不足を解消するだけではなく、コミュ二ティづくりにもなってきているのかなというのはすごく感じています。」

農家さんの人手不足と 農業を体験したい人をつなげようとスタートしたサービス。それがいま、人と人、心と心を つないでいます。

  • 農ホリで農業体験!週末は自分の食べ物のルーツを探ってみませんか?

参加方法など詳しい情報は下記のウェブサイトでご確認ください。

http://no-holi.strikingly.com